202 / 237
禍根未だ途切れず
対人外精鋭機関ゴルゴダ機関
しおりを挟む
『……ようやく話が終わりそうだったってのになぁ……』
「うっ」
多分みんな嫌がってるだろうな、なんて考えをも退けて、僕が口にした質問。
それは、僕の———トゥルースの、真実の姿に繋がっている……かもしれないから。
「お願い……します。知りたいんです。敵のこと、自分のこと、それを知らないで戦うなんて———あっちも人がいるんだから、そんなの……嫌なんです」
『そんな目を向けられちゃあ……無下にはできねぇな……
ったく、憎たらしい顔だ。俺の一番嫌いなヒーローフェイス、気持ち悪いったらありゃしねえ』
「うぅ……」
「……いいや、僕も聞いておきたいです。敵を知るということは、その対処法をも知り得る可能性があるということ。
……おそらく生身で戦う役割を担うのも僕なので———誰も犠牲を出さない為にも」
「俺もだ。知り得る情報は全て知っておきたいんだ、頼む」
隊長とブランまで……!……ああ、リコとくいなは眠ったままだけど。
『———話しておいてやるか……ゴルゴダ機関、その構成員……果ては、その幹部の話についてもな。
何がお前をそこまで動かすのか、俺には分からん———が、話しておく価値はあるだろう』
やった……!
「ありがとう……ございます!」
『話せと言われたからな、今からまた長く続くが許せよ。
ゴルゴダ機関……さっきも言った通り、厳密には魔族に分類される、魔族や吸血族、鬼族などの、『神を除く人外』を殺すためだけに設立された機関だ。
ヤツらには人外に対する特効武器まで持ってやがる。俺やセンなどの鬼族———亜人に対してもより効きやすい武器なんて代物さ……
その正体は、エターナルの発動を阻止し得る、人よりも強力な者たちを先制して潰すための殺戮機関。だからこそ、数年前までは———ソイツらによって、亜人らの村々が襲撃されていたのさ』
「…………まさか、くいなの村も……」
セン隊長がボソッと呟いたが、とてもクラッシャーには聞こえないほど小さな声だった。
『構成員……ゴルゴダ機関の構成員は、それぞれが隊列を組んで独立している。
その中の『隊長』と呼ばれるヤツらのみは———人智を超えた化け物だらけだ。
ある者は卓越した身体能力を備え、またある者は岩をも容易に砕く剛力を有し、ある者は全てを見切る真眼と、ありとあらゆる物をこの世界より消滅に追いやる能力を持っている。
ある者は不死身にして、ある者は史上最高の人型機動兵器操縦者、華奢な身体でパイルバンカーを振り回す化け物や———』
(……パイルバンカーって何ですか?!?!
と聞きたくなったが、まだ話の途中だし、これは僕の始めた話だからな……)
『オネエ言葉を話しながら、ひたすら爆発する剣を投げ続ける悪魔、そしてどんな人間の姿にもなれる百面相———』
「ひっ」
『ああ?!……一体何だってんだよ急に!』
こ……声が出てしまった。
百面相———多分僕だ、トゥルースだ。
「い……いや、できればその百面相についてもっと聞きたくて……」
『これ以外の情報があるかよ、どんな人間の姿にもなれるから、もしかしたらスパイとして人界軍に侵入してる可能性もある……ってだけさ。……テメェが聞きたかったのはこの情報か?』
「その人についてもっと知りたかったんですけど……分かりました、ありがとうございます。話を続けてください」
『もうねえよ、今の百面相で情報は終わりだ、そもそもタダでこの俺が情報をやること自体感謝されるべきなんだがなぁ……
それじゃあ俺は戻るが———』
「戻るんですか?」
不思議そうに顔を傾けて質問したのは隊長だった。
『戻るに決まってんだろ、すぐそこまで来ているんだからな』
……すぐそこまで、来ている??
………………何が?
「うっ」
多分みんな嫌がってるだろうな、なんて考えをも退けて、僕が口にした質問。
それは、僕の———トゥルースの、真実の姿に繋がっている……かもしれないから。
「お願い……します。知りたいんです。敵のこと、自分のこと、それを知らないで戦うなんて———あっちも人がいるんだから、そんなの……嫌なんです」
『そんな目を向けられちゃあ……無下にはできねぇな……
ったく、憎たらしい顔だ。俺の一番嫌いなヒーローフェイス、気持ち悪いったらありゃしねえ』
「うぅ……」
「……いいや、僕も聞いておきたいです。敵を知るということは、その対処法をも知り得る可能性があるということ。
……おそらく生身で戦う役割を担うのも僕なので———誰も犠牲を出さない為にも」
「俺もだ。知り得る情報は全て知っておきたいんだ、頼む」
隊長とブランまで……!……ああ、リコとくいなは眠ったままだけど。
『———話しておいてやるか……ゴルゴダ機関、その構成員……果ては、その幹部の話についてもな。
何がお前をそこまで動かすのか、俺には分からん———が、話しておく価値はあるだろう』
やった……!
「ありがとう……ございます!」
『話せと言われたからな、今からまた長く続くが許せよ。
ゴルゴダ機関……さっきも言った通り、厳密には魔族に分類される、魔族や吸血族、鬼族などの、『神を除く人外』を殺すためだけに設立された機関だ。
ヤツらには人外に対する特効武器まで持ってやがる。俺やセンなどの鬼族———亜人に対してもより効きやすい武器なんて代物さ……
その正体は、エターナルの発動を阻止し得る、人よりも強力な者たちを先制して潰すための殺戮機関。だからこそ、数年前までは———ソイツらによって、亜人らの村々が襲撃されていたのさ』
「…………まさか、くいなの村も……」
セン隊長がボソッと呟いたが、とてもクラッシャーには聞こえないほど小さな声だった。
『構成員……ゴルゴダ機関の構成員は、それぞれが隊列を組んで独立している。
その中の『隊長』と呼ばれるヤツらのみは———人智を超えた化け物だらけだ。
ある者は卓越した身体能力を備え、またある者は岩をも容易に砕く剛力を有し、ある者は全てを見切る真眼と、ありとあらゆる物をこの世界より消滅に追いやる能力を持っている。
ある者は不死身にして、ある者は史上最高の人型機動兵器操縦者、華奢な身体でパイルバンカーを振り回す化け物や———』
(……パイルバンカーって何ですか?!?!
と聞きたくなったが、まだ話の途中だし、これは僕の始めた話だからな……)
『オネエ言葉を話しながら、ひたすら爆発する剣を投げ続ける悪魔、そしてどんな人間の姿にもなれる百面相———』
「ひっ」
『ああ?!……一体何だってんだよ急に!』
こ……声が出てしまった。
百面相———多分僕だ、トゥルースだ。
「い……いや、できればその百面相についてもっと聞きたくて……」
『これ以外の情報があるかよ、どんな人間の姿にもなれるから、もしかしたらスパイとして人界軍に侵入してる可能性もある……ってだけさ。……テメェが聞きたかったのはこの情報か?』
「その人についてもっと知りたかったんですけど……分かりました、ありがとうございます。話を続けてください」
『もうねえよ、今の百面相で情報は終わりだ、そもそもタダでこの俺が情報をやること自体感謝されるべきなんだがなぁ……
それじゃあ俺は戻るが———』
「戻るんですか?」
不思議そうに顔を傾けて質問したのは隊長だった。
『戻るに決まってんだろ、すぐそこまで来ているんだからな』
……すぐそこまで、来ている??
………………何が?
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お兄ちゃんの装備でダンジョン配信
高瀬ユキカズ
ファンタジー
レベル1なのに、ダンジョンの最下層へ。脱出できるのか!?
ダンジョンが現代に現れ、ライブ配信が当たり前になった世界。
強さに応じてランキングが発表され、世界的な人気を誇る配信者たちはワールドクラスプレイヤーと呼ばれる。
主人公の筑紫春菜はワールドクラスプレイヤーを兄に持つ中学2年生。
春菜は兄のアカウントに接続し、SSS級の激レア装備である【神王の装備フルセット】を持ち出してライブ配信を始める。
最強の装備を持った最弱の主人公。
春菜は視聴者に騙されて、人類未踏の最下層へと降り立ってしまう。しかし、危険な場所に来たことには無自覚であった。ろくな知識もないまま攻略し、さらに深い階層へと進んでいく。
無謀とも思える春菜の行動に、閲覧者数は爆上がりする。
モニターに応募したら、系外惑星に来てしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。
津嶋朋靖(つしまともやす)
SF
近未来、物体の原子レベルまでの三次元構造を読みとるスキャナーが開発された。
とある企業で、そのスキャナーを使って人間の三次元データを集めるプロジェクトがスタートする。
主人公、北村海斗は、高額の報酬につられてデータを取るモニターに応募した。
スキャナーの中に入れられた海斗は、いつの間にか眠ってしまう。
そして、目が覚めた時、彼は見知らぬ世界にいたのだ。
いったい、寝ている間に何が起きたのか?
彼の前に現れたメイド姿のアンドロイドから、驚愕の事実を聞かされる。
ここは、二百年後の太陽系外の地球類似惑星。
そして、海斗は海斗であって海斗ではない。
二百年前にスキャナーで読み取られたデータを元に、三次元プリンターで作られたコピー人間だったのだ。
この惑星で生きていかざるを得なくなった海斗は、次第にこの惑星での争いに巻き込まれていく。
(この作品は小説家になろうとマグネットにも投稿してます)
ジュラシック村
桜小径
SF
ある日、へんな音が村に響いた。
ズシン、ズシン。
巨大なものが村の中を徘徊しているような感じだ。
悲鳴もあちこちから聞こえる。
何が起こった?
引きこもりの私は珍しく部屋の外の様子がとても気になりはじめた。
毒素擬人化小説『ウミヘビのスープ』 〜十の賢者と百の猛毒が、寄生菌バイオハザード鎮圧を目指すSFファンタジー活劇〜
天海二色
SF
西暦2320年、世界は寄生菌『珊瑚』がもたらす不治の病、『珊瑚症』に蝕まれていた。
珊瑚症に罹患した者はステージの進行と共に異形となり凶暴化し、生物災害【バイオハザード】を各地で引き起こす。
その珊瑚症の感染者が引き起こす生物災害を鎮める切り札は、毒素を宿す有毒人種《ウミヘビ》。
彼らは一人につき一つの毒素を持つ。
医師モーズは、その《ウミヘビ》を管理する研究所に奇縁によって入所する事となった。
彼はそこで《ウミヘビ》の手を借り、生物災害鎮圧及び珊瑚症の治療薬を探究することになる。
これはモーズが、治療薬『テリアカ』を作るまでの物語である。
……そして個性豊か過ぎるウミヘビと、同僚となる癖の強いクスシに振り回される物語でもある。
※《ウミヘビ》は毒劇や危険物、元素を擬人化した男子になります
※研究所に所属している職員《クスシヘビ》は全員モデルとなる化学者がいます
※この小説は国家資格である『毒劇物取扱責任者』を覚える為に考えた話なので、日本の法律や規約を世界観に採用していたりします。
参考文献
松井奈美子 一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集
船山信次 史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり
齋藤勝裕 毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで
鈴木勉 毒と薬 (大人のための図鑑)
特別展「毒」 公式図録
くられ、姫川たけお 毒物ずかん: キュートであぶない毒キャラの世界へ
ジェームス・M・ラッセル著 森 寛敏監修 118元素全百科
その他広辞苑、Wikipediaなど
雪原脳花
帽子屋
SF
近未来。世界は新たな局面を迎えていた。生まれてくる子供に遺伝子操作を行うことが認められ始め、生まれながらにして親がオーダーするギフトを受け取った子供たちは、人類の新たなステージ、その扉を開くヒトとしてゲーターズ(GATERS=GiftedAndTalented-ers)と呼ばれた。ゲーターズの登場は世界を大きく変化させ、希望ある未来へ導く存在とされた。
希望の光を見出した世界の裏側で、存在情報もなく人間として扱われず組織の末端で働く黒犬と呼ばれ蔑まれていたジムは、ある日、情報部の大佐に猟犬として拾われ、そこで極秘裏に開発されたアズ(AZ)を用いる実験部隊となった。AZとは肉体を人間で構築し、その脳に共生AIであるサイ(SAI)を搭載した機械生物兵器、人工の子供たちだった。ジムは配備された双子のAZとともに、オーダーに従い表裏の世界を行き来する。
光の中の闇の王、食えない機械の大佐、変質的な猫、消えた子供、幽霊の尋ね人。
AIが管理する都市、緑溢れる都市に生まれ変わった東京、2.5次元バンド、雪原の氷花、彷徨う音楽、双子の声と秘密。
曖昧な世界の境界の淵から光の世界を裏から眺めるジムたちは何を見て何を聴き何を求めるのか。
銀河太平記
武者走走九郎or大橋むつお
SF
いまから二百年の未来。
前世紀から移住の始まった火星は地球のしがらみから離れようとしていた。火星の中緯度カルディア平原の大半を領域とする扶桑公国は国民の大半が日本からの移民で構成されていて、臣籍降下した扶桑宮が征夷大将軍として幕府を開いていた。
その扶桑幕府も代を重ねて五代目になろうとしている。
折しも地球では二千年紀に入って三度目のグローバリズムが破綻して、東アジア発の動乱期に入ろうとしている。
火星と地球を舞台として、銀河規模の争乱の時代が始まろうとしている。
【完結】欠陥品と呼ばれていた伯爵令息だけど、なぜか年下の公爵様に溺愛される
ゆう
BL
アーデン伯爵家に双子として生まれてきたカインとテイト。
瓜二つの2人だが、テイトはアーデン伯爵家の欠陥品と呼ばれていた。その訳は、テイトには生まれつき右腕がなかったから。
国教で体の障害は前世の行いが悪かった罰だと信じられているため、テイトに対する人々の風当たりは強く、次第にやさぐれていき・・・
もう全てがどうでもいい、そう思って生きていた頃、年下の公爵が現れなぜか溺愛されて・・・?
※設定はふわふわです
※差別的なシーンがあります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる