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第一次真珠海作戦(後)
Side-ヒノカグツチ: 浮かびあがる本当の敵
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ヒノカグツチ内、作戦総司令部。
*◇*◇*◇*◇
総司令部は今、勝利の歓喜に沸いていた。それだけじゃない。5体ものΞ標的を、一瞬のうちに撃滅せしめたヴェンデッタ・シンの存在も、その興奮の中では大きなものだった。
———が、そんな中。もはや標的は地上の歩兵しかいなくなってしまった戦場にて、ヴェンデッタ・シンは再度、西の海に銃口を向ける。
その異常に気付いた黒司令は、即座にヴェンデッタ・シンに通信を繋げる。
「こちらヒノカグツチ総司令部より、コーラス7。ヴェンデッタに妙な動きが見られるが、何か異常を発見したのか?」
『……異常?…………いえ、そのようなものは———すいません、ちょっと待ってください!』
5秒おいて、再度通信が繋がる。
『敵……です、まだ敵は生き残っています! 西の海、ヒノカグツチ正面から見た8時方向に……何かがいます!』
ケイの声に、ブリッジ内は騒然とする。完全に終わったと、祝杯を飲まんとするばかりの雰囲気が一変。もしやもしやと、非常の事態に備え皆が気を引き締める。
『8時方向、真珠海北西部付近に、艦影1! 凄まじい速さで移動しています!』
ヒノカグツチクルーがそう発した瞬間、ヴェンデッタ・シンはその艦影に向かいCキャノン最大出力を放射する。
『ヴェンデッタCキャノン砲撃、艦影に直撃!』
「状況は?!」
『…………敵艦、浮上…………メインモニター、映します』
紅き海に浮かぶその姿がモニターに映り込んだ時、ブリッジ内が一気にざわつく。
『機械……?』
『船……なのか、あれが?』
『機械仕掛けの船……鉄の船……?』
映し出されたのは、一面を灰色の鉄装甲で覆った、魚のような形をした巨大な船。
……が、それを見た時、黒は思わず言葉を漏らす。
「…………機神」
皆の目が一斉に、後ろにて仁王立ちする黒司令に傾く。
「機神、ポセイドン……海を司りし機巧神、ポセイドン…………そうか、Ξ標的らの援軍は、ヤツが送っていたのか……!」
告げられた名。
人界軍、トランスフィールド……両軍が本当に刃を向けるべき敵、機械仕掛けの神、機神。
そう、アレが———人類を追い詰めた神の姿。それにしてはあまりにも———、
「しかし、アレはあまりにも……神にしては滑稽だ」
『神』。自然現象、心のどこかで信仰されるものの具象化。
人智ではどうにもできない、超越的存在。
そんなものの真体が———現生人類が初めて目にするその姿が、あのような機械仕掛けとなると———それはもはや、神として滑稽であると言わざるを得なかった。
「コーラス7! 今は無理にとは言わん、ヤツの排除を———」
『……いいえ、大丈夫です。ヤツは撤退します。この戦いは、もう既に終わりました』
コーラス7———ケイの言う通り、ポセイドンと呼ばれた機神の影は、その姿を徐々に眩ましてゆく。
「機神ポセイドンの監視を怠るな! ヤツは何をしでかすか分からんぞ!」
『…………反応、消失。機神ポセイドン、戦域を離脱しました。
最重要目標であるΞ標的の反応はゼロ、他神話的生命体種の反応は微弱、大穴の島内部にはほとんど上陸していません』
『両軍機動部隊は、順次帰投中。ヒノカグツチの帰投を以て、作戦は終了するものとなっています』
「終わった、か———まさか、生きて帰れるとは…………
ヒノカグツチ、第二種警戒態勢に移行、王都人界軍総司令基地に向け前進!
……トランスフィールドのヤツらにとっては、最高の結果を見せつけることができたな」
*◇*◇*◇*◇
総司令部は今、勝利の歓喜に沸いていた。それだけじゃない。5体ものΞ標的を、一瞬のうちに撃滅せしめたヴェンデッタ・シンの存在も、その興奮の中では大きなものだった。
———が、そんな中。もはや標的は地上の歩兵しかいなくなってしまった戦場にて、ヴェンデッタ・シンは再度、西の海に銃口を向ける。
その異常に気付いた黒司令は、即座にヴェンデッタ・シンに通信を繋げる。
「こちらヒノカグツチ総司令部より、コーラス7。ヴェンデッタに妙な動きが見られるが、何か異常を発見したのか?」
『……異常?…………いえ、そのようなものは———すいません、ちょっと待ってください!』
5秒おいて、再度通信が繋がる。
『敵……です、まだ敵は生き残っています! 西の海、ヒノカグツチ正面から見た8時方向に……何かがいます!』
ケイの声に、ブリッジ内は騒然とする。完全に終わったと、祝杯を飲まんとするばかりの雰囲気が一変。もしやもしやと、非常の事態に備え皆が気を引き締める。
『8時方向、真珠海北西部付近に、艦影1! 凄まじい速さで移動しています!』
ヒノカグツチクルーがそう発した瞬間、ヴェンデッタ・シンはその艦影に向かいCキャノン最大出力を放射する。
『ヴェンデッタCキャノン砲撃、艦影に直撃!』
「状況は?!」
『…………敵艦、浮上…………メインモニター、映します』
紅き海に浮かぶその姿がモニターに映り込んだ時、ブリッジ内が一気にざわつく。
『機械……?』
『船……なのか、あれが?』
『機械仕掛けの船……鉄の船……?』
映し出されたのは、一面を灰色の鉄装甲で覆った、魚のような形をした巨大な船。
……が、それを見た時、黒は思わず言葉を漏らす。
「…………機神」
皆の目が一斉に、後ろにて仁王立ちする黒司令に傾く。
「機神、ポセイドン……海を司りし機巧神、ポセイドン…………そうか、Ξ標的らの援軍は、ヤツが送っていたのか……!」
告げられた名。
人界軍、トランスフィールド……両軍が本当に刃を向けるべき敵、機械仕掛けの神、機神。
そう、アレが———人類を追い詰めた神の姿。それにしてはあまりにも———、
「しかし、アレはあまりにも……神にしては滑稽だ」
『神』。自然現象、心のどこかで信仰されるものの具象化。
人智ではどうにもできない、超越的存在。
そんなものの真体が———現生人類が初めて目にするその姿が、あのような機械仕掛けとなると———それはもはや、神として滑稽であると言わざるを得なかった。
「コーラス7! 今は無理にとは言わん、ヤツの排除を———」
『……いいえ、大丈夫です。ヤツは撤退します。この戦いは、もう既に終わりました』
コーラス7———ケイの言う通り、ポセイドンと呼ばれた機神の影は、その姿を徐々に眩ましてゆく。
「機神ポセイドンの監視を怠るな! ヤツは何をしでかすか分からんぞ!」
『…………反応、消失。機神ポセイドン、戦域を離脱しました。
最重要目標であるΞ標的の反応はゼロ、他神話的生命体種の反応は微弱、大穴の島内部にはほとんど上陸していません』
『両軍機動部隊は、順次帰投中。ヒノカグツチの帰投を以て、作戦は終了するものとなっています』
「終わった、か———まさか、生きて帰れるとは…………
ヒノカグツチ、第二種警戒態勢に移行、王都人界軍総司令基地に向け前進!
……トランスフィールドのヤツらにとっては、最高の結果を見せつけることができたな」
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