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第一次真珠海作戦(後)

Side-リコ:届かぬ想い

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「コーラス2、ヴェンデッタ! ただ今前線に復帰しましたーーっ!」

『同じくコーラス1、前線に復帰しました。

 ベーゼンドルファーとの戦闘は、Ξ標的の介入により一時中断、ベーゼンドルファー側もΞ標的の方角へと退避していきました』

 ———なんやかんやあって。
 空中を飛んでいようものなら、Ξ標的の的となるだけだということで、とりあえずセン隊長と一緒に降りてきて、地上の第0機動小隊の援護に回ることにした。


『2人ともご苦労。これより第0機動小隊は、この私、レイ・ゲッタルグルトを先頭に、最前線へと突撃をかける。

 今の最前線の状況は———はっきり言って最悪だ。なんとかΞ標的の進行は抑えてはいるものの、それよりも他の神話的生命体の種の進行スピードが凄まじい。

 前の方では、最前列が10秒刻みで入れ替わるほどの事態となっているらしい。ちょうど我々も、機体の簡易修理が終わったところなので、前線に出て風向きを変えようと言ったところだ』


『リコちゃん、おかえり!……よかったぁ~、ちゃんとリコちゃんが生きてて!』

 ……レイさんの話には耳もくれず、ニンナは速攻で私の方に通信をよこしてきた。

「そんな簡単に死ぬようじゃ、私には任せられないって。……てか、私はレイさんの話の方聞くからね?」

『我々の現在の目的は、ヒノカグツチの荷電粒子砲発射まで、Ξ標的をあのポイントに抑え続けることにある。

 突撃時の陣形は……こうだ。今そちらに、簡易的な陣形データが送られたはずだ』


 ……ホントだ。メインモニターに直接映し出されてる。

『Λ』の字の陣形。偃月えんげつの陣。防衛作戦のはずなのに、隊長(役)が自ら切り込むとか嘘でしょ。

 私はレイさんの背後2機のうちの左側に配置されている。……とは言えやることは変わらない。


『陣形の説明だ。まず私を先頭に、その後ろにコーラス1、コーラス2の2機を。

 さらにその後ろにコーラス3と4の2機を配置し、大規模な魔力障壁を展開できるコーラス10———ニンナ機は、開いた後方の中央に位置するように配置した。……見ようによっては三角形だな、これは』


 ……そんなことはどうでもいい、どうでもいいが———最初にいたはずの秀徳……コーラス12はどこへ?

「あの、秀徳は———秀徳はどこへ……」

『ゼクスのパイロットか……はっきり言おう、死んだ』

 ———え?
 死んだ……?

 嘘でしょ、だって……いや、そんなヘマをするような人じゃないはず。
 なんたってここまで生き残ったんだ、そんなところでみすみす死ぬような人間じゃなかったはずだ。

「…………それ、は…………」

『言ったとおりだ。ヤツはベーゼンドルファーを相手にしようと飛び立った瞬間、十数本の神力光線に貫かれた。

 …………死んだんだ、アイツは』



 受け入れろ、と。

 ……なんだか、虚しくて、悲しい。
 あれだけ復讐を願っていたのに。ランドの仇を取ると意気込んでいたのに、そんな呆気ない理由で死ぬなんて。

「……ありがとうございます。じ、邪魔しちゃってすいません、陣形の説明等の継続をお願いします」

『説明はもう終わった。……2分後に出発だ、それまでに心の準備を済ませておけ』
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