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断章/記録:『終末戦争』

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『……これは、この世界の誰もが聞いたことのある、とおいとおいむかしのおはなし。

 ある日、おてんとさまはなくなってしまいました』

 ———ユンタール著『むかしむかし』第一幕より抜粋。



『雲が晴れ行くその最中、我々は大穴にて、光を纏った巫女を発見した。

 その巫女は、同じく光り輝く赤子を連れていた。名を『セイバー』と言うそうだ。
 巫女は我々に予言を下さった。『セイバーの子———救世主の子を育てよ』と。

 我々は遠く離れた島国に移住し、そこに住まう『カミ』と共に、救世主の子を育むことに決めた。

 ……後の、ヘファイストス神殿国である』

 ———サイベル・セイバー著『神殿国建設記(復元版)』第一章より抜粋。



『禁断の兵器の有する光が、地上を明るく照らし続ける。……しかしそれは、破滅の光も同義であった。
 ソラに向かい光が伸びた時、地は震え、怯えて裂けてしまった。……もはや、我々の味方をしてくれるモノは、何一つ存在しないのだと、我々は無意識に悟ってしまった』

 ———ラングリー・チェインズ著『リアル・ノンフィクション』第七章八幕より抜粋。


『この書物を、何も知らず、一方的に戦争を仕掛けられた人類へと託そう。

 戦争を終█らせ█条件とは、『願いの子セイバー█持つ神技ジル———全█全能ザ・オー██イティを使い、█穴にて何らかの██を███ことだ。……1つの知██の命と、███えに。

 大穴の扉を開く条件は———ありとあらゆる種█の█命█の血を海に流し、海を紅く染めること。そして、『鍵』を持つ者を同行させること。
 ……その█と引き換えに、我々は願いを手にすることができるのだ』

 ———アベル・セイバー(?)著『手記』より抜粋



『我々人類は、敗北を受け入れなければならない。

 多種族による戦争。世界を灰と魔力———瘴気の雲で覆った最悪の戦乱。

 しかし、勝利条件も、その何もかもを人類は知らない。そもそも、人類はそのような戦争を執り行う事すら知らされなかった。我々はあまりにも無知すぎたのだ。周りがそう仕組んだのかは分からないが。

 ……しかし、今日この日を以て、それも終わりとなるであろう。

 王都は陥落した。機甲帝国軍は裏切り、離反し、残った我々は敗北した。……しかし尊厳は守ろう。貴様らの誇りと尊厳は、我々が冥府まで保障し、何人たりとも侵されぬ権利を以て終わりとしよう』


 ———何者か、著。
『手記』より抜粋。







 終末戦争。
 1000年前、この地にて巻き起こった最悪の戦争。ありとあらゆる知的生命体が『大穴の底のモノ』を欲し、互いを滅ぼし合い、結果何も残らなかった最悪の戦争。

 結果、星が一度は死に絶えた。幾度となく過去に起こった絶滅とは違う、人々が自ら自分の首を絞め、星までも滅ぼした稀有な例だ。

 我々現生人類は、この戦争の裏にある『勝利条件』を解き明かし、ヤツらの———機神の行おうとしている『エターナル』の全貌を、一刻も早く知り得なければならない。

 水面下で進み続けるプロジェクト・エターナル。その成就のためには、あの願いを叶える願望機———『大穴の底のモノ』が必要不可欠だ。だからこそ、我々はアレが何なのかを解き明かさなくてはならない。



 だが、我々はやはり何も知らなすぎる。
 そもそも『機神』とは何なのか、『願いを叶える力』を持つ『大穴の底のモノ』とはそもそも何なのか。

『カミ』の定義は何なのか、なぜ機神はヒトに干渉するのか、そもそもこの計画は誰が仕組み、誰の為の計画なのか。

 ———しかし何にせよ、今の我々には———奇しくにも戦うことしか道は残されていなかった。

 対話は望めない。それは先日の『ゴルゴダ機関2番隊隊長ヴォレイ襲撃事件』の結果を見ても明らかだ。敵は確実に我々に対し敵意を向けていた。


 ならば人類もそれに応えよう。我が全兵力を以て、人類の未来を我らなりの、より良いものにするために』



 ———ユダレイ・タッカーダル四世人界王著『手記』
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