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屍山血河〜王都防衛戦〜

銀燭の煌めき

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◇◇◇◇◇◇◇



 ———言われるがままに、その機体のユニットコンテナに乗せられてしまった。

 中にいたのは———ヴェンデッタを操っていたのは、鋼の鎧を身に纏った、左腕のない隻腕の女騎士だった。
 ———しかし見覚えがある、一体私はどこでこの人を……?


「紹介が遅れたな、私の名はレイ。人界軍王都近衛騎士団長、レイ・ゲッタルグルト。コールサインはアヴェンジ1だ。……して、貴公の名は?」

 レイ……レイ……って、2人いる近衛騎士団長の片割れ……!
 そんな人が乗る機体が……コレ……!


「あ……わ……わわっ、私の名前は……リコ・プランク……です、先程は本当に……あ……あありがとうございました……っ!」

 緊張のせいだろうか、どこか声がしどろもどろになってしまう。

「そう緊張せずとも良い。身内———違うな、知人以外と話す時はこの堅苦しい話し方でいくと決めているのだ、本来の私はもっと軽い故、安心するが良い」

「いや……本来の貴方が軽くても……今私の目の前にいる貴方は堅っ苦しいんですけどそれは……」

「気にする必要はない。………………して、貴公は見たところ第0機動小隊の者であろうが……ライとはうまくやれているか?」

 ライ……教官だ……!
 そうだった、教官も近衛騎士団長の片割れ、そりゃあこっちの様子も聞いてくるよなぁ……

「は……ああ……ライ……教官とは……うまくいっている……とは言えませんけど、まあそれなりの関係は……」


「………………それが聞けただけでもよかった、ちゃんと彼女は皆を導けている様だしな。

 ……では一掃の時間と行こう、リコ……とやら、貴公もその目に焼き付けるが良い、コレが人類の、人界軍の力だ……!」



「目に焼き付けるが良い……って、今から何をするつもりなんですかっ?!」




「———言ったであろう、新型兵器は威力が強すぎる、と」

 瞬間、ユニットコンテナの画面が赤く染まる。

「ロック、オンッ!」

 映し出されていたのは、無数にある敵———神話的生命体を囲むようにして貼り付けられたオレンジの枠。

 画面の外———右端より突如現れた外装のスコープが、画面内に被さるようにして固定される。

「補助魔力機関、臨界点到達……固定武装化簡易式アンチバレル、出力安定、発射予測軌道位置修正、間接思考制御スコア上昇……」

「ちょ……ちょちょちょ、一体何をする気で———」

「貴公には先程申したであろう、一掃の時間だ、と。この武器はアンチバレル、先程Ξ標的を貫いた概念武装の簡易版。

 その本家のある程度の機能を移植し、魔力で稼働する超高出力型機動砲台と化したのが、我が機体『ヴェンデッタ』の左腕固定武装、『固定武装化簡易式アンチバレル』。

 その威力、その力、その光、しかとその心に刻み付けるがいい。これこそが、人類の持ち得る力の結晶だとも」

「騎士———なのに、騎士なのにそんな銃なんて使っていいんですかーーーっ?!」


 


 轟音と、雷鳴の如き発射音。
 溢れんばかりの光に包まれるユニットコンテナ。

 直後、前方———かなり奥の方で、何らかの炸裂音が聞こえる。

 開けた視界、そこには———、


「何……も……ない……?」
「———ふ」


 先程まで———眼前を埋め尽くしていた神話的生命体の姿は———どこに消えたのか。

 ……いいや、それは奥の方にて黒煙を上げながら崩れ行く岩場が証明していた。

「いま……ので、ぜんぶ……やった……?」

「そう……そうさ、今の一撃が———全てを吹き飛ばした。……しかしここまで……とはな……!」

 そう言いつつもレイさんが———ヴェンデッタが目をやった右側には、そこにもまたおびただしい数の神話的生命体が。

「あちらの方も殲滅しに赴く、クイックブーストの衝撃に注意するがよい!」
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