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第二章
エルフの特性③
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「あのな、ベアトリス。エルフの力は絶大だから、世の均衡を崩さないために干渉しないよう心掛けているんだ。この対応はお前に限った話じゃないから、あんま気にすんなよ」
誤解を生まないようフォローし、ルカは大きな溜め息を零した。
「まあ、それはそれとしてこいつの態度はめっちゃムカつくけどな。何度、殴り飛ばそうと思ったことか……」
どこか遠い目をしながら強く手を握り締め、ルカは『何でこんなに偉そうなんだよ』とボヤく。
────と、ここでバハルが前足をテーブルに叩きつけた。
「別にエルフの力なんて、必要ないわよ!我々季節の管理者はもちろん、リエート・ラスター・バレンシュタインだって居るもの!」
フンッと顔を反らし、バハルは『何様なの』と文句を零す。
明らかにムスッとしているキツネの前で、タビアは
「そうだな。あの規格外が居れば、我々の力なんて必要ないだろう」
と、共感を示した。
とてつもない鈍感なのか、はたまたわざとなのか……彼はバハルの嫌味を軽く受け流す。
そして紅茶を飲み干すと、おもむろに席を立った。
「用事は済んだから、もう帰る」
「えっ?も、もうですか?」
「ああ、四季を司りし天の恵みが……ベアトリスが精霊を使って悪さ出来るほど、度胸のあるやつじゃないと分かったからな」
『それだけ確かめたかったんだ』と語り、タビアはベランダへ直行した。
慌ててあとを追い掛ける私に対し、彼は黄金の瞳をスッと細める。
「ベアトリスのように無垢で純粋な者が、四季を司りし天の恵みになってくれて良かった」
そう言うが早いか、タビアは手すりを乗り越えてベランダから飛び降りた。
『えっ!?ここ、二階……!』と慌てる私を他所に、タビアは風に乗ってどこかへ行ってしまう。
「あいつは本当に……自由すぎだろ」
深い深い溜め息を零すルカは、『せめて、玄関から出入りしろよ』と呆れる。
いつも床や天井を通り抜けて、行き来している自分のことは棚に上げて。
『まあ、もう慣れたからいいんだけどね』と思いつつ、私は小さく肩を竦めた。
誤解を生まないようフォローし、ルカは大きな溜め息を零した。
「まあ、それはそれとしてこいつの態度はめっちゃムカつくけどな。何度、殴り飛ばそうと思ったことか……」
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────と、ここでバハルが前足をテーブルに叩きつけた。
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明らかにムスッとしているキツネの前で、タビアは
「そうだな。あの規格外が居れば、我々の力なんて必要ないだろう」
と、共感を示した。
とてつもない鈍感なのか、はたまたわざとなのか……彼はバハルの嫌味を軽く受け流す。
そして紅茶を飲み干すと、おもむろに席を立った。
「用事は済んだから、もう帰る」
「えっ?も、もうですか?」
「ああ、四季を司りし天の恵みが……ベアトリスが精霊を使って悪さ出来るほど、度胸のあるやつじゃないと分かったからな」
『それだけ確かめたかったんだ』と語り、タビアはベランダへ直行した。
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「ベアトリスのように無垢で純粋な者が、四季を司りし天の恵みになってくれて良かった」
そう言うが早いか、タビアは手すりを乗り越えてベランダから飛び降りた。
『えっ!?ここ、二階……!』と慌てる私を他所に、タビアは風に乗ってどこかへ行ってしまう。
「あいつは本当に……自由すぎだろ」
深い深い溜め息を零すルカは、『せめて、玄関から出入りしろよ』と呆れる。
いつも床や天井を通り抜けて、行き来している自分のことは棚に上げて。
『まあ、もう慣れたからいいんだけどね』と思いつつ、私は小さく肩を竦めた。
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