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第一章
怒りと軽蔑《カーティス side》
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────一方、その頃の僕はと言うと……用意された客室で、父と母に怒られていた。
「なんてことをしてくれたんだ!カーティス!このままでは、カラミタ王国は終わりだ!」
そう言って、目くじらを立てるのは────カラミタ王国の国王である、カイル・キャンベルだった。
僕と同じ金髪碧眼の美男子で、子持ちとは思えないほど若々しい美貌を保っている。
憤怒の表情を浮かべる彼は、床に正座する僕を忌々しげに睨みつけた。
「も、申し訳ありません……」
「謝罪など、後でいい!今はこの状況をどうするのか、考えろ!リナの暴走を止められなかったお前には、その義務がある!」
「は、はい……」
父上の無茶振りとしか思えない命令に、僕は内心頭を抱える。
責任も何も、リナをエスポワール王国に連れて来たのは父上だろう……!!
確かにリナの暴走を止められなかった僕にも責任はあるが、そもそもの原因は不正入国に手を貸した父上にある!なのに、父上と来たら……!自分のことは棚に上げて、僕を叱りつけるから、困ったものだ!
「カーティス、打開策を考える前に一つ確認しておきたいことがあるのだけど……あの子とそういう関係になっていたのは、事実なの?仲がいいのは知っていたけど、体の関係まであるなんて聞いてないわよ」
ソファの上で、偉そうにふんぞり返る美女─────ケイト・キャンベルは冷たい目でこちらを見下ろす。
海のように綺麗な青髪とエメラルドのように美しい緑の瞳を持つ彼女は、僕の実母にしてカラミタ王国の王妃でもある。
昔から口うるさい人で、曲がったことが大嫌い。側妃たちとの後宮争いもあり、母は常にピリピリしていた。
特にリナの母親────レイチェルには当たりが強い。
と言うのも、陛下の寵愛を独占しているから。父上がリナに甘いのも、愛する女性との子供だから……。
それをよく思わない母上は、リナと仲良くする僕にもいつも腹を立てていた。
でも、リナがまだ子供だからか表立って責められることはなかったけど……。
でも────体の関係を持っているとなれば、話は変わってくる。
さすがに母上も許してはくれないだろう。
「母上、これは……その……えっと……」
「何をそんなに悩んでいるの?これは『はい』か『いいえ』の簡単な質問だと思うのだけれど」
「そ、それは……」
曖昧な返事ばかりで明確な答えを出そうとしない僕に、母上は呆れたように溜め息を零した。
軽蔑を込めた冷たい眼差しに、僕は萎縮してしまう。
「真っ先に体の関係を否定しないってことは、あの子の話は本当だったみたいね……まさか、貴方がここまで落ちぶれているとは思わなかったわ。次男だからと甘やかし過ぎたようね」
「は、母上!これは……!」
「言い訳なんて聞きたくないわ。貴方にはガッカリよ」
幻滅したと言わんばかりに首を振り、母上はソファから立ち上がる。
そして、そのまま隣の部屋へと行ってしまった。
「なんてことをしてくれたんだ!カーティス!このままでは、カラミタ王国は終わりだ!」
そう言って、目くじらを立てるのは────カラミタ王国の国王である、カイル・キャンベルだった。
僕と同じ金髪碧眼の美男子で、子持ちとは思えないほど若々しい美貌を保っている。
憤怒の表情を浮かべる彼は、床に正座する僕を忌々しげに睨みつけた。
「も、申し訳ありません……」
「謝罪など、後でいい!今はこの状況をどうするのか、考えろ!リナの暴走を止められなかったお前には、その義務がある!」
「は、はい……」
父上の無茶振りとしか思えない命令に、僕は内心頭を抱える。
責任も何も、リナをエスポワール王国に連れて来たのは父上だろう……!!
確かにリナの暴走を止められなかった僕にも責任はあるが、そもそもの原因は不正入国に手を貸した父上にある!なのに、父上と来たら……!自分のことは棚に上げて、僕を叱りつけるから、困ったものだ!
「カーティス、打開策を考える前に一つ確認しておきたいことがあるのだけど……あの子とそういう関係になっていたのは、事実なの?仲がいいのは知っていたけど、体の関係まであるなんて聞いてないわよ」
ソファの上で、偉そうにふんぞり返る美女─────ケイト・キャンベルは冷たい目でこちらを見下ろす。
海のように綺麗な青髪とエメラルドのように美しい緑の瞳を持つ彼女は、僕の実母にしてカラミタ王国の王妃でもある。
昔から口うるさい人で、曲がったことが大嫌い。側妃たちとの後宮争いもあり、母は常にピリピリしていた。
特にリナの母親────レイチェルには当たりが強い。
と言うのも、陛下の寵愛を独占しているから。父上がリナに甘いのも、愛する女性との子供だから……。
それをよく思わない母上は、リナと仲良くする僕にもいつも腹を立てていた。
でも、リナがまだ子供だからか表立って責められることはなかったけど……。
でも────体の関係を持っているとなれば、話は変わってくる。
さすがに母上も許してはくれないだろう。
「母上、これは……その……えっと……」
「何をそんなに悩んでいるの?これは『はい』か『いいえ』の簡単な質問だと思うのだけれど」
「そ、それは……」
曖昧な返事ばかりで明確な答えを出そうとしない僕に、母上は呆れたように溜め息を零した。
軽蔑を込めた冷たい眼差しに、僕は萎縮してしまう。
「真っ先に体の関係を否定しないってことは、あの子の話は本当だったみたいね……まさか、貴方がここまで落ちぶれているとは思わなかったわ。次男だからと甘やかし過ぎたようね」
「は、母上!これは……!」
「言い訳なんて聞きたくないわ。貴方にはガッカリよ」
幻滅したと言わんばかりに首を振り、母上はソファから立ち上がる。
そして、そのまま隣の部屋へと行ってしまった。
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