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プロローグ

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 町外れの寂れた商店街───その隅っこにはある花屋がある。
 寂れた商店街とは対照的に美しい外装を保っている花屋は普通の人の目には映らない。
 いや、映らないというのは少し語弊があるだろう。
 正確には普通の人の記憶には残らない、だ。
 目には映るが、それはただの風景の一つにしか過ぎず、寂れた商店街の中で美しい外装を保っているそれは浮いている筈なのに印象に残らない。
 なんとも可笑しな花屋であった。
 そんな不思議な花屋にはやはり不思議なお客さんが舞い込むもので....。 
 そう、例えば“あやかし”とか....ね?
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