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第二章

降臨した天使《ロゼッタ side》

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 昨日のドラゴンと言い、一体どうなっているの……!?

 驚きのあまり身動き一つ取れない私は、呆然と立ち尽くす。
まともに声すら出せない私を、天使は冷たい目で見下ろした。

「貴方の言う通り、姿を現したと言うのにお礼の言葉もないんですね。獣でも、礼は欠かさないというのに……人間の知能は、ついに獣以下になったんですか?」

 初対面であろうと、関係なく暴言を吐く天使はまるで悪魔のようだった。

 聖書に書かれた天使のイメージとは、大分違うわね……。
彼は本当に天使なのかしら……?とてもじゃないけど、信じられないわ。

「ねぇ、貴方……」

「人間ごときに『貴方』と呼ばれる筋合いは、ありません」

「で、でも!私は貴方の名前を知らな……」

「貴方が私の名前を知る必要は、ありません。天使様とでも、お呼びください」

 だから、こっちは本当に天使なのか疑っているのよ!

 ────とは言えず、私は一旦口を閉ざす。
どうやって相手の素性を聞き出そうか悩む中、男性はふと立ち上がった。

「さて、無駄話している暇はありませんし、早速本題に入りましょうか────メイヴィス様を死に追いやった愚かな人間よ」

 仰々しい言い回しで話を切り出した男性は、茶色がかった瞳に鋭い光を宿した。
全てを見透かしたような眼差しに、私は思わず固まる。

 もしかして、彼はメイヴィスの関係者なの……?
でも、メイヴィスの味方は神官長のハワードしか、居なかった筈……。あくまで、地上では……の話だけど。
じゃあ、こいつは本当に────天使なの……?

 ────いや、有り得ない……!!でも……そう考えれば、全て辻褄は合う。
今までの異常現象も、天使の降臨も……メイヴィスが本当に神の花嫁であったなら、納得出来るものだった。

 それじゃあ、私は本物の神の花嫁聖女を死に追いやったってこと……?

 自分の行いを振り返り、私は『なんてことをしてしまったんだ』と後悔する。
尋常じゃないほどの冷や汗を流し、産まれたての子鹿のように震え上がった。
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