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第三章
第98話『謎の結界』
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「────皆さん、そのまま下に降りてください!どうやら、誰かが結界を張ってくれたみたいです!」
『これ幸い』と言わんばかりに、私は結界を活用するよう指示する。
────と、ここで徳正さんが限界高度に達し、ゴンッと頭をぶつけた。
かと思えば、そのまま急降下していく。
「いたたたた……限界高度、低すぎな~い?」
「徳正さんのジャンプ力が、異常なんですよ」
「そうかな~?普通だと思うけど~」
「それが普通だったら、ゲームバランスぶっ壊れです」
呆れ気味にそう答えると、またもや鈍い音が聞こえる。
どうやら、ラルカさんとシムナさんも頭をぶつけたらしい。
『そういえば、あの二人も限界高度まで飛べるんだった』と思い返す中、徳正さんはふと視線を下ろした。
「ラーちゃん、着地するよ~」
そう言うが早いか、徳正さんはトンッと小さな音を立てて着地した。
かなりの勢いで降下したにも拘らず、衝撃は少ない。
とりあえず、HPに変動はなし。
結界のおかげか、炎によるダメージもないし。
熱気すら感じない状況に感心していると、私達の両脇に何か降ってきた。
かと思えば、物凄い音を立てて着地する。
「し、死ぬかと思っ……」
「死ぬ訳ないでしょー?クソ雑魚狂戦士姫は馬鹿なのー?」
『まあまあ、落ち着け。限界高度から降下すれば、大抵の者は死を覚悟する。それにレオンは限界高度まで飛んだことすら初めてなんだ』
「それを言うなら、その白髪男もそうじゃーん!」
「ふふっ。僕はとても楽しかったよ。限界高度から見る景色は、格別だったね」
「ほらー!こいつ、めっちゃ楽しそうだよー?」
『……リアムは例外だ』
降ってきた何か────改め、ラルカさん達はギャーギャーと言い合いを繰り広げる。
相も変わらず騒がしい彼らを前に、徳正さんは小さく肩を竦めた。
「とりあえず、移動しよっか~。いつ、この結界がなくなるか分かんないし~」
「だねー。いきなり結界を解除されて、火の海に放り込まれるかもしれないしー」
『そもそも、この結界の上に居座る必要がないからな』
「もう移動してしまうのかい?僕はもう少しこの灼熱の炎を観察したかったのだが……」
「リアム……お前は『好奇心は猫をも殺す』って、諺を知らないのか……?」
ピシャリと言い放つレオンさんに対し、リアムさんはシュンと肩を落とした。
そして、おもちゃを取り上げられたかのような顔で俯くと、こちらを見る。
ん?あれ?なんか嫌な予感が……。
「ラミエル、もう少しここに居てはダメかい?あと二時間だけで、良いんだ……お願い出来ないかい?」
リアムさんは私との約束をきちんと覚えているのか、素直にお強請りしてくる。
捨てられた子犬のような目をしながら。
正直ちょっと可哀想な気もするけど、さすがに二時間は無理。
というか、貴方のせいでさんざん時間を無駄にしたこともう忘れちゃったの?
『そんな表情をしてもダメだからね』と思いつつ、私は一つ息を吐いた。
「そのお願いは聞けません。身の安全を確保するためにも、ここは早く移動するべきです」
「……そっか。分かったよ。ラミエルがそう言うのなら、従おう」
「ご理解頂き、ありがとうございます。では、皆さん移動しましょう」
見るからに元気のないリアムさんを一瞥し、私は前を向いた。
『情に絆されないようにしなきゃ』と考えながら。
「ラーちゃん、行くよ~?」
「はい」
コクリと頷くと、徳正さんは抱き方をお姫様抱っこに変更し、軽くジャンプした。
その後ろにシムナさんとラルカさんもついてくる。
じわじわと侵攻を繰り続ける火の海を一気に飛び越え、今度こそ地面に着地した。
とりあえず、これで死の危機は回避出来た。
あとは街中に居るファイアゴーレムをどう討伐するか、だけど……。
顎に手を当てて考え込む私は、徳正さんの肩越しに後ろを振り返る。
すると、そこにはもう────燃え盛る炎の海しかなかった。
あれ?さっきの結界は……?
まるでタイミングを見計らったように消えた半透明の結界を前に、私は困惑する。
やっぱり、結界を張った人は近くに居る……そうじゃなきゃ、こんなの有り得ない。
でも、わざわざ名乗り出ないということは何かしら事情があるのだろう。
なら、探すのはやめておいた方がいいかもしれない。
『そんな時間もないし……』と思案しつつ、私は二体のファイアゴーレムを見上げた。
「一先ず、こっちを先に片付けないと」
『これ幸い』と言わんばかりに、私は結界を活用するよう指示する。
────と、ここで徳正さんが限界高度に達し、ゴンッと頭をぶつけた。
かと思えば、そのまま急降下していく。
「いたたたた……限界高度、低すぎな~い?」
「徳正さんのジャンプ力が、異常なんですよ」
「そうかな~?普通だと思うけど~」
「それが普通だったら、ゲームバランスぶっ壊れです」
呆れ気味にそう答えると、またもや鈍い音が聞こえる。
どうやら、ラルカさんとシムナさんも頭をぶつけたらしい。
『そういえば、あの二人も限界高度まで飛べるんだった』と思い返す中、徳正さんはふと視線を下ろした。
「ラーちゃん、着地するよ~」
そう言うが早いか、徳正さんはトンッと小さな音を立てて着地した。
かなりの勢いで降下したにも拘らず、衝撃は少ない。
とりあえず、HPに変動はなし。
結界のおかげか、炎によるダメージもないし。
熱気すら感じない状況に感心していると、私達の両脇に何か降ってきた。
かと思えば、物凄い音を立てて着地する。
「し、死ぬかと思っ……」
「死ぬ訳ないでしょー?クソ雑魚狂戦士姫は馬鹿なのー?」
『まあまあ、落ち着け。限界高度から降下すれば、大抵の者は死を覚悟する。それにレオンは限界高度まで飛んだことすら初めてなんだ』
「それを言うなら、その白髪男もそうじゃーん!」
「ふふっ。僕はとても楽しかったよ。限界高度から見る景色は、格別だったね」
「ほらー!こいつ、めっちゃ楽しそうだよー?」
『……リアムは例外だ』
降ってきた何か────改め、ラルカさん達はギャーギャーと言い合いを繰り広げる。
相も変わらず騒がしい彼らを前に、徳正さんは小さく肩を竦めた。
「とりあえず、移動しよっか~。いつ、この結界がなくなるか分かんないし~」
「だねー。いきなり結界を解除されて、火の海に放り込まれるかもしれないしー」
『そもそも、この結界の上に居座る必要がないからな』
「もう移動してしまうのかい?僕はもう少しこの灼熱の炎を観察したかったのだが……」
「リアム……お前は『好奇心は猫をも殺す』って、諺を知らないのか……?」
ピシャリと言い放つレオンさんに対し、リアムさんはシュンと肩を落とした。
そして、おもちゃを取り上げられたかのような顔で俯くと、こちらを見る。
ん?あれ?なんか嫌な予感が……。
「ラミエル、もう少しここに居てはダメかい?あと二時間だけで、良いんだ……お願い出来ないかい?」
リアムさんは私との約束をきちんと覚えているのか、素直にお強請りしてくる。
捨てられた子犬のような目をしながら。
正直ちょっと可哀想な気もするけど、さすがに二時間は無理。
というか、貴方のせいでさんざん時間を無駄にしたこともう忘れちゃったの?
『そんな表情をしてもダメだからね』と思いつつ、私は一つ息を吐いた。
「そのお願いは聞けません。身の安全を確保するためにも、ここは早く移動するべきです」
「……そっか。分かったよ。ラミエルがそう言うのなら、従おう」
「ご理解頂き、ありがとうございます。では、皆さん移動しましょう」
見るからに元気のないリアムさんを一瞥し、私は前を向いた。
『情に絆されないようにしなきゃ』と考えながら。
「ラーちゃん、行くよ~?」
「はい」
コクリと頷くと、徳正さんは抱き方をお姫様抱っこに変更し、軽くジャンプした。
その後ろにシムナさんとラルカさんもついてくる。
じわじわと侵攻を繰り続ける火の海を一気に飛び越え、今度こそ地面に着地した。
とりあえず、これで死の危機は回避出来た。
あとは街中に居るファイアゴーレムをどう討伐するか、だけど……。
顎に手を当てて考え込む私は、徳正さんの肩越しに後ろを振り返る。
すると、そこにはもう────燃え盛る炎の海しかなかった。
あれ?さっきの結界は……?
まるでタイミングを見計らったように消えた半透明の結界を前に、私は困惑する。
やっぱり、結界を張った人は近くに居る……そうじゃなきゃ、こんなの有り得ない。
でも、わざわざ名乗り出ないということは何かしら事情があるのだろう。
なら、探すのはやめておいた方がいいかもしれない。
『そんな時間もないし……』と思案しつつ、私は二体のファイアゴーレムを見上げた。
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