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第一章
婚約破棄 7
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残暑を通りすぎ、今は少し肌寒い秋だと言うのにサラマンダーから溢れだす魔力のせいで汗をかいてしまった。
サラマンダーの殺気にあてられて気絶する人が数人。
学生の皆さんにはこの殺気はキツかったかもしれませんね。
「あっ、う....ぃや、その....ディアナは私のような身分の高い者が貰い受けた方が良いと思いまして...」
「身分?そんなもの俺達精霊には意味のないものだ。ディアナを本気で妻にしたいなら、俺達四大精霊全員と精霊王を倒してからにしろ。まあ、出来ないだろうがな」
ふんっと鼻で笑ってのけるサラマンダーにブラウン王子は顔を真っ赤に染める。
四大精霊全員と精霊王を倒すなんて人間である私達には無理な話だ。魔力量に自信のある私だって出来ない。
ブラウン王子の魔力量は中の下と言ったところ。それに話によると、魔力コントロールがこの歳にもなって未だに上手く出来ないんだとか。
そんなブラウン王子が四大精霊全員と精霊王に勝つことなんてまず無理だろう。
「ぶっ、無礼者!私はスターリ国第三王子ブラウンであるぞ!!私を愚弄することはこの国を敵に回すのと同義!覚悟は出来てっ...むぐっ!?」
「ええいっ!お前は一回黙れ!四大精霊であるサラマンダー様に私達が敵うわけがないだろう!お前はもう少し考えてから、ものを言わんか!」
ダミアン陛下はサラマンダーに喧嘩を売ろうとするブラウン王子を押さえつけ、近くの衛兵に渡した。
ダミアン陛下の対応は大正解だ。
今、ここでサラマンダーに喧嘩を売っていれば、確実にこの国は滅んでいた。
四大精霊であるサラマンダーにとって国を一つ滅ぼすことなど朝飯前である。
まあ、やる気満々だったサラマンダーは少し残念そうな顔をしているが...。
「ディアナ様、並びに四大精霊であるサラマンダー様、今回の我が息子の非礼をどうかお許しください」
ダミアン陛下はプライドも何もかも捨てて、腰を90度に曲げ私達に頭を下げる。
一国の王がこんなにも深く頭を下げるなど異例の事態だ。
「だ、ダミアン陛下!頭を上げてください!私は気にしていませんから!」
慌てて声をかけるが、ダミアン陛下は一向に顔を上げようとしない。
お願いですから、頭を上げてください!ダミアン陛下!
私は本当にこれっぽっちも気にしていないので!サラマンダーだってもう怒ってませんし!
「おい、頭上げろ。ディアナが困っている」
「.....分かりました」
サラマンダーが声をかけると、意外とあっさり顔を上げたダミアン陛下。
私じゃなくてサラマンダーの言うことは聞くんですね....ふーん?へー?
別にいじけてませんよー?ただちょっと気分悪いかなぁってだけで。
口先を尖らせる私の頭をサラマンダーは優しく撫でてくれた。
サラマンダーに頭を撫でられるのは凄く好き。
暖かくて大きな手だから、凄く安心する。
私の気分はすっかり良くなり、口元には笑みが浮かべられていた。
流石はサラマンダー!私の扱い方がよく分かってらっしゃる!
サラマンダーの殺気にあてられて気絶する人が数人。
学生の皆さんにはこの殺気はキツかったかもしれませんね。
「あっ、う....ぃや、その....ディアナは私のような身分の高い者が貰い受けた方が良いと思いまして...」
「身分?そんなもの俺達精霊には意味のないものだ。ディアナを本気で妻にしたいなら、俺達四大精霊全員と精霊王を倒してからにしろ。まあ、出来ないだろうがな」
ふんっと鼻で笑ってのけるサラマンダーにブラウン王子は顔を真っ赤に染める。
四大精霊全員と精霊王を倒すなんて人間である私達には無理な話だ。魔力量に自信のある私だって出来ない。
ブラウン王子の魔力量は中の下と言ったところ。それに話によると、魔力コントロールがこの歳にもなって未だに上手く出来ないんだとか。
そんなブラウン王子が四大精霊全員と精霊王に勝つことなんてまず無理だろう。
「ぶっ、無礼者!私はスターリ国第三王子ブラウンであるぞ!!私を愚弄することはこの国を敵に回すのと同義!覚悟は出来てっ...むぐっ!?」
「ええいっ!お前は一回黙れ!四大精霊であるサラマンダー様に私達が敵うわけがないだろう!お前はもう少し考えてから、ものを言わんか!」
ダミアン陛下はサラマンダーに喧嘩を売ろうとするブラウン王子を押さえつけ、近くの衛兵に渡した。
ダミアン陛下の対応は大正解だ。
今、ここでサラマンダーに喧嘩を売っていれば、確実にこの国は滅んでいた。
四大精霊であるサラマンダーにとって国を一つ滅ぼすことなど朝飯前である。
まあ、やる気満々だったサラマンダーは少し残念そうな顔をしているが...。
「ディアナ様、並びに四大精霊であるサラマンダー様、今回の我が息子の非礼をどうかお許しください」
ダミアン陛下はプライドも何もかも捨てて、腰を90度に曲げ私達に頭を下げる。
一国の王がこんなにも深く頭を下げるなど異例の事態だ。
「だ、ダミアン陛下!頭を上げてください!私は気にしていませんから!」
慌てて声をかけるが、ダミアン陛下は一向に顔を上げようとしない。
お願いですから、頭を上げてください!ダミアン陛下!
私は本当にこれっぽっちも気にしていないので!サラマンダーだってもう怒ってませんし!
「おい、頭上げろ。ディアナが困っている」
「.....分かりました」
サラマンダーが声をかけると、意外とあっさり顔を上げたダミアン陛下。
私じゃなくてサラマンダーの言うことは聞くんですね....ふーん?へー?
別にいじけてませんよー?ただちょっと気分悪いかなぁってだけで。
口先を尖らせる私の頭をサラマンダーは優しく撫でてくれた。
サラマンダーに頭を撫でられるのは凄く好き。
暖かくて大きな手だから、凄く安心する。
私の気分はすっかり良くなり、口元には笑みが浮かべられていた。
流石はサラマンダー!私の扱い方がよく分かってらっしゃる!
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