婚約破棄に全力感謝

あーもんど

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第一章

ソル国 5

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 そんなに自分が不採用となったのが気に食わないんでしょうか?
 だって、主人に忠誠を誓えない従者など正直必要ありませんし?
 全員採用にしてあげたいのは山々ですが、金で買収されて面倒な事態を引き起こされては堪りませんので厳しく選抜させて頂きました。
 不採用にした子のうちの一人とふいに目が合う。
 あら?私、もしかして睨まれてます?
 随分と反抗的な態度を取るのですね。
 でも、私は優しいですから見逃して差し上げますよ。幸い、私以外そのことに気がついていませんし。
 私を睨んでくる子にニコッと微笑みを返すと更に睨みは鋭くなった。
 逆効果みたいでしたね。

「....一つ!質問させてください!」

「ちょ、イザベラ!ここは王の御前よ!」

「今すぐ謝罪して口を閉じて!」

 ほう...あの子はイザベラと言うのね。
 イザベラの発言に周りの子達が焦って止めにかかるが、イザベラは謝罪など一切せず私を見据えていた。
 たかが使用人風情が許可もなしにこの場で発言するなど、厳しい罰が下されても可笑しくない。
 それすらも理解していない者がこの場に居るとは思えない。
 ということは、彼女はそれを理解した上で尚、発言をしたことになる。そんなに自分が不採用にされたことが不満なのね。
 イザベラの突然の発言に最初は呆気に取られていたブライアン陛下でしたが、正気を取り戻すと険しい表情を浮かべた。

「その愚か者を引っ捕らえろ!今すぐ王宮から追い出せ!」

「─────お待ちください」

「ルーナ嬢....?」

 ブライアン陛下の命令に『待った』をかけたのは紛れもない私。
 あっ、言っておきますけどイザベラを庇う気はサラサラありませんよ?今さっき会ったばかりの子に情が湧くほど、私は優しい人ではないので。
 ですが、イザベラは無礼を承知で発言したのです。その勇気を汲み取ってあげるくらいの優しさは持ち合わせております。

「ブライアン陛下、少しだけ私の茶番にお付き合い頂けませんか?」

「茶番?別に構わないぞ」

「その寛大なお心に感謝申し上げます」

「いやいや、これくらい構わないさ。ルーナ嬢のためならな」

 私にとことん甘いブライアン陛下は私の我が儘にあっさりオッケーサインを出した。
 さて、ブライアン陛下のお許しも出たところで本題へ行きましょうか。

「イザベラ、私に一つ質問したいことがあるそうですね?その質問内容についてお聞かせください」

「分かりました....。では早速ですが、質問させて頂きます!何故、私が....いいえ、何故私達は不採用なのでしょうか!たった一つの質問に答えただけで何が分かると言うんですか!?皆、違う答えを言っていたならまだ分かりますが、皆一語一句違わず同じ言葉を言っていました!なのに何故....!!」

 質問内容が予想通り過ぎて面白くありませんね。
 もう少し捻りのある質問を期待していたんですが...すぐに感情的になるような貴方に期待するだけで無駄だったみたいですね。
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