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第一章

次から次へと③

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 主催側の皇族が招待状を貰うなんて、本来有り得ないことなんだけどね。
多分、第二皇子なりの嫌がらせかな?
ルパート殿下お前を皇族とは認めない』という……。
お祖父様の話によると、ルパート殿下の母君は小国出身の姫みたいで……一応、正式に婚姻を交わしてはいるけど、帝国貴族から見下されているみたい。

 その影響を受けて、ルパート殿下も結構厳しいお立場に居るのよね。
ただ、戦争で多くの武勲を立てたから騎士達を中心に少しずつ勢力を伸ばしているとのこと。
また、民からの人気も高いため、皇位継承権争いにおいて頭角を現し始めた。
第二皇子があからさまに牽制を行っているのが、いい証拠ね。

 良くも悪くも目立つようになった第三皇子の現状を考えていると、ヴィンセントが手紙を置いた。
かと思えば、こちらに向き直る。

「この際、ハッキリさせておきたいんだけど────エーデル公爵家はこのまま中立を保つつもりかい?」

「それは……どういう意味か、お尋ねしても?」

 これまで守ってきた沈黙を破り、祖父は少しばかり表情を険しくする。
『第三皇子の派閥に入れ、と言うのか?』と警戒心を露わにし、黄金の瞳を真っ直ぐ見つめた。
ただでさえ、大変なときに更なる負担を背負わされそうになって焦っているのだろう。
最近力を付け始めたとはいえ、第三皇子の派閥はまだ安定していないから。
『泥船に乗るようなもの』とまでは、言わないものの……かなり危険な橋を渡ることになるのは、間違いない。

「落ち着いてください、フランシス卿。第三皇子の派閥に入るよう、強要するつもりはありません。ただ、どっちつかずの状態のまま過ごすのは危険だと思いまして」

 ニッコリ笑って祖父を制し、ヴィンセントは『今のエーデル公爵家だと、中立を守れない』と主張した。
中立を貫けるのは、よっぽど影響力のない家門か誰も手が出せないほど強い家門のみだから。
我が家はそのどちらにも該当しない。
また、今代の皇位継承権争い……もとい派閥争いはかなり激化しているため、どこかの勢力について手を取り合うしかなかった。

「とりあえず、先に明言しておきますね。僕達クライン公爵家は────第三皇子派に所属しています。それも、何年も前から」

「「「!?」」」

 ヴィンセントの言動から第三皇子派なのは、何となく見当が付いていたものの……まさか年単位で仕えていたとは知らず、目を剥く。

 そ、そんなに前から……?というか、何でルパート殿下を支持して……?
いや、確かに素晴らしい方だとは思うけど、ヴィンセントの性格を考えると少し引っ掛かる。

 『そもそも、皇位継承権争いに何でこんなに積極的なの?』と眉を顰め、私は悶々とした。
すると、ヴィンセントがこちらを見て苦笑する。

「まあ、当然疑問だらけだよね。じゃあ、ちょっとだけ昔話をしようか」

 そう言うが早いか、ヴィンセントはそっと目を閉じた。
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