19 / 20
肉月~ニクツキ19
しおりを挟む
「そ…そんな…」
宗助と二人きりになれた途端、こんな事が
偶然起こるなんて。
【…偶然?】
悠の脳裏にある疑念が浮かぶ。
他人には見えないように制服の中に入れて、
首からかけている麻布のネックレス。
その中の赤い石を制服の上から強く握る。
【おまえ、なんかしただろ?】
…悠はそのまま返答を待っていた。
…だが石からの声は悠に届かない。
石にいろいろと問いただしたかったが、
今はそれどころではない。
きっと宗助があんなものを見ても
不快になるだけだ。
悠は宗助と此処から離れようとしたが、…その時。
「おい!!…誰かいるのか?」
植林の奥から男の声が聞こえたのだ。
悠と宗助は驚いて、咄嗟に植林の中でも
大きな木の陰に隠れ、息を潜めた。
「…気のせいか。よし続けろ。」
その声は意外と若い男の声で、もしかしたら、
悠や宗助と同じぐらいの年頃かもしれない。
恐る恐る、木の陰から顔だけ出して、
宗助が覗きこむと再び、太った男がもう一人の
太った男の股間に顔を埋めている。
「…アイツら、こんなトコで何やってるんだ?」
宗助はそうぼやきながらも、自分達がうまく木に隠れつつ、
男達を観察できるような場所をみつけた。
そこで悠と宗助が男達をよく見てみると、
ズボンを下ろして立っている男は、かなり背が高く、太っている。
もう一人の方は悠や宗助と同じぐらい背格好だろうか。
息を潜めていると、男達の話し声が聞こえてくる。
「…どうだ、美味いか!?しっかりと味わって咥えろよ!!」
ズボンを下ろして立っている男が、
しゃがんでいる男を蔑むように吐き捨てる。
しゃがんでいる男はウットリとした表情で
口にペニスを頬張りながら、さらに執拗に頭を動かし、
様々な角度から舌や頬、唇でペニスを刺激している。
「よし、お前も自分のチンポを扱いていいぞ。扱きながら咥えるんだ!!」
しゃがんでいた太った男は一度立ち上がり、
ゆっくりとズボンとパンツを下ろしていく。
そして公園の地面に衣服を脱ぎ捨てると、
豊満な全裸を晒して、再びしゃがみ込んで
男のペニスを口で咥え込む。
悠はその光景に少しずつ興奮しつつあった。
…だが。
「なんだアイツら、変態かよ?男同士だぜ。気持ち悪っ!!」
息を潜めながらも、宗助が言ったその言葉に、
悠はずっと誰にも明かさず、秘かに抱いてきた
小さな希望が粉々に砕けていく感覚に襲われる。
ただ胸の奥が痛くて、どんどん気力を奪われていく。
ぼんやりしている悠に宗助が言う。
「…おい、もう帰ろうぜ。」
悠は力なく、ただ頷く。
二人は男達に気づかれないようにそっと、その場を去った。
公園を離れ、駅に向かう間ずっと宗助が話す事は
先程の公園での男達についてだった。無理も無い。
普通の高校1年生が突然、あんな現場を見たのだ。
悠はそう頭で理解しながら、胸に刺さるような痛みを
止める事が出来ずに、ただ宗助に言葉に相槌をかえしては
つくり笑いをするばかりだった。
駅に着くと宗助は悠とは違うホームへと
向かって階段を数歩昇ってから悠を振り返る。
「あ、お前、そっちのホーム?俺はこっち。じゃあなー。」
その時も宗助は無邪気な笑顔で、
大きく手を振ってくれた。
悠も笑顔を作りながら、手を振る。
宗助が再び階段を昇り始めるのを見てから、
悠も自分の向かうホームに続く階段へと向かう。
一人になると、さらに胸の痛みが増していく。
階段を昇っている途中、涙が溢れてきた。
涙を慌てて、制服の袖でゴシゴシと拭う悠。
【どうして僕は…】
悠の丸くて大きな背中が震えていた。
遠くから電車の到着を知らせる音が響いている。
宗助と二人きりになれた途端、こんな事が
偶然起こるなんて。
【…偶然?】
悠の脳裏にある疑念が浮かぶ。
他人には見えないように制服の中に入れて、
首からかけている麻布のネックレス。
その中の赤い石を制服の上から強く握る。
【おまえ、なんかしただろ?】
…悠はそのまま返答を待っていた。
…だが石からの声は悠に届かない。
石にいろいろと問いただしたかったが、
今はそれどころではない。
きっと宗助があんなものを見ても
不快になるだけだ。
悠は宗助と此処から離れようとしたが、…その時。
「おい!!…誰かいるのか?」
植林の奥から男の声が聞こえたのだ。
悠と宗助は驚いて、咄嗟に植林の中でも
大きな木の陰に隠れ、息を潜めた。
「…気のせいか。よし続けろ。」
その声は意外と若い男の声で、もしかしたら、
悠や宗助と同じぐらいの年頃かもしれない。
恐る恐る、木の陰から顔だけ出して、
宗助が覗きこむと再び、太った男がもう一人の
太った男の股間に顔を埋めている。
「…アイツら、こんなトコで何やってるんだ?」
宗助はそうぼやきながらも、自分達がうまく木に隠れつつ、
男達を観察できるような場所をみつけた。
そこで悠と宗助が男達をよく見てみると、
ズボンを下ろして立っている男は、かなり背が高く、太っている。
もう一人の方は悠や宗助と同じぐらい背格好だろうか。
息を潜めていると、男達の話し声が聞こえてくる。
「…どうだ、美味いか!?しっかりと味わって咥えろよ!!」
ズボンを下ろして立っている男が、
しゃがんでいる男を蔑むように吐き捨てる。
しゃがんでいる男はウットリとした表情で
口にペニスを頬張りながら、さらに執拗に頭を動かし、
様々な角度から舌や頬、唇でペニスを刺激している。
「よし、お前も自分のチンポを扱いていいぞ。扱きながら咥えるんだ!!」
しゃがんでいた太った男は一度立ち上がり、
ゆっくりとズボンとパンツを下ろしていく。
そして公園の地面に衣服を脱ぎ捨てると、
豊満な全裸を晒して、再びしゃがみ込んで
男のペニスを口で咥え込む。
悠はその光景に少しずつ興奮しつつあった。
…だが。
「なんだアイツら、変態かよ?男同士だぜ。気持ち悪っ!!」
息を潜めながらも、宗助が言ったその言葉に、
悠はずっと誰にも明かさず、秘かに抱いてきた
小さな希望が粉々に砕けていく感覚に襲われる。
ただ胸の奥が痛くて、どんどん気力を奪われていく。
ぼんやりしている悠に宗助が言う。
「…おい、もう帰ろうぜ。」
悠は力なく、ただ頷く。
二人は男達に気づかれないようにそっと、その場を去った。
公園を離れ、駅に向かう間ずっと宗助が話す事は
先程の公園での男達についてだった。無理も無い。
普通の高校1年生が突然、あんな現場を見たのだ。
悠はそう頭で理解しながら、胸に刺さるような痛みを
止める事が出来ずに、ただ宗助に言葉に相槌をかえしては
つくり笑いをするばかりだった。
駅に着くと宗助は悠とは違うホームへと
向かって階段を数歩昇ってから悠を振り返る。
「あ、お前、そっちのホーム?俺はこっち。じゃあなー。」
その時も宗助は無邪気な笑顔で、
大きく手を振ってくれた。
悠も笑顔を作りながら、手を振る。
宗助が再び階段を昇り始めるのを見てから、
悠も自分の向かうホームに続く階段へと向かう。
一人になると、さらに胸の痛みが増していく。
階段を昇っている途中、涙が溢れてきた。
涙を慌てて、制服の袖でゴシゴシと拭う悠。
【どうして僕は…】
悠の丸くて大きな背中が震えていた。
遠くから電車の到着を知らせる音が響いている。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる