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決闘の申し込み
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「トール・アルカードです。皆さん、途中からの入学になりますがよろしくお願いします」
そう、制服に着替えたトールは言う。
まばらな拍手が起こる。
「はいはーい。転校生のトール君の挨拶でした」
そう、眼鏡をかけた担任教師クリスティーナ・メッケンジー。略してクリス先生はそう言った。眼鏡をかけてスーツを着込んだ温和な印象を受けた女性である。ちなみに年齢について訊くと怒られるらしく、心は常に10代と言っていた。そもそも年齢について訊かれたから怒る時点でそれなりの年齢なのだろう。怒る原因のもうひとつの理由として彼女が未婚であり、かつその事を気にしているかららしい。なぜこうも温和な女性が結婚できないのかは謎に包まれている。一説によると温和なのは上っ面だけで性格で怒ると異様な程怖い性格だかららしい。
「これから皆さん、よろしくしてくださいね」
クリス先生はそう言う。
「それでは席は、フィルさんの隣ですね」
「げっ!?」
フィルは言う。
「フィルさん。女の子が「げっ!?」などと下品な言葉を使ってはいけませんよ」
クリス先生は言う。
「はい。それではトール君、あの娘の隣の空席に行ってください」
そう、クリス先生は言う。指示に従い、空席へ向かい着席する。
「よろしくね。フィルさん」
トールは言う。
「ふんっ!」
フィルは顔を背けさせる。典型的なツンデレヒロインのようだった。果たしてデレが来るのか、来ないのかは知らないが。
「ははっ。嫌われちゃってるのかな」
「嫌われちゃってるのかな! じゃない! 嫌ってんのよ! 嫌いに決まってるでしょ! あんたの事なんか!」
そう、フィルは言う。助けて貰った恩などとうに忘れ、不慮の事故の事ばかりを覚えているのだ。良い事を忘れ、嫌な事ばかり覚えている人間がよくいるだろう。まさしくそれだった。
「あんた、放課後付き合いなさいよ」
「え? 何で?」
「用件はその時話すから、屋上で」
フィルはそう言った、それからはもう何も会話をする事もなく授業に入っていった。
放課後の屋上での事だった。夕暮れ時になっていた。あれから色々掃除だとか担任のクリス先生の校舎案内とか色々あったのである。
その際のところは省くが、概ねは魔法学院と変わらなかったのでさしたる戸惑いをトールは抱かなかった。
そしてフィルとの体面である。
「……あ、あのさ。初めて会った時からあなたの事気になって」
フィルは顔を赤らめていた。
ま、まさかこれは。
鈍感な自分でもどぎまぎしてしまう、トールはそう思った。
「ずっとあなたの事、す、す、す」
フィルの口が開かれる。
「好きだとでも言うとでも思った? バーカ!」
「バーカって」
「バーカ! おたんこなす!」
「おたんこなすまで追加してきたよ、この娘」
トールは呆れた。これでも第二王女なのである。品性の欠片もない。
「あなたに決闘(デュエル)を申し込むわ!」
そう、フィルは言った。
「第二王女であるあたしの肌を見た罪は万死に値する! 皆の前で公開処刑をしてあげる!」
フィルはそう宣言する。
「公開処刑って……それを僕が受けるメリットって」
「じゃあ賭けましょう。あんたが勝ったらあたしの事を好きにしていいわ」
フィルはそう言った。
「それって」
「あんた今、嫌らしい事考えてたでしょう! 首輪をつけて性奴隷にさせようとか! 毎日ノーパンで登校させようって!」
「……自分で考えてるだけじゃないですか」
トールは呆れる。別に何も考えてない。
「あたしが勝ったらあなたは残りの二年間あたしの奴隷よ。何でも言うことを聞くの」
フィルは含みのある笑みを浮かべる。S気質でもあるんだろうか。
「決闘(デュエル)は明日の放課後。鍛錬場で行いましょう」
フィルはそう言った。一方的に言って去って行った。
「……はぁ。これは受けないとなのかな」
トールは苦悩した。どうにか平和的に解決できないものか。
女の子と剣を交えた事がないので些か気疲れをする。
そう、制服に着替えたトールは言う。
まばらな拍手が起こる。
「はいはーい。転校生のトール君の挨拶でした」
そう、眼鏡をかけた担任教師クリスティーナ・メッケンジー。略してクリス先生はそう言った。眼鏡をかけてスーツを着込んだ温和な印象を受けた女性である。ちなみに年齢について訊くと怒られるらしく、心は常に10代と言っていた。そもそも年齢について訊かれたから怒る時点でそれなりの年齢なのだろう。怒る原因のもうひとつの理由として彼女が未婚であり、かつその事を気にしているかららしい。なぜこうも温和な女性が結婚できないのかは謎に包まれている。一説によると温和なのは上っ面だけで性格で怒ると異様な程怖い性格だかららしい。
「これから皆さん、よろしくしてくださいね」
クリス先生はそう言う。
「それでは席は、フィルさんの隣ですね」
「げっ!?」
フィルは言う。
「フィルさん。女の子が「げっ!?」などと下品な言葉を使ってはいけませんよ」
クリス先生は言う。
「はい。それではトール君、あの娘の隣の空席に行ってください」
そう、クリス先生は言う。指示に従い、空席へ向かい着席する。
「よろしくね。フィルさん」
トールは言う。
「ふんっ!」
フィルは顔を背けさせる。典型的なツンデレヒロインのようだった。果たしてデレが来るのか、来ないのかは知らないが。
「ははっ。嫌われちゃってるのかな」
「嫌われちゃってるのかな! じゃない! 嫌ってんのよ! 嫌いに決まってるでしょ! あんたの事なんか!」
そう、フィルは言う。助けて貰った恩などとうに忘れ、不慮の事故の事ばかりを覚えているのだ。良い事を忘れ、嫌な事ばかり覚えている人間がよくいるだろう。まさしくそれだった。
「あんた、放課後付き合いなさいよ」
「え? 何で?」
「用件はその時話すから、屋上で」
フィルはそう言った、それからはもう何も会話をする事もなく授業に入っていった。
放課後の屋上での事だった。夕暮れ時になっていた。あれから色々掃除だとか担任のクリス先生の校舎案内とか色々あったのである。
その際のところは省くが、概ねは魔法学院と変わらなかったのでさしたる戸惑いをトールは抱かなかった。
そしてフィルとの体面である。
「……あ、あのさ。初めて会った時からあなたの事気になって」
フィルは顔を赤らめていた。
ま、まさかこれは。
鈍感な自分でもどぎまぎしてしまう、トールはそう思った。
「ずっとあなたの事、す、す、す」
フィルの口が開かれる。
「好きだとでも言うとでも思った? バーカ!」
「バーカって」
「バーカ! おたんこなす!」
「おたんこなすまで追加してきたよ、この娘」
トールは呆れた。これでも第二王女なのである。品性の欠片もない。
「あなたに決闘(デュエル)を申し込むわ!」
そう、フィルは言った。
「第二王女であるあたしの肌を見た罪は万死に値する! 皆の前で公開処刑をしてあげる!」
フィルはそう宣言する。
「公開処刑って……それを僕が受けるメリットって」
「じゃあ賭けましょう。あんたが勝ったらあたしの事を好きにしていいわ」
フィルはそう言った。
「それって」
「あんた今、嫌らしい事考えてたでしょう! 首輪をつけて性奴隷にさせようとか! 毎日ノーパンで登校させようって!」
「……自分で考えてるだけじゃないですか」
トールは呆れる。別に何も考えてない。
「あたしが勝ったらあなたは残りの二年間あたしの奴隷よ。何でも言うことを聞くの」
フィルは含みのある笑みを浮かべる。S気質でもあるんだろうか。
「決闘(デュエル)は明日の放課後。鍛錬場で行いましょう」
フィルはそう言った。一方的に言って去って行った。
「……はぁ。これは受けないとなのかな」
トールは苦悩した。どうにか平和的に解決できないものか。
女の子と剣を交えた事がないので些か気疲れをする。
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