上 下
54 / 58

浜辺でのこと

しおりを挟む
「きゃああああああああああああああ!」

「もう、やりましたねっ!」

「はぁ……」

 俺は溜息を吐く。長閑な光景だった。海辺で遊んでいる美少女達を遠目で見る。実に心安らぐ光景であった。

 ついでに買ったビーチボールで四人は遊んでいた。その輪の中に入ろうとは思わない。見ているだけでいい。そんな至福な一時でもあった。

「鍛治師のお兄ちゃん」

 フレイムが話かけてきた。

「一緒に遊ばないの?」

「う、うん。いや、見ているだけでも俺は幸せだから」

「ええ~一緒に遊ぼうよ! その方がきっと楽しいよ」

 そう言われるとそれを否定するだけの材料を持ち合わせていない。

「一緒に遊ぼうよ」

「わーい!」

 フレイムは喜んだ。

「それ!」

 俺はボールを打つ。

「はい!」

 トスでボースが返ってくる。そんな目的も意味もない遊びだった。

 一通りボール遊びも飽きて終わった後の事だった。俺達は浜辺で各々遊んでいた。

「ソフィアのお姉ちゃん」

「なんですか?」

「おっぱい大きいね」

「え、ええ~! いきなり何を言うんですか。フレイム様」

「それっ!」

「えっ!?」

 ぷるん。フレイムはソフィアのビキニを剥ぎ取った。

「ぶっ!」

 突如、俺の目の前に撓わに実った果実のような、要するに大きなおっぱいが姿を表す。

「フレイム様!」

「やーい!」

「フェイ様! あまり嫌らしい目で見ないでください!」

 ユースが怒鳴ってきた。

「な、なんで俺が怒られなきゃなんだ! やったのはフレイムさんだろ!」

 理不尽だ。不可抗力で目に入ってしまっただけなのに。

「か、返してください! フレイムさん!」
 
 すぐにでも零れそうな大きな乳房を片手で抑え、ソフィアは走る。

「やーい! 捕まえて見ろー!」

 強奪したビキニを片手にフレイムはひた走る。

 そんな事をしているうちに時間はすぎる。もうすぐ昼時だった。

 ここで大きな問題に行き当たる。

「鍛治師の兄ちゃん」

「ん? なんだい?」

「お腹減った」

 火竜であるフレイムはかなりの大食漢だ。その為、大量の食料を必要とするのだ。

 俺は海で釣りをしていた。自前の釣り竿を持ってきたのだ。かつてエルフの漁師に貸し与えていた釣り竿だ。

「待っててよ! もうすぐ連れるから!」

 ピクピク! 釣り竿が反応する。

「よし!」

 俺は釣り上げた。

 イキの良い大きな魚が陸でピチピチと跳ねる。

「うわあああああああああああああ! 大きい魚! お兄ちゃん! ありがとう!」

「どういたしまして」

 こうして俺達は昼食を取る事になる。メニューは釣りで取った大量の海産物だった。焼いて塩で食べるだけでも素材の味がして十分旨い。

そんな事をしているうちに、海での一日は終わろうとしている。

「たまにはこういう日もいいですねぇ」

「ええ。本当です」

「本当です」

 三人も随分と休めたようだ。

 そして俺達は近くにあるコテージで寝泊まりをした。こうして休暇の日は過ぎていく。楽しい時間はあっという間だった。
 俺達はエルフの国に帰る。


「じゃああああねえええええええええ! 鍛治師のお兄ちゃん! また遊ぼうね!」

「じゃあねフレイムさん! バハムートさんによろしく!」

「はあああああああああああああああああああああああああい!」

 俺達を降ろしたフレイムは竜人の国に帰っていった。

「さて随分とリフレッシュできたし。仕事に戻るか」

「そうですね。私達の問題はまだ山積みですから」

「ああ」

 こうして俺達はいつもの日常に戻っていくのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て… これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです… +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-  2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます  時々さかのぼって部分修正することがあります  誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)  感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

不本意な転生 ~自由で快適な生活を目指します~

ファンタジー
どうやら交通事故で死んだらしい。気がついたらよくわからない世界で3歳だった。でもここ近代化の波さえ押し寄せてない16~18世紀の文化水準だと思う。 両親は美男美女、貴族には珍しい駆け落ちにも似た恋愛結婚だったらしいが、男爵家の三男って貴族の端の端だよ!はっきり言って前世の方が習い事させてもらったりしてセレブだったと思う。仕方がないので、まず出来る事から始めてみます。 主人公が大人になる後半にR18が入るかも。 入るときは R18 を明記。 ※ ★マークは主人公以外の視点。

料理がしたいので、騎士団の任命を受けます!

ハルノ
ファンタジー
過労死した主人公が、異世界に飛ばされてしまいました 。ここは天国か、地獄か。メイド長・ジェミニが丁寧にもてなしてくれたけれども、どうも味覚に違いがあるようです。異世界に飛ばされたとわかり、屋敷の主、領主の元でこの世界のマナーを学びます。 令嬢はお菓子作りを趣味とすると知り、キッチンを借りた女性。元々好きだった料理のスキルを活用して、ジェミニも領主も、料理のおいしさに目覚めました。 そのスキルを生かしたいと、いろいろなことがあってから騎士団の料理係に就職。 ひとり暮らしではなかなか作ることのなかった料理も、大人数の料理を作ることと、満足そうに食べる青年たちの姿に生きがいを感じる日々を送る話。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」を使用しています。

稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜

撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。 そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!? どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか? それは生後半年の頃に遡る。 『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。 おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。 なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。 しかも若い。え? どうなってんだ? 体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!? 神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。 何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。 何故ならそこで、俺は殺されたからだ。 ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。 でも、それなら魔族の問題はどうするんだ? それも解決してやろうではないか! 小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。 今回は初めての0歳児スタートです。 小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。 今度こそ、殺されずに生き残れるのか!? とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。 今回も癒しをお届けできればと思います。

誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。

木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。 それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。 誰にも信じてもらえず、罵倒される。 そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。 実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。 彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。 故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。 彼はミレイナを快く受け入れてくれた。 こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。 そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。 しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。 むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。

処理中です...