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シャロティアとの決闘に聖剣で圧勝する

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「来たか。人間の鍛冶師フェイ」

 俺は待ち構えていたシャロティアと向き合う。

「逃げ出すと思っていたが、その男気、見直したぞ!」

「誰が逃げるか。俺にとってこのエルフの国は大切な居場所なんだ! 例えユースの妹が相手でも追い出されてたまるかっ!」

「ふっ……そうか。約束は覚えているな?」

「ああ。俺が負けたらこの国を出ていく。俺が勝ったら、この国にいる事を認めてくれるんだよな?」

「そうだ。それで構わない。お姉様」

「はい」

 ユースは答える。

「見届け人はお姉様がやってください」

「わかりました」

 闘いを止める事ができないと理解したユースはその様子を見守る事に決めたようだ。

 俺は腰から剣を引き抜く。

「なんだ!? その剣は」

「これは聖剣アロンダイトだよ」

「ふっ。鍛冶師風情が。剣の技量で敵わないから性能差で対抗しようというのか」

「両者! 剣を構えてください!」

 シャロティアは剣を抜き、構える。見た所ただの鋼鉄製の剣のようだ。取り立てて言う事がない凡庸な剣だ。

「だが――」

「はじめ!」

 ユースの声で闘いが始まる。

「私とお前の間にある! 圧倒的な剣技の差は埋めようもあるまい! はあああああああああああああああああ!」

 シャロティアは俺に斬りかかってきた。

「なにっ!?」

 カキィン! ものすごい衝撃音が伝わってくる。

「き、貴様! なぜ私の剣がっ!」

「この聖剣には剣聖スキルが宿っているんです」

「なにっ!? 剣聖スキルだとっ! なんだそれはっ!」

「説明は終わってからします」

「くっ!」

 力負けしたシャロティアは距離を取る。

「はああああああああああああああああああああああああああ!」

「きゃっ!」

 俺は無駄のない洗練した剣を放つ。その剣は綺麗な軌道を描いた。俺の聖剣とシャロティアの剣には圧倒的な強度差があった。
 甲高い音が響いた。

 シャロティアの剣が真っ二つになる。割れた剣が地面に突き刺さる。

「終わりです! シャロティアさん!」

「な、なぜだ!? なぜ私が負ける!? なぜ!?」

 シャロティアは自分が負けた事を理解できていないようだ。

「それは剣の性能差ですよ。俺の剣は剣聖スキルが宿っている。この剣は俺の技量を最強レベルの剣士に引き上げてくれるんです。そして圧倒的な強度差もある。武器の性能差をシャロティアさんは甘く見過ぎてみた」

「これが……武器の性能差だというのか。その聖剣はどこで手に入れたのだ?」

「これは俺が夜に鍛錬したのです」

「鍛錬した……そんなすごい剣を自分で作りだしたというのか」

「もうわかったでしょ。シャロ。フェイ様が私達エルフの国にとって必要な人間であるという事を。排他主義では国は発展していかないわ。他種族と手を取り合い、国を良くしていかなければエルフの国はいずれ窮地に陥る。その結果、国が滅んでしまう事もありうる。純血主義を貫いた結果、国が滅びエルフが根絶やしにされたら意味がない。フェイ様は国を良くして行ける力をもったお人なのよ」

「わかりました。姉さん。フェイ様の事を認めましょう。認めざるを得ない。彼は我がエルフにとって必要な逸材です」

「わかってくれましたか」

「……ですが、ひとつだけ認められない事があります」

「なんですか?」

「お姉さまとフェイ様の関係です」

「どういう意味ですか?」

「お姉さまとフェイ様の恋仲を認める事はできません」

「どうしてですか!? なぜ、認められないのです」

「それは……私もフェイ様のことが異性として気になってしまったのです」

 シャロティアは顔を赤くして言った。

「え? ……」

「初めてなんです……男の人に剣で負けたの。決めていたんです。結婚するなら私を剣でねじ伏せる事ができるような強い人がいいと」

「え? けどあんなもの剣の性能差で勝ったってだけです」

「関係ありません。私にとって負けは負けです」

 シャロティアの目が輝いていた。

「シャロティアさん」

「シャロと呼んでください」

「シャロ」

「はい。フェイ様」

 シャロは俺の手を握ってくる。

「お姉さまのどこを好きになったんですか? 見た目ですか?」

「それは勿論、あるけど」

「お姉さまと私は似ていると思いませんか? 似ていますよね。姉妹ですもの」

「確かに、そうだけど」

「私ではダメな理由って何かありますか?」

「け、けど君は他種族が嫌いとか言ってたじゃないか」

「そんな価値観、とうにかなぐり捨てました」

 随分と切り替えの早い娘だな、と俺は思った。

「だ、だめですっ! シャロが相手でもフェイ様は譲れませんっ!」

「お姉様。けどそれはフェイ様の決める事ではありませんか?」

 姉妹の視線が交錯する。バチバチの火花が散りそうだった。

 こうして俺とシャロの決闘問題は解決したが。また別の問題が発生したようだった。やれやれ。

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