4 / 17
村長から古びた防具を貰う
しおりを挟む
「……ここか」
俺は王国ギネヴィアの辺境にあるエルモという村だった。俺は馬車から降り立つ。
その村には多くの村人達が生活をしていた。
よぼよぼのお爺さんが姿を現す。
「ようこそいらっしゃいました。エルモの村へ。わしが村長であります」
出迎えてくれたお爺さん、彼が村の村長のようだ。
「あなた様が冒険者ギルドから派遣されてきた冒険者の方ですかな?」
「はい。冒険者のアトラスと言います……」
とはいえ、新米のFランクの冒険者にはなるが。村人たちからすれば、心もとない事であろう。
「お越し頂き、ありがとうございます。どうですかな? 立ち話もなんですし。よろしければわしの家まで来て頂ければ」
「ええ、構いません」
こうして俺は村長に家まで案内される事になる。そこで今回の依頼内容を詳しく聞く事になったのだ。
◇
他の家に比べれば幾分大きくて立派な家。そこでこの村の村長の家だった。
「おじいちゃん……」
そこには一人の可憐な少女がいた。村長の孫娘であろう。俺と同じ位の年だ。俺は彼女に義妹であるカレンの事を重ねていた。カレン、あいつは元気でやっているだろうか。あの〈職業選定の儀〉以降、当然のように俺はあいつに合っていない。だからあいつが今、どうなっているのか知る由もなかった。
「この娘は孫娘のシャーロットと申します……幼き頃に両親を亡くされて、妻にも先立たれてしもうてそれで私が一人で育てています」
「男の方……冒険者の方ですか?」
村長の孫娘――シャーロットが聞いてくる。
「そうじゃ。シャーロットや。お茶でも用意してやってくれ。今日はお客人はここに泊まっていってもらう」
どうやら、村長の家で寝泊まりさせてもらう事になったようだ。これは嬉しい事であった。無一文の俺には泊まれる宿などそうはない。その上に、この分なら食事の方も期待できそうだ。
「そういえば、お客人、名をなんというのですか?」
「アトラスと言います……」
名乗る時、ファミリーネームを名乗る事を避けた。アルカディア家は隣国である王国イスカンダルに仕える名家だ。隠す程の事ではないかもしれないが、いちいちつつかれるのも気持ちの良いものではない。
「それではアトラス殿。椅子に座って茶でも飲んでくだされ」
こうして俺は村長とお茶を飲む事になった。無論、本題はそこではない。俺はゴブリンの話を聞きたかったのだ。
◇
俺達は出されたお茶に口をつけつつ、ゴブリン退治の話をする事になった。冒険者ギルドからの情報だけでは詳細なところは把握できない。敵がどれくらいいるのか、どの方角から襲ってくるのか、わかる事は出来るだけ聞いておいた方がいい。
なにせ俺は竜のいない竜騎士な上にレベルも低い。その上に装備も貧弱だ。ゴブリンは個体としては弱いとはいえ、数が揃うと厄介な相手だ。用心するに越した事はなかった。
「改めて我がエルモ村にお越し頂きありがとうございます。冒険者のアトラス殿。それで肝心のゴブリン退治の件ですが」
「ええ……わかる範囲で良いので教えて頂ければ幸いです」
「ゴブリンは基本的に夜、村人が寝静まった時に、家畜や畑を荒らして回っているんです。気づいたら被害に合っていて。奴らは足跡を残していきました。子供の足跡のような、小さな足跡です。その足跡を辿っていくと、どうやら北の方角に根城があるようなんです。どうか、アトラス殿、そのゴブリン達を追い払っては頂けないでしょうか?」
「勿論、そうするつもりです。俺はその為に冒険者ギルドから派遣されてきたんですから」
村長の話を要約するに、重要な情報が二つあった。①ゴブリンは夜に襲ってくる事②北に根城を構えている事。
この二つがわかった。ゴブリンと対峙する機会があるとすれば夜だろう。せっかく寝床を与えてくれるようだが、おちおち寝ている事もできそうにない。
「おお、それは実に頼もしい。ところでアトラス殿。見たところ防具を着ていないのではありませんか?」
俺は<銅の剣>を装備しているだけだ。着の身着のままで逃げてきたのだ。まともな装備を購入するだけの余裕はなかった。
「ええ……そうですが」
「安物の防具ですが、わしが若い頃使っていた防具があります。いくらゴブリンが相手とはいえ、防具がなくては心もとないでしょう」
そういって、村長は倉庫から防具を言っていた。お世辞にも上質な防具とは言い難い。ボロボロの防具だったが、それでも何も装備しないよりはずっと良かった。
「ありがとうございます。ありがたく頂戴します」
「ええ……是非着てみてください。サイズが合うと良いのですが」
俺は頂いた防具を身に着けた。
◇
身に着けた防具のサイズは思ってた以上にピッタリだった。
「おお……よく似合いますぞ。サイズが合っていて良かったです」
村長は喜んでいた。こうして俺は防具を手に入れたのだ。
「それでは今日はもう遅い。食事を取った後、ゆっくりと休んでいってください」
「こちらにどうぞ」
シャーロットに部屋に案内される。そしてその日の夜、早速、件のゴブリンが村に襲い掛かってくるのであった。
◇
【アトラス・アルカディア】
天職:竜騎士
Lv :1
HP :5/10
MP :5/5
攻撃力:6
防御力:6
魔法力:1
素早さ:1
【装備】
〈銅の剣〉※攻撃力+5
〈古びた鎧〉※防御力+5
【職業固有スキル】
〈騎竜〉
〈全竜強化〉
【通常スキル】
【所持金】
0G
俺は王国ギネヴィアの辺境にあるエルモという村だった。俺は馬車から降り立つ。
その村には多くの村人達が生活をしていた。
よぼよぼのお爺さんが姿を現す。
「ようこそいらっしゃいました。エルモの村へ。わしが村長であります」
出迎えてくれたお爺さん、彼が村の村長のようだ。
「あなた様が冒険者ギルドから派遣されてきた冒険者の方ですかな?」
「はい。冒険者のアトラスと言います……」
とはいえ、新米のFランクの冒険者にはなるが。村人たちからすれば、心もとない事であろう。
「お越し頂き、ありがとうございます。どうですかな? 立ち話もなんですし。よろしければわしの家まで来て頂ければ」
「ええ、構いません」
こうして俺は村長に家まで案内される事になる。そこで今回の依頼内容を詳しく聞く事になったのだ。
◇
他の家に比べれば幾分大きくて立派な家。そこでこの村の村長の家だった。
「おじいちゃん……」
そこには一人の可憐な少女がいた。村長の孫娘であろう。俺と同じ位の年だ。俺は彼女に義妹であるカレンの事を重ねていた。カレン、あいつは元気でやっているだろうか。あの〈職業選定の儀〉以降、当然のように俺はあいつに合っていない。だからあいつが今、どうなっているのか知る由もなかった。
「この娘は孫娘のシャーロットと申します……幼き頃に両親を亡くされて、妻にも先立たれてしもうてそれで私が一人で育てています」
「男の方……冒険者の方ですか?」
村長の孫娘――シャーロットが聞いてくる。
「そうじゃ。シャーロットや。お茶でも用意してやってくれ。今日はお客人はここに泊まっていってもらう」
どうやら、村長の家で寝泊まりさせてもらう事になったようだ。これは嬉しい事であった。無一文の俺には泊まれる宿などそうはない。その上に、この分なら食事の方も期待できそうだ。
「そういえば、お客人、名をなんというのですか?」
「アトラスと言います……」
名乗る時、ファミリーネームを名乗る事を避けた。アルカディア家は隣国である王国イスカンダルに仕える名家だ。隠す程の事ではないかもしれないが、いちいちつつかれるのも気持ちの良いものではない。
「それではアトラス殿。椅子に座って茶でも飲んでくだされ」
こうして俺は村長とお茶を飲む事になった。無論、本題はそこではない。俺はゴブリンの話を聞きたかったのだ。
◇
俺達は出されたお茶に口をつけつつ、ゴブリン退治の話をする事になった。冒険者ギルドからの情報だけでは詳細なところは把握できない。敵がどれくらいいるのか、どの方角から襲ってくるのか、わかる事は出来るだけ聞いておいた方がいい。
なにせ俺は竜のいない竜騎士な上にレベルも低い。その上に装備も貧弱だ。ゴブリンは個体としては弱いとはいえ、数が揃うと厄介な相手だ。用心するに越した事はなかった。
「改めて我がエルモ村にお越し頂きありがとうございます。冒険者のアトラス殿。それで肝心のゴブリン退治の件ですが」
「ええ……わかる範囲で良いので教えて頂ければ幸いです」
「ゴブリンは基本的に夜、村人が寝静まった時に、家畜や畑を荒らして回っているんです。気づいたら被害に合っていて。奴らは足跡を残していきました。子供の足跡のような、小さな足跡です。その足跡を辿っていくと、どうやら北の方角に根城があるようなんです。どうか、アトラス殿、そのゴブリン達を追い払っては頂けないでしょうか?」
「勿論、そうするつもりです。俺はその為に冒険者ギルドから派遣されてきたんですから」
村長の話を要約するに、重要な情報が二つあった。①ゴブリンは夜に襲ってくる事②北に根城を構えている事。
この二つがわかった。ゴブリンと対峙する機会があるとすれば夜だろう。せっかく寝床を与えてくれるようだが、おちおち寝ている事もできそうにない。
「おお、それは実に頼もしい。ところでアトラス殿。見たところ防具を着ていないのではありませんか?」
俺は<銅の剣>を装備しているだけだ。着の身着のままで逃げてきたのだ。まともな装備を購入するだけの余裕はなかった。
「ええ……そうですが」
「安物の防具ですが、わしが若い頃使っていた防具があります。いくらゴブリンが相手とはいえ、防具がなくては心もとないでしょう」
そういって、村長は倉庫から防具を言っていた。お世辞にも上質な防具とは言い難い。ボロボロの防具だったが、それでも何も装備しないよりはずっと良かった。
「ありがとうございます。ありがたく頂戴します」
「ええ……是非着てみてください。サイズが合うと良いのですが」
俺は頂いた防具を身に着けた。
◇
身に着けた防具のサイズは思ってた以上にピッタリだった。
「おお……よく似合いますぞ。サイズが合っていて良かったです」
村長は喜んでいた。こうして俺は防具を手に入れたのだ。
「それでは今日はもう遅い。食事を取った後、ゆっくりと休んでいってください」
「こちらにどうぞ」
シャーロットに部屋に案内される。そしてその日の夜、早速、件のゴブリンが村に襲い掛かってくるのであった。
◇
【アトラス・アルカディア】
天職:竜騎士
Lv :1
HP :5/10
MP :5/5
攻撃力:6
防御力:6
魔法力:1
素早さ:1
【装備】
〈銅の剣〉※攻撃力+5
〈古びた鎧〉※防御力+5
【職業固有スキル】
〈騎竜〉
〈全竜強化〉
【通常スキル】
【所持金】
0G
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。
朱本来未
ファンタジー
魔術師の大家であるレッドグレイヴ家に生を受けたヒイロは、15歳を迎えて受けた成人の儀で盗賊の天職を授けられた。
天職が王家からの心象が悪い盗賊になってしまったヒイロは、廃嫡されてレッドグレイヴ領からの追放されることとなった。
ヒイロは以前から魔術師以外の天職に可能性を感じていたこともあり、追放処分を抵抗することなく受け入れ、レッドグレイヴ領から出奔するのだった。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
パーティーを追放された装備製作者、実は世界最強 〜ソロになったので、自分で作った最強装備で無双する〜
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
ロイルはSランク冒険者パーティーの一員で、付与術師としてメンバーの武器の調整を担当していた。
だがある日、彼は「お前の付与などなくても俺たちは最強だ」と言われ、パーティーをクビになる。
仕方なく彼は、辺境で人生を再スタートすることにした。
素人が扱っても規格外の威力が出る武器を作れる彼は、今まで戦闘経験ゼロながらも瞬く間に成り上がる。
一方、自分たちの実力を過信するあまりチートな付与術師を失ったパーティーは、かつての猛威を振るえなくなっていた。
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる