35 / 53
『融合』スキルで武器を融合する
しおりを挟む
「何をされるつもりなのですか? 来斗さん?」
ティアが興味津々と言った様子で覗き込んでくる。
来斗は『聖剣エクスカリバー』と『属性剣(エレメントソード)』を地面に並べた。
そしてスキルウィンドウを開き、SPを200支払い、あるスキルを習得する。鍛冶師系のスキルで『融合』スキルである。そのスキルを来斗は習得した。
これで残SPは300である。
「……習得したスキルで、この剣の属性効果を新しく手に入れた『聖剣エクスカリバー』に付与(エンチャント)するんだ」
「へぇー、すごいです。来斗さんはそんな事ができるんですか!」
ティアは驚いていた。
……そうか。とも思う。SPを支払う事でスキルを習得できるのは、女神により召喚された召喚者のみに許された、特権的行為である。
元々この世界に存在する人々や怪物(モンスター)。当然のようにティアもそうだ。彼等彼女等は元々、与えられた天分から逸脱するような真似は基本的にはできない。
それこそ聖女であったティアが吸血鬼化する事で吸血鬼としての力を得る事が可能になったが、それは例外的な話であるし。ティアとて自らの意思でスキルを選択して習得できるわけではない。
「ああ……俺は元々この世界にいた人間じゃなくて、女神により召喚された召喚者のうちの一人だからな……。召喚者には特別な権利(ちから)が授けられているんだよ……」
その特別な権利(ちから)の一つに『やり直し』が含まれているのか……。だが、前回召喚された時の記憶があるのは来斗だけだ。なぜか来斗だけに授けられた特権だった。なぜ、来斗にだけ授けられたのか……。
正確に言えば前回の記憶があるのは来斗だけではない。来斗達を召喚した女神にもあった。だから前回の記憶があるのは来斗と女神の二人だけ……という事になる。
あまりに不甲斐ない結末を迎えた来斗達に、女神は僅かばかりの慈悲を与えた、というところだろう。来斗が前回の記憶を備えたまま、やり直す事を許されたのは女神の気紛れかもしれない。無名剣士【ノービス】という代償(ハンデキャップ)を支払った末でのやり直し。
それくらいの代償(ハンデキャップ)を支払わなければ釣り合いが取れない程に、来斗の得たアドヴァンテージは大きかったのだ。
――ともかくとして。話を『融合』スキルの方に戻す。
「ふーん……それで、ライトさんは新たに習得した力(スキル)で何をなさるつもりなんですか?」
「新たに習得した力(スキル)は『融合』スキル……っていう、人間で言うところの鍛冶師とか、生産職が主に習得するスキルなんだ」
「『融合』!?」
「まあ……いいから見ていてくれ」
来斗はそう、ティアを諭す。ティアはその様子を固唾を飲んで見守った。
「『融合』スキル発動!」
来斗は先ほど習得したばかりの『融合』スキルを発動する。すると、地面に並べられている『属性剣(エレメントソード)』と『聖剣エクスカリバー』が光を放つ。そして融合し、一振りの剣となった。『聖剣エクスカリバー』はより一層力強い七色のような輝きを放つようになった。
「一体、これは……何がどうなったのでしょうか?」
「『聖剣エクスカリバー』と四つの基本属性を備えた『属性剣(エレメントソード)』をこの『融合』スキルで融合させたんだ……」
「融合!? それをすると一体、どうなるんですか?」
「ああ……『聖剣エクスカリバー』は本来的には聖属性の属性しか秘められていない剣だ。だが、『融合』スキルで融合する事で、『聖剣エクスカリバー』は『属性剣(エレメントソード)の四大属性を引き継いだんだ……つまりは『聖剣エクスカリバー』は聖属性の武器でありながら『属性剣(エレメントソード)』の特徴を引き継ぎ、四大属性の効果を付与しているんだ……」
「凄いです! そんな事が異世界から来た人達はできるのですか!」
ティアは目を輝かせ、関心していた。異世界から来た人々……ティア達。この世界『ユグドラシル』の住人からすれば来斗達は異邦人という事になる。
「……別に大した事じゃない。女神から授けられた力だ。俺が努力して身に着けたわけじゃないんだから」
来斗は『融合』スキルにより進化した『聖剣エクスカリバー』を装備する。進化したので『聖剣エクスカリバー改』と来斗は命名した。
「ステータスオープン」
来斗はステータスを開き、確認した。
============================
三雲来斗 16歳 男 レベル:50
天職:無名剣士【ノービス】
攻撃力:500
HP:600
防御力:350
素早さ:300
魔法力:300
魔法耐性:300
スキル:『錬成』 『料理』 『鍛冶』『融合』
『聖剣エクスカリバー』攻撃力+100※聖属性の力を秘める、聖属性最強の剣(ただし、来斗の知っている範疇であるが……)
→『聖剣エクスカリバー改』※聖属性の剣、エクスカリバーが火・水・風(雷)・地の四大基本属性が追加されている剣。ちなみに攻撃力は+100のまま変化はない
『ミスリルプレート』防御力+50 魔法耐性+50
※現SP残300SP
保有アイテム 青色ポーション×5
============================
「よし……これで問題ない。準備は万端だ」
攻略準備を整えた来斗達は、第40階層のフロアボスへ挑むのであった。
ティアが興味津々と言った様子で覗き込んでくる。
来斗は『聖剣エクスカリバー』と『属性剣(エレメントソード)』を地面に並べた。
そしてスキルウィンドウを開き、SPを200支払い、あるスキルを習得する。鍛冶師系のスキルで『融合』スキルである。そのスキルを来斗は習得した。
これで残SPは300である。
「……習得したスキルで、この剣の属性効果を新しく手に入れた『聖剣エクスカリバー』に付与(エンチャント)するんだ」
「へぇー、すごいです。来斗さんはそんな事ができるんですか!」
ティアは驚いていた。
……そうか。とも思う。SPを支払う事でスキルを習得できるのは、女神により召喚された召喚者のみに許された、特権的行為である。
元々この世界に存在する人々や怪物(モンスター)。当然のようにティアもそうだ。彼等彼女等は元々、与えられた天分から逸脱するような真似は基本的にはできない。
それこそ聖女であったティアが吸血鬼化する事で吸血鬼としての力を得る事が可能になったが、それは例外的な話であるし。ティアとて自らの意思でスキルを選択して習得できるわけではない。
「ああ……俺は元々この世界にいた人間じゃなくて、女神により召喚された召喚者のうちの一人だからな……。召喚者には特別な権利(ちから)が授けられているんだよ……」
その特別な権利(ちから)の一つに『やり直し』が含まれているのか……。だが、前回召喚された時の記憶があるのは来斗だけだ。なぜか来斗だけに授けられた特権だった。なぜ、来斗にだけ授けられたのか……。
正確に言えば前回の記憶があるのは来斗だけではない。来斗達を召喚した女神にもあった。だから前回の記憶があるのは来斗と女神の二人だけ……という事になる。
あまりに不甲斐ない結末を迎えた来斗達に、女神は僅かばかりの慈悲を与えた、というところだろう。来斗が前回の記憶を備えたまま、やり直す事を許されたのは女神の気紛れかもしれない。無名剣士【ノービス】という代償(ハンデキャップ)を支払った末でのやり直し。
それくらいの代償(ハンデキャップ)を支払わなければ釣り合いが取れない程に、来斗の得たアドヴァンテージは大きかったのだ。
――ともかくとして。話を『融合』スキルの方に戻す。
「ふーん……それで、ライトさんは新たに習得した力(スキル)で何をなさるつもりなんですか?」
「新たに習得した力(スキル)は『融合』スキル……っていう、人間で言うところの鍛冶師とか、生産職が主に習得するスキルなんだ」
「『融合』!?」
「まあ……いいから見ていてくれ」
来斗はそう、ティアを諭す。ティアはその様子を固唾を飲んで見守った。
「『融合』スキル発動!」
来斗は先ほど習得したばかりの『融合』スキルを発動する。すると、地面に並べられている『属性剣(エレメントソード)』と『聖剣エクスカリバー』が光を放つ。そして融合し、一振りの剣となった。『聖剣エクスカリバー』はより一層力強い七色のような輝きを放つようになった。
「一体、これは……何がどうなったのでしょうか?」
「『聖剣エクスカリバー』と四つの基本属性を備えた『属性剣(エレメントソード)』をこの『融合』スキルで融合させたんだ……」
「融合!? それをすると一体、どうなるんですか?」
「ああ……『聖剣エクスカリバー』は本来的には聖属性の属性しか秘められていない剣だ。だが、『融合』スキルで融合する事で、『聖剣エクスカリバー』は『属性剣(エレメントソード)の四大属性を引き継いだんだ……つまりは『聖剣エクスカリバー』は聖属性の武器でありながら『属性剣(エレメントソード)』の特徴を引き継ぎ、四大属性の効果を付与しているんだ……」
「凄いです! そんな事が異世界から来た人達はできるのですか!」
ティアは目を輝かせ、関心していた。異世界から来た人々……ティア達。この世界『ユグドラシル』の住人からすれば来斗達は異邦人という事になる。
「……別に大した事じゃない。女神から授けられた力だ。俺が努力して身に着けたわけじゃないんだから」
来斗は『融合』スキルにより進化した『聖剣エクスカリバー』を装備する。進化したので『聖剣エクスカリバー改』と来斗は命名した。
「ステータスオープン」
来斗はステータスを開き、確認した。
============================
三雲来斗 16歳 男 レベル:50
天職:無名剣士【ノービス】
攻撃力:500
HP:600
防御力:350
素早さ:300
魔法力:300
魔法耐性:300
スキル:『錬成』 『料理』 『鍛冶』『融合』
『聖剣エクスカリバー』攻撃力+100※聖属性の力を秘める、聖属性最強の剣(ただし、来斗の知っている範疇であるが……)
→『聖剣エクスカリバー改』※聖属性の剣、エクスカリバーが火・水・風(雷)・地の四大基本属性が追加されている剣。ちなみに攻撃力は+100のまま変化はない
『ミスリルプレート』防御力+50 魔法耐性+50
※現SP残300SP
保有アイテム 青色ポーション×5
============================
「よし……これで問題ない。準備は万端だ」
攻略準備を整えた来斗達は、第40階層のフロアボスへ挑むのであった。
0
お気に入りに追加
782
あなたにおすすめの小説
クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです
こたろう文庫
ファンタジー
学校をズル休みしてオンラインゲームをプレイするクオンこと斉藤悠人は、登校していなかったのにも関わらずクラス転移させられた。
異世界に来たはずなのに、ステータス画面はさっきやっていたゲームそのもので…。
魔法学院の階級外魔術師
浅葱 繚
ファンタジー
魔力の色によって使える魔法が決まる世界。魔法学院に入学した主人公ルーシッド・リムピッドの魔力の色は何と『無色』。色が無いゆえに一切の魔法が使えないルーシッド。しかし、実は無色の魔力には彼女だけが知っているある秘密があって…
魔法が絶対の世界は、たった一人の魔術師によって大きく動き出す。
【完結】虐待された幼子は魔皇帝の契約者となり溺愛される
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
――僕は幸せになってもいいの?
死ね、汚い、近づくな。ゴミ、生かされただけ感謝しろ。常に虐げられ続けた子どもは、要らないと捨てられた。冷たい裏路地に転がる幼子は、最後に誰かに抱き締めて欲しいと願う。
願いに引き寄せられたのは――悪魔の国ゲーティアで皇帝の地位に就くバエルだった!
虐待される不幸しか知らなかった子どもは、新たな名を得て溺愛される。不幸のどん底から幸せへ手を伸ばした幼子のほのぼのライフ。
日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
【表紙イラスト】蒼巳生姜(あおみ しょうが)様(@syo_u_ron)
2022/10/31 アルファポリス、第15回ファンタジー小説大賞 奨励賞
2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
2022/03/19 小説家になろう ハイファンタジー日間58位
2022/03/18 完結
2021/09/03 小説家になろう ハイファンタジー日間35位
2021/09/12 エブリスタ、ファンタジー1位
2021/11/24 表紙イラスト追加
【完結】赤ちゃんだけど最強ですが何か?〜転生直後に大貴族の生家から追放されたが、今更家に戻ってきて欲しいと言われてももう遅い!〜
コレゼン
ファンタジー
前世では最強の魔術王だったケイン。
だが大器晩成で結婚もなく、晩年も貴族連中に良いように使われるだけの報われない人生だった。
一か八かの転生魔法で転生成功したが―――
魔術王の無限魔力のスキルを転生後も受け継いでいるにもかかわらず、適正検査の不備で彼を魔術師として適正なしと判定。代々魔術師を生業としてきた家系の大貴族の両親はそんなケインをなんと亡き者として追放してしまった。
人に使われるのがもうまっぴらな彼は帝国を建国して人々の頂点の皇帝を目指すことに。
帝国の建国も順調にいった矢先、生家に俺の事がバレて今更戻ってきて欲しいと言われてももう遅い!
最強の赤ちゃんはその見た目にそぐわない行動と実力で周囲の度肝を抜き続けるのだった。
※こちら小説家になろうとカクヨムでも掲載中です
※新たに連載を開始しました。よければこちらもどうぞ!
魔王様は転生して追放される。今更戻ってきて欲しいといわれても、もう俺の昔の隷属たちは離してくれない。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/980968044/481690134
(ページ下部にもリンクがあります)
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?
鏑木 うりこ
恋愛
父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。
「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」
庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。
少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *)
HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい!
色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー!
★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!
これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい!
【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)
スキルを模倣して最強無敵!異世界勇者?魔王?どっからでもかかってこいやぁ!
オギコン
ファンタジー
全ての種族がスキルを発現する世界で、スキル【模倣】を発現したマルコイ。発現方法もわからないし、役立たずだったが‥
発現方法がわかってからは、いろんなスキルを模倣しまくる。
すぐに楽して強くなるはずだったが、たくさんの壁がありました。
でもそんな壁を乗り越えて、いずれ最強になる残念イケメンの話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる