9 / 19
【義妹SIDE】辺境伯様の新たな噂を聞く
しおりを挟む
「ふんふーん♪」
シャーロットに対する義妹。果たして義妹と呼んでいいのか、カーディガン家を追い出された今では。ともかく、ガーベラ・カーディガンは陽気であった。
なにせあの養子であったシャーロットを都合良く厄介払いできたからである。あのただ飯食らいであり、尚且つ獣臭い(とはいえそれは義母が飼っている家畜の世話を強制させていたからなのではあるが。それに関しては一切彼女が顧みる事はなかった)女がいなくなったという事は。
いわばガーベラにとっては長年うっとおしく邪魔だと思っていた粗大ごみを捨てれたに等しい。気分爽快である。
だから今のガーベラは珍しく陽気であり、晴れ晴れとした気分をしていたのである。
ガーベラが呑気にテラスで優雅なティータイムをしていた時の事であった。それなりの名家であるカーディガン家には当然のように使用人がいた。
わざわざ自分から紅茶を入れる必要性などない。ただ使用人が淹れたちょうどいい温度と香りの紅茶を飲めばいいだけであった。片付けもやってくれたのだ。この上ないサービスをガーベラは受けていた。
――と、その時であった。
「はぁ……はぁ……はぁ」
母――ローズがガーベラの元へ走ってきたのである。
「あら、どうしたのでありますか、お母様。そんな血相を変えて」
「い、いえ。なんか変な噂を聞いちゃって」
「変な噂? どんな噂ですの?」
「前に『辺境伯』のところに嫁に出したシャーロットの事は覚えている?」
「ああ。あの獣臭い粗大ごみのような女でありますか。あの女がどうしたのですか?」
「そのシャーロットが嫁いだ『辺境伯』のあたりに凄い美丈夫が現れたんだって」
「何かの間違いではありませんか? お母様? あの地帯には化け物のような見た目をしているという『辺境伯』がいるだけではありませんか? あの地帯には他に屋敷どころか、一軒家すらありません事よ」
「そうなのよ。だから私は何かの間違いだと思っていたんだけど、どうやらそうじゃないようなのよ。他の令嬢たちがその美丈夫を一目見たいが故に集まっているみたいで」
「まさか……そんな事が。ありえませんわ! あの地帯には野獣のような化け物。『辺境伯』がいるだけのはずですもの!」
ガーベラは憤った。だが、まさか何かがあったのか。そんな予感がした。なんにせよ、この場にいてはどうしようもない。実際足を踏み入れてみなければわからない事も世の中には存在する。
「どうするの? ガーベラ」
「ともかく行ってみましょう。何かの間違いではあると思うのですが、実際にこの目で見て観なければ様子がわかりませんもの」
「そう。わかったわ。馬車を走らせましょう」
「ええ……」
(そんなはずがありませんわ……あの犬臭い女、シャーロットは間違いなくお似合いの化け物のような辺境伯と結ばれているはず。そんな事あるはずがない)
まさか、シャーロットがそんな美丈夫と結ばれているような事は決してないとは思いつつも。胸にざわめきのようなものを抱えたガーベラは馬車を走らせ、辺境伯のところへと向かったのである。
シャーロットに対する義妹。果たして義妹と呼んでいいのか、カーディガン家を追い出された今では。ともかく、ガーベラ・カーディガンは陽気であった。
なにせあの養子であったシャーロットを都合良く厄介払いできたからである。あのただ飯食らいであり、尚且つ獣臭い(とはいえそれは義母が飼っている家畜の世話を強制させていたからなのではあるが。それに関しては一切彼女が顧みる事はなかった)女がいなくなったという事は。
いわばガーベラにとっては長年うっとおしく邪魔だと思っていた粗大ごみを捨てれたに等しい。気分爽快である。
だから今のガーベラは珍しく陽気であり、晴れ晴れとした気分をしていたのである。
ガーベラが呑気にテラスで優雅なティータイムをしていた時の事であった。それなりの名家であるカーディガン家には当然のように使用人がいた。
わざわざ自分から紅茶を入れる必要性などない。ただ使用人が淹れたちょうどいい温度と香りの紅茶を飲めばいいだけであった。片付けもやってくれたのだ。この上ないサービスをガーベラは受けていた。
――と、その時であった。
「はぁ……はぁ……はぁ」
母――ローズがガーベラの元へ走ってきたのである。
「あら、どうしたのでありますか、お母様。そんな血相を変えて」
「い、いえ。なんか変な噂を聞いちゃって」
「変な噂? どんな噂ですの?」
「前に『辺境伯』のところに嫁に出したシャーロットの事は覚えている?」
「ああ。あの獣臭い粗大ごみのような女でありますか。あの女がどうしたのですか?」
「そのシャーロットが嫁いだ『辺境伯』のあたりに凄い美丈夫が現れたんだって」
「何かの間違いではありませんか? お母様? あの地帯には化け物のような見た目をしているという『辺境伯』がいるだけではありませんか? あの地帯には他に屋敷どころか、一軒家すらありません事よ」
「そうなのよ。だから私は何かの間違いだと思っていたんだけど、どうやらそうじゃないようなのよ。他の令嬢たちがその美丈夫を一目見たいが故に集まっているみたいで」
「まさか……そんな事が。ありえませんわ! あの地帯には野獣のような化け物。『辺境伯』がいるだけのはずですもの!」
ガーベラは憤った。だが、まさか何かがあったのか。そんな予感がした。なんにせよ、この場にいてはどうしようもない。実際足を踏み入れてみなければわからない事も世の中には存在する。
「どうするの? ガーベラ」
「ともかく行ってみましょう。何かの間違いではあると思うのですが、実際にこの目で見て観なければ様子がわかりませんもの」
「そう。わかったわ。馬車を走らせましょう」
「ええ……」
(そんなはずがありませんわ……あの犬臭い女、シャーロットは間違いなくお似合いの化け物のような辺境伯と結ばれているはず。そんな事あるはずがない)
まさか、シャーロットがそんな美丈夫と結ばれているような事は決してないとは思いつつも。胸にざわめきのようなものを抱えたガーベラは馬車を走らせ、辺境伯のところへと向かったのである。
0
https://www.alphapolis.co.jp/novel/695858559/595482008義妹に婚約者を寝取られた病弱令嬢、幼馴染の公爵様に溺愛される新作短編よろしくお願いします!
お気に入りに追加
4,063
あなたにおすすめの小説
殿下、お探しの精霊の愛し子はそこの妹ではありません! ひっそり生きてきましたが、今日も王子と精霊に溺愛されています!
Rohdea
恋愛
旧題:ひっそり生きてきた私、今日も王子と精霊に溺愛されています! ~殿下、お探しの愛し子はそこの妹ではありません~
双子の姉妹のうち、姉であるアリスティアは双子なのに妹ともあまり似ておらず、
かつ、家族の誰とも違う色を持つ事から、虐げられ世間からは隠されてひっそりと育って来た。
厄介払いをしたかったらしい両親により決められた婚約者も双子の妹、セレスティナに奪われてしまう……
そんなアリスティアは物心がついた時から、他の人には見えない者が見えていた。
それは“精霊”と呼ばれる者たち。
実は、精霊の気まぐれで“愛し子”となってしまっていたアリスティア。
しかし、実は本来“愛し子”となるべきだった人はこの国の王子様。
よって、王家と王子は“愛し子”を長年探し続けていた。
……王家に迎える為に。
しかし、何故か王家はセレスティナを“愛し子”だと思い込んだようで……
そんなある日、街でちょっとワケありな様子の男性を助けた事から、
その男性と仲良くなり仲を深めていくアリスティア。
だけど、その人は──
幼馴染に奪われそうな王子と公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
「王子様、本当に愛しているのは誰ですか???」
「私が愛しているのは君だけだ……」
「そんなウソ……これ以上は通用しませんよ???」
背後には幼馴染……どうして???
不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。
猫宮乾
恋愛
再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて
木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。
前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)
婚約破棄の夜の余韻~婚約者を奪った妹の高笑いを聞いて姉は旅に出る~
岡暁舟
恋愛
第一王子アンカロンは婚約者である公爵令嬢アンナの妹アリシアを陰で溺愛していた。そして、そのことに気が付いたアンナは二人の関係を糾弾した。
「ばれてしまっては仕方がないですわね?????」
開き直るアリシアの姿を見て、アンナはこれ以上、自分には何もできないことを悟った。そして……何か目的を見つけたアンナはそのまま旅に出るのだった……。
告白さえできずに失恋したので、酒場でやけ酒しています。目が覚めたら、なぜか夜会の前夜に戻っていました。
石河 翠
恋愛
ほんのり想いを寄せていたイケメン文官に、告白する間もなく失恋した主人公。その夜、彼女は親友の魔導士にくだを巻きながら、酒場でやけ酒をしていた。見事に酔いつぶれる彼女。
いつもならば二日酔いとともに目が覚めるはずが、不思議なほど爽やかな気持ちで起き上がる。なんと彼女は、失恋する前の日の晩に戻ってきていたのだ。
前回の失敗をすべて回避すれば、好きなひとと付き合うこともできるはず。そう考えて動き始める彼女だったが……。
ちょっとがさつだけれどまっすぐで優しいヒロインと、そんな彼女のことを一途に思っていた魔導士の恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
婚姻初日、「好きになることはない」と宣言された公爵家の姫は、英雄騎士の夫を翻弄する~夫は家庭内で私を見つめていますが~
扇 レンナ
恋愛
公爵令嬢のローゼリーンは1年前の戦にて、英雄となった騎士バーグフリートの元に嫁ぐこととなる。それは、彼が褒賞としてローゼリーンを望んだからだ。
公爵令嬢である以上に国王の姪っ子という立場を持つローゼリーンは、母譲りの美貌から『宝石姫』と呼ばれている。
はっきりと言って、全く釣り合わない結婚だ。それでも、王家の血を引く者として、ローゼリーンはバーグフリートの元に嫁ぐことに。
しかし、婚姻初日。晩餐の際に彼が告げたのは、予想もしていない言葉だった。
拗らせストーカータイプの英雄騎士(26)×『宝石姫』と名高い公爵令嬢(21)のすれ違いラブコメ。
▼掲載先→アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる