都合のいい男

美浪

文字の大きさ
上 下
113 / 180
エクア・ドル。獣人編

熱の異能者

しおりを挟む
「知ってる?42℃以上体温上がると人って簡単に倒れるし。死ぬんだよ。」
エンジェルがニヤっと笑った。

殺気を帯びた熱風は更に暑さを増した。エンジェルの身体から発せられている。

「この結界から出たらアウトやで。一気に人の体温を上げてくるわ。はっきり言うて彼奴はホンマにタチ悪い。」
リョウの顔は戦闘態勢。

「ミナキ、リョウ少しだけ我慢しろ。」
ボスがそう言うとザザっと久しぶりに耳に雑音が走った。
作戦か。リョウにはこっそり説明する。

「おもろい異能や。俺達も作戦しよか。この結界やったら直ぐに破られるで。」
「だろうね。ちゃんと攻撃に合わせる。」

「ちょっとエンジェルと先に手合わせみせたるわ。ミナキ、本真に熱波は死ぬで。護りや。」
こりゃ全力だろうなあ。


「ミナキは四神結界。リョウは好きに攻撃して。」
ボス達の作戦は纏まった。まあ、リョウはそうなるよね。

――四神結界――

「ふーん?リョウちん、戦う気満々なんだ?そいつら獣人だよね?護る必要あるの?」
エンジェルは天使の様な微笑みを見せた。
両手が赤く光って

――熱波殺ヒートウェーブ――

ゴオォォ!!と激しい熱波が。結界内でも熱い!!!
これ受けてたら本当にヤバいやつ!

俺の背後でシャン!!シャンシャン!と音が鳴った。

――転移――

元締めは女性獣人と子供、年配の男性の獣人を連れて転移させた。考えたな。戦闘がしやすくなった。

「流石、ボス。」
残った獣人はゼットを含めて5人。

「さあ?全力で殺ろうか?」

カプリスと獣人5人。

「えーか?見とけや!当たるとホンマにヤバいからな!」
見本やで?と勢い良くリョウが結界から飛び出した。

――熱殺――

リョウは避けながらエンジェルに蹴りを入れたが
「熱っちぃ!」
蹴りを入れた部分の服が溶けて穴が開いていた。うわぁ!!そうなるんだ!

「リョウちん。学習能力ないよね?」
クスクス笑いながらエンジェルが体術を仕掛ける。当たると火傷・・・。
「学習能力あるわ!これはこーなるって皆に見せてるんや!バーカ!」
リョウは剣を振るう。エンジェルはガシッと受けた。
「お前と殺る時は体術は向いてない?やろ?」

リョウはエンジェルの攻撃を避けて後ろに下がった。

「じゃあ?これは?」
ラズの凍気が辺りに立ち込める。
凄く中和して涼しくなった。


「氷かよ?」
エンジェルが苦笑い。

「そして俺達も?」
ラズの背後からハーミット様とバニラさんが駆け寄り先に仕掛けた。

――節制テンパランス――

――異能初期化デフォルト――

「からの~。」
――縮小自在リダクション――

ディードも異能発動。エンジェルの剣が一回り小さくなった。

「そして、俺も~。」

――重力操作グラビティ――

ジハードの重力操作。見事なる連携プレーで全ての異能が上手く発動した。

「追加ね♪」

――拘束――

シアンの拘束も決まった!!
ラズの凍気が全て盾になり全員の攻撃が効いた!

「貴様ら!!ふざけるなー!!!」
エンジェルが叫び全て掛けられた異能を解こうとした瞬間。

――氷の墓石アイスグレイブ――

熱風を押し退けエンジェルの足元が氷始めた。
ピシッ!!

「行くぞー!」

結界内に居たウェンの気が物凄く増長した。

――音速の光弾ソニックバレット――

光弾は見事に命中して熱気が引いてエンジェルが吹き飛ばされる。

「やったか!?」
ラズは凍気は消さずに確認する。

「ラズ!まだだ!」
ボスに言われてラズはチッと舌打ちした。背後のウェンも舌打ち・・。
ムカつくのは良く解る。

これだけやっても生きてるし。

「じゃあ。私の出番ね。」
攻撃第2弾!とエルーカさんが異能発動。

――想像と創造イマジネーション&クリエーション――

「行ってらっしゃい。」
ゼット達に武器を作成していく。

これは?!手甲鉤てっこうかぎか。手に嵌める鉤爪の様な武器だ。

獣人達の動きはかなり速いと思っていたがエンジェルの動きはエグい・・・。

「ほらほら獣人の姿を見せてよ。見たいなあ。」
エンジェルに言われて攻撃を受けて火傷をしても彼等は頑なに異能を使おうとしない。

「変身しないのかな?」
そう聞くとハーミット様が
「今回、こんな事態になったのは強敵相手だったからと不用意に変身したからだ。彼等はプライド高いからね?自粛してるのかな。」
とちょっと切なそうな顔をして言った。

「思ったより強いね。闇雲に集団で襲いかかると一気に熱波が来るから小出しにしてるんだけど。そろそろ殺る?バックスレー。アルージャ。」
「そうだな。」
「たまには真面目にね?」
ボスとバックスレーさんとハーミット様。
勿論ボスは地獄の大鎌を装備。

3人は獣人達の間を縫う様に3方向へ散った。

熱風を受けた獣人をラズが軽く凍らせる。
上手いこと体温は上がらずに全員無事。

「ゼット。俺達も強いから任せて。」
ハーミット様がニヤっと微笑む。


「カプリス如きが何人来ようと敵では無いしー!」
エンジェルの異能でまた一帯の気温が上がった。

――熱波斬殺ヒートウェーブデス――

先程とは比較にならない熱風の鎌鼬がボス達を襲う。

「クソっ!!」
避けても追ってくる。
拉致があかない。

いけるよね・・・。俺もやらなきゃ!!

「行くよ!!青龍・白虎・朱雀・玄武・匂陳・帝台・文王・三台・玉女!!」

――九芒星鉄壁ノナグラム――

熱波を全て鉄壁で受け止めて無効化。

九神解除。
今回は倒れずに済みそう。

「サンキュ!」
ボスが勢い良く駆けて行く。

エンジェルと対峙し大鎌を振るう。

「さーいーきょーうー!!キーック!!」
まさに不意打ちとも言える速さでバックスレーさんの飛び蹴りが横から炸裂してエンジェルは吹き飛んだ。

「はーい。お待たせ。」
その飛んだ所に計算した様にハーミット様が居た。
ザシュッ!!
背中に斬りつける。

「じゃあラストの良い所貰うね?」

――地獄の大鎌ヘルサイス――

エンジェルの胸に大鎌が刺さった。

「地獄に落ちな天使ちゃん。」

断末魔の叫び声と共に黒焦げの影だけが地面に残った。

すげぇ!勝った!!

「俺、全然活躍してないやんけー!」
とリョウが1人いじける。

安堵と共に皆に笑顔が戻った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

異能バトル漫画にトリップ直後で黒幕と遭遇するとかふざけんな。~俺は意地でも平凡ライフを送ってやる~

Qoo
BL
上位トレンド入りを起こす程の人気バトル漫画≪異能大戦≫略してーイノセンー。名前の通り異能を持った人間達が何でも願いを叶えるという秘宝≪星屑の涙≫。その秘宝を求めた猛者達が繰り広げる異能バトル漫画にハマっていたこの物語の主人公である青年・目つきの悪い盆陣鵺楼(ぼんじんやろう)。彼は妹・盆陣織田姤(ぼんじんおたく)と共に平凡暮らしをしていたが白梟の仮面を被った謎の集団に襲撃される。深傷を負うもののなんとか妹だけを救出し仲間の1人に妹を託し盆陣は死を迎える筈だった。だが盆陣が意識を取り戻すとそこは見知らぬ薄暗い部屋のベッドの上だった。横から視線を感じた先には人間離れをした麗しい美貌を持つ男が優雅に足を組み座っていた。負傷した盆陣を治療しここまで連れてきたという全身が黒で統一していた怪しげな男。だが初対面であるその男に盆陣はどこか見覚えがあった。 「やぁ。お目覚めかい?怪我してる所悪いけれど少し僕とお話しようか?お兄さん?」 爽やかにそうに笑う彼の瞳は死んでいた。彼から感じていた違和感が解けた盆陣は絶望する。 (おいおい。………マジか。) この男こそがかつて自身が読みあさっていた大人気少年漫画の主人公を散々苦しめた異能大戦略して≪イノセン≫に登場する黒幕・黒磯棗(くろいなつめ)であった。つまり盆陣はここでようやく自身が≪イノセン≫の世界に飛ばされたことを理解したのだった。そして厄介なことに今。凶悪な大量殺人鬼がトリップしたばかりの盆陣の目の前にいる。 (クソ面倒せぇ。) トリップ直後でもう黒幕との接触。窮地に立たされた盆陣の運命はいかに!! ーーただこの盆陣鵺楼という男には世間にもたった1人の家族である妹にも言えない秘密があった。その秘密とは? サイコパス殺人鬼美青年(黒幕)×やる気なしの平凡?(非凡)青年。 異能バトルを舞台にした漫画の世界に飛ばされ盆陣は黒幕から逃げ切り、果たして平凡ライフを送ることができるのか。 そして現実世界で盆陣達を襲った集団の正体は!?

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜

7ズ
BL
 異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。  攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。  そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。  しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。  彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。  どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。  ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。  異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。  果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──? ーーーーーーーーーーーー 狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛  

乙女ゲームに転移したけど無理ゲー過ぎて笑える(仮)

鍋底の米
BL
ある日、高校からの帰り道、とある事故に巻き込まれたせいで、おれは異世界に転移させられた。 『ハーレム学園 どきどき♡サバイバル ~乙女の本気モード~』 そこは、乙女ゲームの世界であった… 称号:聖女? いや、おれ男だし。 しかもなんといきなり2作目? ふざけんな! 突然迫る命の危機?! ハードモード過ぎるだろ!! —— どうやらこれは、ただの恋愛ゲームではなさそうだ…。 ------------------------------------------------ ファンタジー色強め。 だが、BL。されど、BL。 けれど、R18指定はしておりません。 ゲームのタイトルがアレですが、 学園物ではありませんし、 カップリングも固定です。 この時点でかなり読者層が狭まると思います。 それでもオッケーよ、と受け入れてお付き合い頂けると嬉しいです。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

処理中です...