都合のいい男

美浪

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遺跡

氷の異能者VS氷の異能者

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やれやれ。政府にも居たのか氷使い。
しかもボスは俺をご指名だ。解るけどね。他の奴じゃ多分?不利だし。

「全く、殺気と冷気とやたらと放ち過ぎだよおっさん。」

皆、寒そうだけど。俺は寒さは感じない。

「氷の異能者か。異世界人でも無いのに居たんだなあ?」

牽制・・・。さて、どの程度の異能者か。

先ずは体術かな?
駆け寄り蹴りを入れる。受け止められた足が凍った。

が、俺も氷使いなので効かない。

体術も凍気タイプか。そりゃボスが俺を指名する訳だな。

「厄介な奴だな。」
政府異能者はボソリと言った。
「そりゃお互い様。」
俺も凍気を纏う。

さあ?殺ろうか?

お互いの凍気による体術ラッシュ。
蹴り、殴打も全て氷が纏う。1歩も譲らない。
クソ。体術は互角。

「死ねー!!!」
政府異能者から放たれた冷気のブレス!

身体を庇い受けた両手が凍りつく。
耐性あってもこいつは冷てえや。

「死なねーよ!」
俺も異能発動!

――氷の墓石アイスグレイブ――

炎さえも凍りつく俺の氷技。

政府異能者を凍りつかせる。墓標完成・・・してないな。
チッ!舌打ちして次の技を考える。

政府異能者は一旦凍りついたがピシッと音を立てて氷の墓石は破壊された。

「やってくれるね?この世界生まれのくせに。」
何か・・・くる!!!

――大地氷結アースフリージング――

「ヤバい!!」
この異能広範囲過ぎる!!
俺は咄嗟に飛び上がったが皆は?!防御したか?

「ラズ!心配するな!」
ボスが声をかける。ミナキが結界を張ってくれたようだ。

結界張ってるなら使えるな。
全く、仲間に恵まれているよ。

「受け取れ。」

銃を構えて避けようと走る奴へ狙いを定める。

――氷の弾丸乱射アイスバレットシューティング――

弾丸は氷を纏い政府異能者を貫く。
エルーカ特性の俺専用銃。
悪ぃな。当たると絶対貫くんだよ。

政府異能者は氷の弾丸を受けて仰向けに倒れた。

冷気に満ちた階の気温が上がるのを感じる。

「ラズ!すげー!!!カッコいー!」
ミナキが嬉しそうに褒める。
照れるじゃねーか。

「やはりラズで正解だったな。」
ボスはニヤっと微笑みかける。

「確かに、此奴との体術戦は俺しか無理だったかな。」
そう言いながらもちょっと照れる。
ポンポンと元締めが俺の頭を優しく叩いた。
「ラズ、良くやった。」

・・・。わーわーわー!!!ポンポンされたぁ!
顔が赤くならない様にまた凍気を思わず纏ってしまった。隠せたかな。焦る。

「良し、2階はまだ広いぞ。」
ボスが声をかけた。バレなかった。

ふう。
「ラズ。嬉しそうだね?」
ウェンがニヤっと笑い俺の背中を叩いてミナキの隣に向かった。
バレたな。ウェンはこう言うの何故か良く見てやがる。

      
            ・・・・・・・・・・・・

ラズと氷の異能者との戦闘後も敵が後を絶たない。

異能発動する程では無いのだけど。
勿論、殆ど俺は活躍していない。

2階は既に朱雀で網羅した。
それらしき人物は居ない。

先に朱雀は1階へ降りるか。

流石に広い。

え?・・・。や・・・ヤバい!!


「朱雀ー!!!戻れ!!」
間一髪で朱雀を自分の元に戻した。

はぁはぁ。びっくりした。

「ミナキ?」
突然叫んだ俺に皆が注目した。

「あっ。あの。朱雀が斬られそうになって。隠して居たのに。」
それに。それを斬ろうとしたのは

「オーガが居ました。」
本当に今まで誰にも見付からなかった朱雀を見えたんだよな。

目の前に突然現れて斬りかかられた。

「気配の経ち方が成長しているんだよ。」
ボスは確認する様に危険察知能力で網羅して回っている様だ。

「ラスボスより強いかもね。」
オーガを見付けたとボスは苦笑した。

「ソトメが言ってたね。闘技場に居るって?奴も強くなっている。」
ハーミット様が仕方ないよ、殺るしかないんだ。と俺の背中をポンと叩いた。

「覚悟を決めて降りようか。」
ボスは下に降りる階段を見付けた。

オーガの異能は異能の無効化。

体術の争いになる。

誰がやるんだ?

「オーガの相手は誰がしようか?」
ボスが考えながら1歩ずつ前に進む。

「うーん。外のラスボスも考え無いといけないからなあ。」
独り言の様にブツブツと言いながら

「アルージャ。」
ボスはそう言った。

了解とハーミット様は笑った。
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