上 下
367 / 369
番外編

エミリア

しおりを挟む
今年のクリスマスミサコンサートも無事に成功。

イブもデートしたけれど実は今日もアレックスとお昼ご飯を一緒に食べに行く。

なるべく国立管弦楽団の休みの日は私も休む様にして高校の頃よりデートする様になった。

でも・・・実はまだキスより進展していない。もう結婚しちゃったルナリーとキャサリンに置いて行かれてしまった気分。

私って魅力が無いのかしら?背も小さいし。顔も童顔だしなあ。

「エミリア!お疲れ様。今年のミサコンサートも凄く良かったよ!」
「アレックス!ありがとう!あっ。皆様もありがとうございます。」
国立管弦楽団の皆様も一緒に居たので御挨拶。

ラジオ放送時間も増えて国立管弦楽団の皆様と会う機会も増えたのですっかり仲良しになった。

「じゃあエミリア行こうか!」
「はい。ではまたラジオ局で!!」
管弦楽団の皆様に別れを告げてデートにレッツゴーだ。

「今日は何、食べます?昨日はピザにしたから違うのが良いかなあ。」
アレックスの車の助手席に座る。

「えーとね?エミリア。今日はクリスマスだしちょっと豪華にしよう!」
アレックスは嬉しそうな笑顔を見せた。
「解った。アレックスにお任せする!」

何処のお店でも一緒だと嬉しい。

連れて行ってくれたのはボードウェン国際ホテルの最上階レストラン。
国賓とかが泊まるホテルだ。

「ええ!!?アレックス。私、そんなにお洒落してないよ!」
「うん。僕も。」
浮かない?
と心配したけれど・・。

そんな事は無かった。
お昼はドレスコードも無く割と皆さんお洒落な普段着みたい。良かったぁ。

「メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
2人でこんな豪華なお昼ご飯。

コース料理を2人で楽しむ。

「やっぱりちょっと緊張するね。」
「うん。なかなか庶民が抜けないわ。」
2人とも稼いでいても庶民出身。

こう言う所にご飯を食べに来るのはついつい周りを見てしまう。

「ふふっ。何か見ちゃうよね?大丈夫。堂々としていればOKだよ。」
「そうなのよね。城にも出入りしているのに。」

お互い有名人になったなあと思う。
でも、付き合い方もずっと変わらない。
こう言うサプライズ的なお昼ご飯もあるけれど。
やっぱりアレックスと一緒って自然で居られる。

「昨日、プレゼント交換したけど。」
御飯食べ終わった頃にアレックスが徐にそう言った。
顔は真剣だし。え?怒ってる??
あれ?プレゼント失敗したかな・・。毎年、笛ばっかりって思われたかな。

「うん。交換した。」
アレックスの顔を見詰める。
怒ってたら謝ろう。

「もう1つプレゼントが有ります!」
アレックスが照れながらポケットから取り出した。
これは・・・。この大きさは!!!

パカッと箱の蓋が空いた。

やっぱり!指輪だ!

「エミリア。僕と結婚してください。」
突然!!

突然来た!

私の顔も赤くなるのが解る。

「はい・・。勿論。」
コクっと頷いた。

「良かった!エミリア忙しいし断られるかと思ったぁ。」
とアレックスは微笑んでホッとした顔をしている。
私が断る筈無いじゃない。

こんなにアレックスが大好きなのに。
ずっとずっとアレックスに憧れて、貴方に追い付くために頑張ったんだよ。

アレックスは手を出してと言って私の左手の薬指に指輪を嵌めてくれた。

ダイヤモンドが付いてる。
「ありがとう。アレックス!とっても!嬉しい!」
指輪に触れると今までの思いとか溢れてきちゃって涙がスーッと流れた。

「僕も嬉しい。エミリアと同じ気持ちだったのが本当に嬉しいよ。」
うん。涙を拭って頷いた。

何かテンションも上がってしまい話が弾んでしまったがそろそろレストランを出ようかと言う頃にアレックスがまたちょっと真剣な顔。

「あの・・・。嫌なら断って。」
「何?」
断る?何を?

沈黙が流れ言いにくそうにアレックスは口を開いた。

「あの。良かったら今日、泊まりませんか?」
「え!?」

泊まる?

泊まる!

と・ま・る?!

やっと理解出来た。お・・・お泊まりに誘われたんだ。遂に・・!誘われたのか!

「と・・・泊まります。」
いざとなると恥ずかしくなる。私は小声でそう答えた。

あんなに羨ましかった大人の階段が目の前に現れるとドキドキして仕方がない。

アレックスも同じだったのかもしれない。
照れまくった顔で小さく良かったと呟いた。

そう。私達は結婚するのよね。
だからそう。お泊まりしても大丈夫。
うんそう。

お泊まりはこのホテルの一室でした。
まさか予約しているなんて。
アレックスも考えてくれてたんだなあと思うと嬉しい。
でも、何だろうめちゃくちゃ照れるし焦る。

そうだ。お父さん、お母さんに何て言おう?

正直に言うべきだったんだろうけど私は思わずノネットでクリスマスパーティーして泊まると嘘をついた。

ホテルの部屋はダブルベッド・・・。
部屋に入った瞬間に目に付いた。

エッチな話はルナリーやキャサリンに聞いた事がある。

本当に羨ましかったけれど。震える自分が居た。
「エミリア。僕も緊張してるから。」
アレックスがそっと抱き締めてくれた。

そう。私達は2人で大人になるんだ。

優しいキスも熱いキスも。
全部、私達は初めてだった。

今度は初めてひとつになるんだ。

クリスマス。

サンタさんは何時も私にサプライズをくれる。

アレックスが初めてのノネット・クライムのミサコンサートを見に来てくれた時から。

「エミリア。愛してるよ。」
「アレックス。私も。」
ずっと。

これからもずっとね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
 初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎  って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!  何故こうなった…  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  そして死亡する原因には不可解な点が…  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。

なつめ猫
恋愛
聖女としての天啓を受けた公爵家令嬢のクララは、生まれた日に王家に嫁ぐことが決まってしまう。 そして物心がつく5歳になると同時に、両親から引き離され王都で一人、妃教育を受ける事を強要され10年以上の歳月が経過した。 そして美しく成長したクララは16才の誕生日と同時に貴族院を卒業するラインハルト王太子殿下に嫁ぐはずであったが、平民の娘に恋をした婚約者のラインハルト王太子で殿下から一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。 クララは動揺しつつも、婚約者であるラインハルト王太子殿下に、国王陛下が決めた事を覆すのは貴族として間違っていると諭そうとするが、ラインハルト王太子殿下の逆鱗に触れたことで貴族院から追放されてしまうのであった。

突然現れた自称聖女によって、私の人生が狂わされ、婚約破棄され、追放処分されたと思っていましたが、今世だけではなかったようです

珠宮さくら
恋愛
デュドネという国に生まれたフェリシア・アルマニャックは、公爵家の長女であり、かつて世界を救ったとされる異世界から召喚された聖女の直系の子孫だが、彼女の生まれ育った国では、聖女のことをよく思っていない人たちばかりとなっていて、フェリシア自身も誰にそう教わったわけでもないのに聖女を毛嫌いしていた。 だが、彼女の幼なじみは頑なに聖女を信じていて悪く思うことすら、自分の側にいる時はしないでくれと言う子息で、病弱な彼の側にいる時だけは、その約束をフェリシアは守り続けた。 そんな彼が、隣国に行ってしまうことになり、フェリシアの心の拠り所は、婚約者だけとなったのだが、そこに自称聖女が現れたことでおかしなことになっていくとは思いもしなかった。

【完結】救済版:ずっと好きだった

ユユ
恋愛
『ずっと好きだった』を愛読してくださった 読者様にお応えして、救済版として作りました。 あのままでいいという方は読まないでください。 かわいそうなエヴァンとライアンの為のものです。 『ずっと好きだった』を読まないとこの話は理解できないようになっています。 章分けしています。 最初はエヴァン。次はライアン。 最後はライアンの子の章です。 エヴァンとライアンの章はそれぞれ纏めて公開。 ライアンの子の章は1日1話を公開します。 暇つぶしにどうぞ。 * 作り話です。 * 完結しています。 * エヴァンの話は別ルートです。 * ライアンの話は転生ルートです。 * 最後はライアンの子の話しです。

美形な兄に執着されているので拉致後に監禁調教されました

パイ生地製作委員会
BL
玩具緊縛拘束大好き執着美形兄貴攻め×不幸体質でひたすら可哀想な弟受け

王女殿下に婚約破棄された、捨てられ悪役令息を拾ったら溺愛されまして。

Rohdea
恋愛
伯爵令嬢のフルールは、最近婚約者との仲に悩んでいた。 そんなある日、この国の王女シルヴェーヌの誕生日パーティーが行われることに。 「リシャール! もう、我慢出来ませんわ! あなたとは本日限りで婚約破棄よ!」 突然、主役であるはずの王女殿下が、自分の婚約者に向かって声を張り上げて婚約破棄を突き付けた。 フルールはその光景を人混みの中で他人事のように聞いていたが、 興味本位でよくよく見てみると、 婚約破棄を叫ぶ王女殿下の傍らに寄り添っている男性が まさかの自分の婚約者だと気付く。 (───え? 王女殿下と浮気していたの!?) 一方、王女殿下に“悪役令息”呼ばわりされた公爵子息のリシャールは、 婚約破棄にだけでなく家からも勘当されて捨てられることに。 婚約者の浮気を知ってショックを受けていたフルールは、 パーティーの帰りに偶然、捨てられ行き場をなくしたリシャールと出会う。 また、真実の愛で結ばれるはずの王女殿下とフルールの婚約者は───

【完結】些細な呪いを夫にかけ続けている妻です

ユユ
ファンタジー
シャルム王国を含むこの世界は魔法の世界。 幼少期あたりに覚醒することがほとんどで、 一属性で少しの魔力を持つ人が大半。 稀に魔力量の大きな人や 複数属性持ちの人が現れる。 私はゼロだった。発現無し。 政略結婚だった夫は私を蔑み 浮気を繰り返す。 だから私は夫に些細な仕返しを することにした。 * 作り話です * 少しだけ大人表現あり * 完結保証付き * 3万5千字程度

処理中です...