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卒業式

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アリア学院卒業式。

正に光陰矢の如し。年が明けてから3月までが早すぎた。

最近はマッケンジー家に居ることがだいぶ増えたが今日は実家から登校する。
何か気の利いた一言とか?改めて考えるとちょっと恥ずかしい。
でも・・・。

「お父さん!お母さん!アリアに入れてくれて有難う!家計削ってでも私のピアノや声楽に金使ってくれて。アリア学院に入って本当に良かった。生涯の伴侶と生涯の友と生涯の仕事が見つかった!」
朝食後にそう告げた。

「本当に有難う!これからは稼ぐからさ!楽しみにしててよ!」
前世で出来なかった親への感謝。
恩返し。
この言葉が言える人生が本当に有難い。

両親は改めてそんな事を言われて驚きながらも涙汲みながら
「お前は自慢の可愛い娘だ。」
と優しく抱き締めてくれた後。

「本当にマッケンジー家やノネットの皆様に御迷惑だけはかけないようにね!!」
とやはり念を押された・・。
仕方ない。私はまだこの家では反抗期と言うことになっている。

「じゃあ。行ってきます!後、たまには帰ってくるからね!」
卒業したらマッケンジー家に完全に住むと言うのは入籍した時に決めた事だ。

うちは庶民だし本来ならこんな風に行き来して住んでいる方が珍しい。
金持ちに嫁ぐって事は嬉しい反面、庶民の親は寂しい事みたいだ。

「ルナリー。行ってらっしゃい!」
両親に笑顔で見送られて外へ出る。

ルイスが今日は車か。
「おはよう。珍しいな?」
「おはよう。去年の会長のプレゼントの山を思い出してなあ。」
あー!有り得る。分散はするだろうけれど単車に乗るのはちょっと大変そうだ。

「良く思い出したなあ。本当に少しは貰いそうだもん。」
「だろ?クライスが1番貰いそうだけどなあ?」
うんうん。そう言いながら学校へ向かう。

卒業式後はやっぱりレッスンルームに集合すると決めている。最後はやっぱり1番長く過ごした場所で。
本当に王子のお陰と言うか皆の財力でほぼ3年間借りっぱなしのレッスンルーム。
お別れが寂しい。

教室へ着くと何時もの感じでクライスとカインが寄ってくる。
「姐さん。何か噂で聞いたけどクラス全員がプレゼント用意しているらしいよ?」
カインが耳元で囁いた。
「まじか。何か申し訳ないな。」
「お返し用意して無いしね。」
クライスも嬉しいけど申し訳無いと言う顔をする。

取り敢えず貰ったらお礼言おう。本当に車で来て良かった。

ホームルームが終わると卒業式が始まる。

本当に卒業するんだなあ。

学院長の挨拶を聞きながら思い出す。
やっちまったから3年。
本当にこの学院に入って良かったよ。

全然失敗じゃ無かった。
攻略対象者と言われる彼等はすっかり舎弟や親友になり、悪役令嬢は無二の親友になった。そして最初に仲良くなったエミリアも巻き込み、隠しキャラの会長も仲間になり。
1番良かったのはルイスとの出会いかな。
恋愛なんてする気無かったのに・・なあ?
こればっかりはね。

そして私達はノネット・クライムとしてこれから国内外に歌を届けようとしている。


「在校生送辞!代表、パトリック・ガードナー。」
送辞のパトリックにはお勧めの歌は仰げば尊しをプラゲ語で歌えと言っておいた。
知らない歌なら多少の下手さも誤魔化せる。
パトリックは本当に音楽の才能だけはアリアの生徒は皆上手いから中の下なんだよなあ。
頭は王子より良いのに。

仰げば尊しは予想通りウケていた。送辞は上手い。

「卒業生、答辞。代表、ジェファーソン・ボードウェン!」

いよいよ答辞だ。

ピアノ曲は戦場のメリークリスマス(メリークリスマス・ミスターローレンス)を少しアレンジした曲だ。

生徒達の憧れの様なキラキラした目が眩しい。そりゃそうだよなあ。
聞いた事無い曲と言う奴はやはりこの世界ではウケが良い。

ピアノ演奏が終わると拍手喝采が起こった。すげぇ。めっちゃウケた。

「ご清聴ありがとうございました。」
王子がお辞儀をするとまた拍手が巻き起こる。

「ううん。答辞。」
咳払いをし生徒達が静まるのを待って答辞を読み始めた。

会長が去年言った答辞の様に思い出を振り返る。

懐かしいなあ。

やっぱり王子は私達との話ばかりをしている。

「僕だけが答辞じゃダメだと思うんです。皆さんも聞きたいですよね?」
ん??

「これから僕達はこの国全土に。そして世界に羽ばたきます。ノネットの皆!折角の卒業式です!歌いますよ!!皆集合!」

うわぁー!!と会場中から拍手が巻き起こった。

「まじか。」
「ジェファーソンってさあ。こう言うの好きだよねー。」
「行こうか。呼んでるし。」
困った王子だ。

私達は手拍子と歓声に乗せられて舞台に上がる。
会長も来賓席からやって来た。

「ジェファーソン。何歌うんだよ。」
ルイスがツッコミを入れるが王子はめちゃくちゃ嬉しそう。

「仕方ない。今度のコンサート曲をやろうか?」
「卒業ソング作っといて良かったわね。」
会長とキャサリンが頷きあい。
卒業式ミニコンサート開催が急遽決定した。
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