上 下
157 / 369

京都最終日

しおりを挟む
観世さんが今日はお泊まり下さいと仰って下さったので有難く泊めて貰うことになった。


『何から何まで申し訳ございません。助かります。』

『本当にありがとうございます。』

『何かお礼したいですよね。』

私達も何かお返しがしたい。そう言うと頭をポリポリ掻きながら

『うーん?面白そうだからボードウェン国の歌でも聞かせて貰おうかな。』

と言われた。観世さんはプラゲ独自に固執する事無く能楽も新しい物を作れたら良いと常々考えているそうだ。


『観世殿は面白いであろう?ちょっと変人じゃからなあ。』

と光国さんが笑っていた。

『いや、光国殿程、周りを困らせたりして無いので。』

そう言い返され光国さんはちょっといじけていた。



晩御飯も観世流本宅で。何から何までお世話になって本当に有難い。

時代劇見てたけどこの時代の人ってやっぱり優しいんだなあ。

『本当に晩御飯まで御馳走になってすみません。』

『子供達に楽器まで教えて頂けて感謝しかありません。』

ローズさんとグレンさんが親らしい発言をしていた。

観世さんはボードウェン国の人ってやはり他の国とは違うと仰っるので思い切って聞いてみた。

『他の国交のある国ってそんなに違うんですか?』


『見たいと言って歌舞伎や能楽を見せても理解出来ないと言うし。食事は肉を食べさせろと言うし。吉宗殿が若いからと暴言吐いたり。天皇陛下に立ったまま挨拶したり。』

と光国さんの愚痴が止まらない。

『踊っている最中にお喋りしたり。お礼も無いしね。』

観世さんも苦笑いしながら言った。


『それは、一般常識の範囲ですよね。』

大司教さんも呆れている。司祭としてちょっとパルドキアとかの司教に文句言っておきます!と言っていた。

『いやいや、此方が我慢すれば良い故。プラゲは資源が余りなくてどうしても弱いのよなあ。』

光国さんと観世さんは諦め顔だ。

日本もプラゲ国も同じなんだろうなあ。もう少し発展したら輸出強くなるんだろうけどね。


散々の愚痴を一頻り聞いて私達は観世さん達に歌を歌う事にした。

「で、何が良いんでしょう?」

「クラシック?オリジナル?」

オリジナル曲って弾け過ぎかなぁ?楽器が無いよ?

「そうだピアノが無い!!」

ピアノ以外の楽器は持ってきてはいるのだが飛行船の中だ。


『観世殿、光国殿。落ち着いた曲と理解出来ないかも知れない弾けた曲とどちらがお好みですか?』

取り敢えず確認してみた。どうせなら弾けた曲と希望された。

「じゃ、oh happy dayとサマーバケーションにしましょう!」

会長が僕がメインかよ!と突っ込んでいたが披露する事にした。


oh happy day、最初は普通に聞いていた光国さんと観世さんだったがサビで目を丸くしていた。

会長の高音はやっぱり美しい。私も負けずに声を上げる。


『はー。凄い。そして天晴れ!』

『世の中の広さを知った感じです。』

うん。驚かれている。サマーバケーションはもっと弾けてますよー。


私達のダンス付きサマーバケーションアカペラバージョン。

歌い終わった後の2人共やはり驚かれていた。

『本当に井の中の蛙じゃなあ。美しい歌声じゃった!』

『曲調が早いですね。多分、早口過ぎて歌えないです。でも、とても綺麗でした!』

観世さんが満足してくれたのが嬉しい。


『こんなお返しですみません。国に帰ったら何か送りますね!』

王子がそう約束すると更に嬉しそうだった。


『ボードウェン国との国交は早く結びたいものじゃなあ。』

光国さんがしみじみと仰った。



翌日は寺巡りをしたり楽器購入を行った。

亊、龍笛、笙、小太鼓。

王子の作曲にも歌詞を考えてコンサートで披露したい。



散々お世話になった観世さんにお礼を述べる。

また是非来てください。私もボードウェン国に行きたいです。

『是非いらして下さい!そしてまた来ます!』

王子が笑顔で述べる。

『あの!助けて頂き本当に感謝します。お陰様で僕の貞操は守られました!観世殿!本当にありがとうございました!』

会長が深くお辞儀をした。観世さんは笑いながら確かに!権中納言の件は本当に助けて良かったと言って会長の肩をポンポンと叩いていた。

そして観世殿の本家を後にする。


バスに乗り駅へ向かった。

バスの中で光国さんが

『着いて行きたいが琉球には行けぬ。』

と言い出した。てっきりずっと共に旅をすると思っていたので非常に残念だ。

『琉球はのう。ちと複雑で。元々琉球国と言うプラゲ国では無かったのじゃ。』

故に言葉が複雑なので儂では通訳にならん。

光国さんも残念そうだったが確かに沖縄の方言って独特だったよなと思い出した。

『英語は通じるので主らは英語で話されよ。後、夏目が同行する。』

英語が通じるのは有難い。そして夏目さんも来てくれるのは助かる。


駅で光国さんとも別れを告げる。何かとても寂しい。

『またそのうち!さっさと国交を結ぼうぞ!』

笑顔で見送ってくれた。

また逢う日まで!!


SLの中から手を振る。


そして、大阪へ。琉球へ旅立とう。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから

gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

処理中です...