上 下
141 / 369

飛行船!今年もカインが騒ぎます。

しおりを挟む
王家御用達の飛行船は飛行場に停めてある飛行船より大きくて頑丈そうに見える。

遠くから見ても直ぐに解るなあ。と思いつつ飛行船まで頑張って歩く。女性も男性も念の為に正装を持って行くとなったので大荷物になってしまった。まだ夏だから良かった。これが冬なら更に増えた。

皆、警護人が荷物持ちをする中で警護人も付けずに全員個人で荷物を運ぶマッケンジー家と私。勿論、鍛えているのだ。

「制服は楽で良いよなあ。クソ重い。」

ローズさんがブツブツ言っている。しかし、自分で持つ根性は流石だ。


1年ぶりの飛行船!そして海外旅行!

しかもプラゲ国、ワクワクで昨日は眠りが浅かった。


乗り場には王と王妃が見送りでいらっしゃっていた。

私とルイスはお辞儀をし挨拶をする。

ルイスの両親は親しげに話をしていた。


飛行船へ乗るとクライス、会長、王子、キャサリンが既に乗っていた。

「今回は保護者同伴で御一緒ありがとうございます。」

王子はルイスの両親を席に案内する。

「気を使わないで大丈夫ですよ。」

とローズさんは余所行きの笑顔で対応している。


「今回もカインの面倒を見るのかな?」

「だろーなあ。」

席を開けておこう。


そして、大司教さん、ジョージ、エミリアと乗って来た。

カインは苦笑いを浮かべながら最後にやって来た。

「姐さん、ルイス。。今回も宜しくね。」

カインは私とルイスの間に座った。

私達よりグレンさんとローズさんに頼んだらもっと怖いよ?と思うが内緒なので言えない。

「今回は26時間程で到着予定です。長いですがゆっくり寛いで下さいね。」

王子の挨拶にカインがうげーと言う顔をしている。


さあ、出発だ!


「いーやー!!待って飛ばないで!むーりー!」

カインの叫びと共に飛行船は動き出した。

「こら!黙れ!」

「ほら!こっち見てろ!」

私とルイスがカインを睨みつける。

「だってー!揺れる揺れるって!怖いって!」

「去年も大丈夫だったろ?!アホが!」

全く困った高所恐怖症と性癖だ。


「カインさんは何時もああなんですか?」

大司教さんが会長に質問していた。会長はそうなんです。その内落ち着きますよー。と会話していた。


「無理!無理無理無理!26時間も空の上って。あーん!」

この前より激しいなあ。

「おら!騒ぐな!」

私は胸ぐらを掴んでカインを睨む。

「足りないよ。怖いよ姐さん。」

泣きそうなカインを笑いを堪えて睨む。ルイスも胸ぐらを掴んでガン飛ばす。


「カイン落ち着きましょうねー。」「煩いですよー。」

クライスとジョージが笑いながらヤジを飛ばす。

「怖いってばー!!」


「フライトが長いからですかねぇ。落ち着かないですね。」

「皆で睨みます?」

エミリアと会長も慣れたものだ。

しかし、今回は中々落ち着かないなあ。


「ルナリー、面白がってるだろ?」

ルイスに突っ込みを入れられる。実はそうなんだ。

「もっと睨んでってー!怖いってー!」


「大丈夫かい?カイン。」

すっと立ち上がりグレンさんが此方にやって来た。

あっ。来ちゃった。

グレンさんは皆に見えない様にカインに一睨み。

カインはビクっとして声が止まった。


「あぁ。落ち着いた。凄いです。」

そう言うカインにグレンさんは内緒だよっと囁いて席に戻った。


すげー。やっぱ総長だわ。


「ルイスのお父さんって凄いね。」

小声でルイスと私に言うカインに

「俺の親父だからねー。」

と言うと納得してくれた。


上空に上がると揺れも止まりプラゲ国へ向けて飛んでいく。


「ルナリー!今日はトランプ無いの?」

王子のリクエストにお答えして今回も大トランプ大会を開く事にした。


座席の後ろのスペースって居心地良いよね。

皆で座っても余裕がある。

定番のババ抜き。七並べ。

対戦ポーカー。神経衰弱。


ババ抜きはやっぱり会長が強い。皆、顔に出るんだよと笑いながら勝ち抜く。

「そんな顔に出てるかなあ。」

最後に残ったクライスと王子。出てるって。


去年より仲良し度が増した私達は何をやっても楽しい。


「くそ。パス!!」

七並べは運と如何に止められるか。

これはカインが強い。意地悪そうに止めている。

「カイン、さっきまでの狼狽が嘘の様に生き生きしてるよね。」

カインに止められているジョージとルイスが嫌味を言うが

「そう?止めてないよ?」

等とサラッと答える。もうドSモードだ。


お昼ご飯もやっぱりこのスペースで。


「本当に仲良しなのねぇ。」

ローズさんが微笑ましく此方を見ている。

「青春って感じですね!」

大司教さんも羨ましそうだ。


「お義父さん、お義母さん、大司教さんもトランプやりませんか?」

私が誘うとちょっと悩まれたが参加される事になった。

日本人、昭和生まれはトランプで遊び慣れてます。


特にグレンさんのポーカーの引きが強い。

「フルハウス!」

ぐー!ツーペア!

中々勝てない。


気付けば夕食まで遊んでいた。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから

gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...