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新学期

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新学期が始まった。
朝はランニングをしながら登校する事にした。

あれから闇討ちはされていない。割りと外には出て返り討ち準備万端なのだが。やはり管弦楽団との練習開始から闇討ちは始まるのだろう。

今、コンクール出場の書類を職員室に提出して来た。

まじで夜の女王のアリアを歌う事に決めた。予選曲も抜かり無し。先生からもそこそこ期待されている様だ。

現時点では銅から銀レベルだそーだ。
まだまだだな。


「ういーっす!」

教室でつるんでいたカインとクライスの元へ向かった。

「姐さんおはようございます!」

「新学期ですね!共演もコンクールも楽しみですね!」

何も知らないと言うのは平和なもんだ。


「まあ、今日から頑張ろーや!」


久々の授業は楽しい。気楽だよなあ。

声楽の授業で声の伸びが良くなっているなと自分でも思った。

成果出てる。


始業式の授業は午前中だけだったので午後は久しぶりにレッスンルームで皆に会える。冬休み中はルイスにも会っていない。

「姐さん、10日間くらいで声の出方が変わったね。」

レッスンルームに向かう時にカインに言われた。

「練習しまくってるからなー!」

そう言ってニヤっと笑った。

闇討ち対策も兼ねての自主トレ。走る、腹筋、背筋、腕立て伏せ。
そして特殊警棒での素振りや家の庭のデカい木を殴ってみたりと色々やっている。
拳を鍛えなきゃ!!


ガラッとレッスンルームのドアを開けると1年声楽科以外は全員集合していた。会長と目が合ったが普段通りに接する。


大丈夫だとは思っていたが家に来た会長が元気そうでホッと胸を撫で下ろす。
闇討ち野郎にあの日、会長が来た時の事がバレて無くて良かったー!


「明けましておめでとうございます。」

ルイスの耳元でボソッと呟いて隣りに座る。ルイスは笑いながら

「明けましておめでとう。やっぱ正月は日本が良いよな。」

と囁く。紅白歌合戦やレコード大賞が懐かしい。


「皆揃ったね!本年度もよろしくお願いします。」

王子が笑顔で挨拶する。私もよろしくお願いします!!と元気に挨拶した。

「さて!管弦楽団との一回目の顔合わせは土曜日に決まりました!」

明後日か。意外と早かったな。

「でも何度もは練習時間は取って貰えないんですよね。」

王子は先程、学校から貰ったという書類を見ながら

「えーとね。1月は明後日だけ。2月は月に2回。3月は前々日と前日にゲネプロですね。計5回練習かな。」

勝負は5回か。

「曲は第九です。この人数では厳しいですよー!!」
王子はブツブツ。
書類は管弦楽団の提案書なのだろう。それを見ながら王子は少し不満そうな顔をしている。

実際少人数で歌うには迫力がない。

書類に目を通しながら要点を話してくれる。

「あーでもマイク有りか!」

なるほどマイクを通してならオケには負けないか。


メインは管弦楽団、私達はゲスト。諦めて従う事にした。


「ねえ?王子!ミサコンクールには何人くらいの管弦楽団の人が聞きに来てたの?」

個人的な探りを入れてみる。

「さあ?解らないよ。聞いてないし。」

残念な回答だ。参考にならなかった。


今日は各パート毎に楽譜を確認し個人練習となった。


少し、生徒会長と話しがしたいんだが。

「会長!ここのユニゾン一緒に合わせて貰えませんか?」

手招きして会長を傍に呼ぶ。

「何処のとこ?」

横に来て楽譜を確認する会長に小声で囁く。

「果たし状が届きました。自宅がバレた。」

会長な冷静な顔は崩さず楽譜を確認する振りをしながら

「うわ!まじか。」

と小声でボソボソと言った。

「とにかく気をつけて、明後日から勝負ですよ。」

報告をして適当な箇所を一緒に合わせ会長をテノールパートに戻した。


朝と同様に帰宅はランニング。ルイスには申し訳ないが闇討ち対策だけでなくコンクールに向けてのトレーニングも兼ねて。

鉄板入りの鞄も良い負荷になって鍛えられている。


「ルイスごめんな。また明日!」

単車で帰るルイスを見送る。

「おう!頑張れよ!」

もう少し詳細が解ってから話そう。

さあ、勝負は明後日だ!

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