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会長の有難いお話②

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攻略対象者が誰かバレずに共演をしないと行けない。

それが条件なのだが『婚約指輪』と言うアイテムを身に付けるとストーカーの勝手な勘違い度が減ると言うアイテムだそうな。
でも誰から貰ったかは言えない。


「これってさあ?ルイスとキャサリンにも話して協力して貰った方が良くないっすか?」

「キャサリンが巻き込まれたら?」

それは不味いか。


「私、ストーカーくらいなら倒せる自信あるんすよね!」

プロ以外なら多分大丈夫。

「ルナリーって元ヤンだよね?」

「元ヤン?良く解らないけど。暴走族の特攻隊長が前世っす!」

そう言うと、昔のキャサリンと同じ反応をされた。

「ルイスも暴走族の親衛隊なんで強いですよ!」

更に顔が引き攣っていた。

「もう共演後でなくても2人で倒せそうだね。」

会長は苦笑いをした。私もそんな気がする!

「犯人の目星は付いてないんですか?」

「指輪無かったから全然クリア出来なかった。」

会長は後悔した様に項垂れる。

ミサコンサートに来てた国立管弦楽団の人。コンサートに来てた人?1人知ってる人居たなあ。


「エミリアの好きな人じゃないですよね?来てたんです。国立管弦楽団のフルート奏者なんです。」

それは無いよね?

「まじで?!違うとは言いきれないけど他にも来てたかもしれないしねー。でも、もしそうだったら?付き合わせる訳には行かないよね?」

それは困る。エミリアはずっとフルート奏者を好きなのに。別人である事を祈るばかりだ。


「とにかくねー。この世界、ゲームとはかなり異なるんだよ!主人公はモブと付き合っちゃうし。キャサリンは王子とくっついてるし。エミリア出て来ない。声楽科以外も歌ってるし。」

会長は愚痴りながら溜息を付く。

「だからストーカーも居ないかも知れない。でもさ。もし本当にイベント発生して仲良くなった人が死ぬって嫌だろ?だから話しに来たんだよ。」


「本当、このストーカーイベは景品が凄く良かったせいで課金色が強くて指輪も課金だし、コンティニューも課金だったし!ルナリー直ぐ死ぬし、攻略対象者も直ぐ死ぬし。クソイベ!」

会長は思い出した様にブツブツ言っているが。


ルナリー直ぐ死ぬって言ってるよね。
攻略対象者も。


「会長?大丈夫っすか?」

「あっごめん。大丈夫。このイベントクリアしてないから凄く腹立ってたのよね!アリラブマニアの私が未クリアってのがさ。」


「会長ってもしかして前世は女性?」

会長はバレた?と言う顔で頷く。

「だからルイスやキャサリンには内緒にして欲しいってのが本音かな。前世が女で今は男って扱い難いだろ?女として扱い受けたくないんだよね。仲良くしていてジェファーソンから嫌われたくないしねー。」

女として会長と話ししてても世間からは男女と見られるのか。

なるほど浮気と見なされても困るって事になるんだなあ。特にキャサリンは王子に前世の話してないし。


「前世が女性の記憶あって今世が男性って大変じゃないですか?」

そう聞くと会長は笑って言った。

「前世から男と女どっちもイける人だったので。」

ちょっとした衝撃発言だったが今世を楽しんでいるそうで良かった。


会長はお茶を1口飲んでから

「話しを戻そうか。」

そう言って腕を組み考えている。

「現実となると本当に難しいよね。」


「解った時点で締め上げる!」

まどろっこしいし。叩きのめしたら早い気がする。


「ゲームじゃないしそれも良いのかなあ?」

ストーカーって何されるんだろう。全く想像が付かない。闇討ちみたいな事なのかなあ?昔は良くされた。


「とりあえず、練習始まったら気にかけて見てみよう。危なくなったらルイスに助けを求めてくれて構わない。」

会長はそう言ってくれた。

確かに現実になってみないと解らない。本当に居るのか居ないのかも。


帰り際に会長が

「あっ!忘れてた!コンクール曲!」

「夜の女王のアリアだよ。」

突然のコンクールの話題。

「えっ?何で?」


会長はニヤっと笑った。

「1番高い課金楽譜がね'夜の女王のアリア'なんだ。」

課金楽譜って。。

「高い楽譜が勝てると思うんだよね!」

「あの。物凄く難しい曲なんすけど。」

難易度MAXかよ。


会長は言いたい事を全て話してスッキリした様に帰って行った。

私には色々と悩みが増えてしまった。

身体鍛えとくか。

腹筋と背筋に腕立て伏せもしよう。勘違い野郎を殴れるように。

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