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閑話 打ち上げ

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バートリー家で打ち上げ!

財閥の家ってのはどうしてこんなにデカいんだ?!

玄関ホール?と呼べる広さの玄関には金持ちの象徴的な大理石の床。メイド達に案内されて客間に向かう。

客間には小規模のパーティー風に料理が並べられていた。

グラスにジュースが注がれて、

「ミサコンサート成功を祝って乾杯!!」

皆の笑顔が零れる。昨日は各家庭で皆、褒められたらしい。


「両親に声楽科に移ればって言われたわ。」

キャサリンが複雑そうに言ってきた。

「確かに良いアルトの声してるもんな。」

私もピアノ科より声楽科に向いているのでは?と思う。

「あっ。キャサリン!ちょーっと話聞いてくれ!」

私はキャサリンを部屋の端に並べられた椅子まで連れていく。

昨日のルイスとのデートの事を話したかった。名前を思い出した事、死ぬ前の事。

「死亡フラグだと思う?」

「うわー。壮絶な前世だったのね。で、今の状況か。」

キャサリンも考え込んでいる。

「ゲームには主人公が死ぬ話はなかったけど?」

「でも、ルイスはゲームには居なかった。」

うん。それは私も解る。
ルイスは死ぬ時にただもう一度私と会って今度は結ばれる世界で生きたいと思ったと言っていた。


乙女ゲームの話をしたら驚いていたし攻略対象者と私が恋愛関係にならなくて良かったと安堵していた。

「じゃ気のせいかなあ。ちょっとナーバスになってただけだな!」

「多分ねー。色々思い出し過ぎたんじゃないかなあ?」

ルイス、大司教さん、私。転生者で唯一ゲームをやっているキャサリンが大丈夫と言ってくれてるから。
大丈夫かな?野生の勘はハズレたか?

「皆のとこ行こか!」

私はキャサリンの手を引いて料理へ向かう。


「料理めちゃ美味いー!」

本当に何処の家に行っても美味しい料理ばかりだ。

フレンチのフルコースにも出そうな料理がオードブルの様に並べてある。

料理を堪能しているとカインとクライスが寄ってきた、

「姐さんはこれからコンクールの練習するの?」

クライスが聞いてくる。

「もうエントリーしないと間に合わないよ?」

カインがそう言う。

「元々出る予定なかったからなあ。4月か?!」

あんまり日がないなあ。間に合うかな。

「出るべきですよ!」

生徒会長が背後から声をかける。

「来年4月に出てダメなら再来年4月。在学中にチャレンジ出来るのは2回です。卒業後すぐも出来るけど。それは進路次第。」

確かに最もな事を言われている。やるしかねーよなあ。


そろそろデザートを食べようかとする頃の事だった。

「そうそう!国立管弦楽団のコンサートにゲスト出演する事になりましたよ!」

王子が突然言い出した。

ん??国立管弦楽団ってエミリアの好きな人がいる所?

「国立管弦楽団!?」

エミリアが歓喜に満ちたような大声を上げた。

「ジェファーソン様!?もう話したんですか?」

キャサリンが驚いた声を上げた。

「勿論!昨日、楽団の方が来ていたらしくて話をしたら直ぐ決まったよ。」

話が見えないが王子の行動力には何時も驚かされる。

「国立管弦楽団と一緒の舞台。。。」

エミリアの顔が赤い。頬を抑えてオタオタしている。


「またジェファーソンは勝手に色々決めて来るよなあ。」

離れの椅子で寛いでいたルイスが呆れた顔をしている。

「僕は凄く興味あります!管弦楽団ですよ!?近くで演奏聞けるなんて感動です!!!」

ジョージは興奮している。


「それは僕も巻き込まれる感じ?」

生徒会長が驚いた様なそれでいて苦い顔をしている。

「巻き込まれる感じだろうね。」

私は笑う。


「何、歌うの?」

「あちらの要望次第ですねー。」

そこはまだ決まってないのか。私のコンクール曲も決めないとなあ。忙しくなりそうだ。


3月国立管弦楽団と共演

4月ボードウェン音楽コンクール


「何かたまには喧嘩でもして発散してぇ。」

私がボソリと呟くとカインとクライスが是非八つ当たりして下さいと言ってきた。いや、八つ当たりじゃなくてね喧嘩なのだよ。

「身体だけ鍛えとけ。全く!危ない事はするな!」

とルイスに小突かれた。

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