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第66話 激動の1日の終わりに。

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「今日はまだ時間があるので、先ほどの話も含めて、予定を立てていきたいと思います。エレナさんの冒険者登録もまだですからね。その前に全体の整理を。エレナさんも気づいたことがあったら、言ってくださいね。」

 ホワイトボードの前に立ちメモを見ながら書き込んでいく。

 氏名(名・姓):アタール・タカムーラ
 年齢:22歳(もうすぐ23歳)
 生年月日:ファガ歴610年8月16日生まれ。
 人種:人間
 性別:男性
 出身地:ジャーパン皇国(大陸名不明・位置不明 皇帝が治める国)
 言語:ファガ王国と同じ
 身分:平民
 職業:冒険者 商人
 信仰・宗教:エル教アナトス神とアーシラ神
 住所:サルハの街のスラム地区におそらく建築中。
 特技:魔法
 魔法:使える

「もう、色々話していますから、ほとんど知っていると思いますけど、これが僕のプロフィールです。使える魔法については今回省きました自分でも整理し直さないと分からないので・・・。今度エレナさんに魔法を教えるときに言いますね。一応家族扱いということで、覚えておいてください。」

 エレナはコクコクと頷いている。おそらく彼女の能力だと、すぐに覚えてしまうのだろう。人種や法制度などは、今度アート様とかサシャさんに聞けばいいな。お金のことはもういいか。魔法はまだ呪文すら決めていないものがあるからな。

 スラム地区の名称:住民でおそらく選考中
 冒険者クランの代表者をマキシマムさんとして周知:重要
 スラム地区出身奴隷の開放の打ち合わせ:重要
 エレナさんの冒険者登録;重要
 サルハの街の知り合いにエレナさんを紹介:重要
 普通の服の購入:重要

 エレナさん、自分の名前書かれると、ニマッってするよね。ほんと可愛い。

「以上は、3日後にサルハの街に行った時にする予定の事項です。」

 ニマニマコクコク状態のエレナさんからのご意見はまだないようだ。

「ここからが、今日の話の内容です。細かくなるかも知れないですし、僕が聞き逃していることがあるかも知れないので、エレナさんもよろしくお願いします。僕の予測も入れます。」

 ---結界守の村でのお仕事---
 魔力チャージの魔法石(アーティファクト):個数と状態の確認
 研究の確認:重要
 結界コントロールのアーティファクトの確認:重要
 実際の結界の状態確認:重要
 問題解決方法の起案:未定

「下の三つは、僕が必要と思ったものです。エレナさんからは何かありますか?」

 顎に人差し指をあてながら思案顔してる。

「あの、思うのですが、サシャさんや他の研究者の方々からお話をもっと聞くべきかなと思います。研究の確認でほとんどわかると思いますが、会話の中から突破口が見つかることもありますから。」

 ふむふむ。会話か・・・。そういえば異世界に来てから、地球の一生分会話している気がする。日本ではあんなに他人とかかわるのが面倒くさいと思っていたのに、エレナをはじめとして、話していて忌避感もないし、普通、いや普通以上に話せている気がするな。

「ありがとう。僕もエレナの意見に賛成です。」

 サシャさんともっと詳しく話してみる:重要
 研究者の方々からお話を聞く:重要

「だいたい以上が、明日そしてそれ以降の予定になります。服はサルハの街に行くまでは、今の服か前に着ていた服で我慢してください。それに気づいたことがあれば、いつでも言ってください。」

「はい!あと家族だったら、『エレナさん』はおかしいと思います。」

 そう来たか・・・・。『エレナちゃん』は速攻で却下され、結局『エレナ』と呼び捨てにすることになった。反対に、『アタールさん』は、家族でも女の子が呼ぶ場合はいいそうだ。『お母さんがお兄ちゃんの事をさん付けで呼んでいた。』というエビデンスを突き付けられたので、渋々了承した。

 今度はニマニマではなくて、ニコニココクコクしている。そろそろ夕食の時間なので、会議の終了を告げ、すぐ用意をはじめる。夕食はエレナさんが気に入った、ミートソーススパゲティ。食事のときのエレナさんは、ものすごく幸せそうだ。食事を終えた後は、お茶を飲みながら一服した後、順番に風呂に入り、明日は朝が早いからとエレナを追い立ててそれぞれ自分の部屋に戻った。エレナさんむくれてたけど。

 さて、僕はこのまま眠るのだはなく、遠距離の通信方法を考える。魔法でテレパシーのようなことは、盗賊さんを使った実験でも出来なかったので、ここは地球のテクノロジーを利用することにした。

 書斎でネット検索して、PBXとか無線機とか、色々調べたけれどなかなかいい案が浮かばない。最初は僕と同じ方式のスマホも考えたけど、さすがにネットとか使われるとまずいし、たとえ制限をかけても、おそらく多機能すぎて混乱するだろうから、なるべく単純なものをと考えている。

 お、そしてついに見つけた。VoIPの親機(ベースステーション)と子機のコードレスIP電話機での運用。持ち運べるブラックボックス化した小箱に小型無線アクセスポイントを仕込んでLANケーブルやACアダプタは空間接続する。あとは無線LANをコードレスIP電話機が拾えば、内線通話が可能だし、充電はマイクロUSBだから、ブラックボックスからチロっと口を出させればいい。これで待ち受け時間もあまり気にしないで済む。

 ネットで在庫を調べ、スエット上下にサンダルといういで立ちで、すぐに電気街へ。子機はとりあえずスペアも考えて6台ほど買っておく。複製で済むかもしれないけれど、MACアドレスとか書き換えできないと重複してトラブったらまずいし。アクセスポイントも超小型のが売っていたので、これも6台購入。ブラックボックスになる箱は、アクセスポイントがいい感じに収まる、厚さ2cmくらいの名刺ケースサイズものが100均に売っていたので、これは1個買って後で複製しよう。はっ、魔法で変形させることができるかも試そう。

 書斎に戻って、取説を見ながら設定を終え、内線通話の作動を確認。完璧かもしれない。あとは、ブラックボックスの中に小さく加工した銀色魔力魔石を仕込み、自宅の仕事部屋のから書斎に引き直したLANケーブルの先に、ハブを設置した後に、それぞれのアクセスポイントに空間接続で電源とLANケーブルを接続。充電用のUSB端子は小型アクセスポイントについているので、ブラックボックスの中で取りまわす。出来上がった6個のブラックボックスには、それぞれ設定した内線番号を油性マーカーで書いておく。ダサイ。

 あとは、各子機を再度それぞれのブラックボックスのアクセスポイントに接続させて、設定終了。かなりの作業と試行錯誤をしたので、だいぶ時間がたったけど、ここ数日で最も満足度が高い作業だった気がする。ちなみに僕の革鞄のアクセスポイントも、撤去した後に空間接続も解除して、このブラックボックスに替えた。だって、鞄の蓋に穴が開いていているから、所持品チェックとかされるとまずいでしょ。どこで誰がするのか知らないけれど、僕は慎重派なのだ。

 最後にVoIPの親機を設定して、僕の内線01以外は、外線につながらないようにする。これでどこに居ても、内線通話でお互いに連絡が取りあえるから、明日以降の仕事?で活躍するだろうし、なんと地球に居ても異世界と通信が可能だ。僕の端末だけは、スマホにVoIPアプリを入れて使う。しかし異世界に居ながら、こんな作業しているのはちょっと趣に欠けるよね・・・。さて、今日はシステムチェックと【エルフ村】は閲覧だけにしておく。

 ・・・アタールでの投稿がさらに凄いことになっている・・・。例の服の異世界っぽいクオリティにみんな食いついている。後はやはり、メイド服風の給仕のお姉さんには凄まじいビュー数とコメントが付いている。

 > Она так хотела быть красоткой.(かわいい女の子になりたかった)

 とだけ書き込んで、床についた。
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