王道じゃなくて悪かったな

BL小説大賞エントリー記念 小話置き場

2. 【side 慎也】 ※この先お兄ちゃん編は続きません※

　やっと見つけたぞ、響也。まったく、お兄ちゃんの前から姿を消すなんて悪い子だな。でも俺は優しいから許してやるよ。この学校にいることを調べるのも簡単じゃなかったが、奏ちゃんがぜぇんぶ教えてくれたよ。ちょこっと揺らしただけですぐ吐くんだから、薄情な子だよなぁ。

　響也、お前は俺たちから逃げられない。おとなしく俺たちに可愛がられてたら、親父とお袋に愛想をつかされることも無かったのに。

　どこの虫けらともとれない男どものケツばっか掘りまわして、挙句勘当？勘弁してくれ。おかげで両親まで再教育する羽目になったじゃねぇか。


「きょーぉーや。ダメだろ？お兄ちゃんの授業サボったりなんかしたら。お仕置き、しちゃうぞ？」

「...ごめ、にいさ...っ！」

「ははっ、分かればいいんだよ。さ、おいで。特別補修だ。ああ、それと。この実習期間が終わったらお前も俺と一緒に実家に帰るぞ。高校はもう行かなくてもいい。な？俺の言うことで間違ったことはあるか？無いよな？なら、俺に従え。」

「...はい。」


　ははっ、素直な響也は可愛いなぁ...

　そう、こうでなくちゃ。響也は俺のそばにいるべきだ。それが正しい。俺が響也の生き方を決めて、俺が響也の道しるべにならなくちゃ。そうしないと、響也が迷子になっちまうからな。

　響也、もう大丈夫だ。俺がいればお前は幸せになれる。俺ならお前を幸せにしてやれるんだ。だからな、響也は他の奴に目を向けたらダメなんだよ。







　響也、アイシテル_________









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「なんだ、夢か... すっげぇリアルだったな...」

「おはよう響也。どんな夢だったんだ？お兄ちゃんに教えてみろ。」






　その日の朝、寮全体に悲痛な叫びが響き渡った。