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本編

11. 最終話

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 あれから10年の時が経ちました。

 ベック様は5年前に皇位を継がれ、私たち二人の間には2人の皇子が産まれました。

 第一皇子であるレイズはもうすぐ8歳となり、性格はベック様に似て聡明な子に育っております。

 第二皇子のヴィクトルは先日7歳になりまして、誰の影響か分かりませんが、立派な脳筋になりつつありますわ。

 あら子供たちの歳が一緒?年子なのですよ。ヴィクトルは予定日よりも10日早く産まれまして、レイズよりも誕生日が早いのです。

 ちなみにレイズの誕生日は三日後ですわ。

 ここ一週間はレイズのバースデーパーティーのために、宮殿中の使用人が慌ただしくしております。

 もちろん、私とベック様もヴィクトルと一緒にプレゼントを買いに行きましたわ。

 ヴィクトルは脳筋ですが、お金の使い方など常識的なことは直ぐに覚えるので、小遣いを渡すと自分でものを選んで来ましたわ。

 ちゃんとラッピングまでされていたのには驚きでした。


「母様ー!母様はどこですかー?」

「あら、レイズ。母はここですよ。」

「母様!こちらにいらしたのですね。今日は母様が以前行かれたベルべ村についてお話し頂くお約束でした。お忙しいですか?」

「いいえ、レイズのためなら母はどんなに短い時間でも捻出してみせますよ。
 ベルべ村の話をする約束、しかと覚えていたのですが、時間を気にせずここに居たようなの。母を許して?」

「母様らしいですね!さあ、行きましょう。お手をどうぞ。」

「おや、いくら息子でもレイチェルの手を握らせる訳には行かんよ。レイチェルのエスコートは私がいたそう。」

「まあ、ベック様。執務はよろしいのですか?」

「ああ、区切りが着いたのでな。抜け出してきた。さて、目的地はサロンで良いか?」

「父上!!僕がエスコートしようと思ったのに!ずるいです!いつも父上じゃないですか!」

「何を憤っておる。当然であろう。レイチェルは私の妻だ。レイズの母である以前にな。だからレイチェルのエスコートは夫である私がする。それ以外にレイチェルに触れて良いのは使用人だけだ。身支度の時にな。」


 あらあら、また始まりましたわ。最近聡明に育ったレイズが、どんどんベック様のような執着心の塊になりつつありますの。

 ああ、そのデレは他の子に向けてくれないかしら…

 さて、ベルディバ皇国の宮殿は今日も平和ですわ。

 皆様、短いお話にお付き合い頂きありがとうございました。

 これからも家族全員で幸せを噛み締めていこうと思います。

 え、ヒロイン?さあ、事故死したと聞きましたわ。

 ええ、あくまで事故死・・・ですわ。

 私その辺は存じ上げませんの。

 さあ、この物語も今日限りで完結です。

 またどこかで皆様にお逢い出来ることを、祈っておりますわ。



  ごきげんよう。



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