5 / 13
宿泊研修がやってくるそうですよ!?
しおりを挟む
帰宅した僕は自室に戻り速攻でベッドに倒れこんだ。
認めたくない、が事実なのだから認めなくちゃいけないだろう。僕は小夜曲との会話を楽しんでいた、これは間違いない。
「はぁ……」
なにをやってるんだ僕は。
あの子が本当に僕に恩義を感じてて、僕と会話してて本当に楽しいと感じているのなら、なおさら彼女は離れなくちゃいけない。
でも僕から突き放す理由もない。
「どうすりゃいいんだよ……」
そのままベッドで数十分間悩んだが、一向に答えは出てこず、次第に僕の意識は落ちていくのだった……。
「宿泊研修どうする!?」
「……は?」
入学式から二週間くらい経った頃の昼休み。僕は小夜曲からそんな設問を受けていた。
「どうするもなにも……行くわけがないだろ」
「なんでぇ!?」
めっちゃ驚かれる。僕はお前のその反応に驚いたけどな。
「なんでって、宿泊研修ってアレだろ? クラスメイトの親睦を深めようだとか、あとは集団練習とかするんだろ? サボるに決まってるだろ」
「なんで! 親睦深めようよ!」
「やだよめんどくさい」
「えぇ~」
凄い残念そうな顔をする小夜曲。こいつは誰とでも仲良く出来そうなトーク力を持っているのだから僕じゃなくて他の奴のとこに行けばいいのに……。
と考えて思い出す。そうだった、こいつは僕に恩があって近づいているんだ。恩があるなら他の誰かで代用は出来ないんだろうけど、僕の近くにいるよりかは有意義だと思うんだけどな。
「にしてもなんで突然宿泊研修について聞いて来るんだ? なんか言ってたっけ」
「誠そういえば寝てたねさっきの時間」
「まぁな」
「威張れるところじゃないんだけどね」
はぁ、とユキはため息を吐く。
「どうした、生理か」
「そういうことを女の子に聞くもんじゃないよ」
「お前羽付き? 羽無し?」
「デリカシー……というかなんでそんな詳しいの」
めっちゃ引かれた。男なら知って当然の知識だと思うんだけどなぁ……僕がおかしいのかな。
「さっきの時間宿泊研修についての説明があったんだよ。行くのは来週らしいよ」
「ふーん、いってらっしゃい」
「行こ」
「え、やだよ何言ってんの?」
「なんでそんな当たり前のように言ってるの? 全然当たり前じゃないからねそれ!」
僕にとっては当たり前だ。
「先生たちが言うには旅館みたいなの借りて、そこで集団練習だったり、山に行って歩いたりするらしいよ」
「僕山嫌いなんだよ」
「毎日山を通ってあの桜を見に行ってる誠がよくそんな嘘言えるね」
「あれ山じゃないから」
「屁理屈って知ってる?」
「……まぁ、お前がそんなに僕を行かせたいのかは知らないけど、僕は行かないよ。これ以上お前みたいに話しかけてくる奴は作りたくないんでな」
「なんでそんなに友達を作りたくないんだろうねぇ……」
ペットボトルのお茶を含みながら小夜曲はそう言った。
「めんどいから、あと単純に一人が好きだから」
「ほんとぼっち」
「なんとでも言え、僕はなんとしてでもサボる。それに何泊するのかは知らないけど、それだけの間あの桜が見れないんだろ? せっかくの春なんだ、僕は宿泊研修よりもあの桜を優先するよ」
「サボるんですか?」
「……え?」
「……およよ?」
そんな時、小夜曲じゃない声が聞こえ、そして僕はそちらに振り向くのだった。
認めたくない、が事実なのだから認めなくちゃいけないだろう。僕は小夜曲との会話を楽しんでいた、これは間違いない。
「はぁ……」
なにをやってるんだ僕は。
あの子が本当に僕に恩義を感じてて、僕と会話してて本当に楽しいと感じているのなら、なおさら彼女は離れなくちゃいけない。
でも僕から突き放す理由もない。
「どうすりゃいいんだよ……」
そのままベッドで数十分間悩んだが、一向に答えは出てこず、次第に僕の意識は落ちていくのだった……。
「宿泊研修どうする!?」
「……は?」
入学式から二週間くらい経った頃の昼休み。僕は小夜曲からそんな設問を受けていた。
「どうするもなにも……行くわけがないだろ」
「なんでぇ!?」
めっちゃ驚かれる。僕はお前のその反応に驚いたけどな。
「なんでって、宿泊研修ってアレだろ? クラスメイトの親睦を深めようだとか、あとは集団練習とかするんだろ? サボるに決まってるだろ」
「なんで! 親睦深めようよ!」
「やだよめんどくさい」
「えぇ~」
凄い残念そうな顔をする小夜曲。こいつは誰とでも仲良く出来そうなトーク力を持っているのだから僕じゃなくて他の奴のとこに行けばいいのに……。
と考えて思い出す。そうだった、こいつは僕に恩があって近づいているんだ。恩があるなら他の誰かで代用は出来ないんだろうけど、僕の近くにいるよりかは有意義だと思うんだけどな。
「にしてもなんで突然宿泊研修について聞いて来るんだ? なんか言ってたっけ」
「誠そういえば寝てたねさっきの時間」
「まぁな」
「威張れるところじゃないんだけどね」
はぁ、とユキはため息を吐く。
「どうした、生理か」
「そういうことを女の子に聞くもんじゃないよ」
「お前羽付き? 羽無し?」
「デリカシー……というかなんでそんな詳しいの」
めっちゃ引かれた。男なら知って当然の知識だと思うんだけどなぁ……僕がおかしいのかな。
「さっきの時間宿泊研修についての説明があったんだよ。行くのは来週らしいよ」
「ふーん、いってらっしゃい」
「行こ」
「え、やだよ何言ってんの?」
「なんでそんな当たり前のように言ってるの? 全然当たり前じゃないからねそれ!」
僕にとっては当たり前だ。
「先生たちが言うには旅館みたいなの借りて、そこで集団練習だったり、山に行って歩いたりするらしいよ」
「僕山嫌いなんだよ」
「毎日山を通ってあの桜を見に行ってる誠がよくそんな嘘言えるね」
「あれ山じゃないから」
「屁理屈って知ってる?」
「……まぁ、お前がそんなに僕を行かせたいのかは知らないけど、僕は行かないよ。これ以上お前みたいに話しかけてくる奴は作りたくないんでな」
「なんでそんなに友達を作りたくないんだろうねぇ……」
ペットボトルのお茶を含みながら小夜曲はそう言った。
「めんどいから、あと単純に一人が好きだから」
「ほんとぼっち」
「なんとでも言え、僕はなんとしてでもサボる。それに何泊するのかは知らないけど、それだけの間あの桜が見れないんだろ? せっかくの春なんだ、僕は宿泊研修よりもあの桜を優先するよ」
「サボるんですか?」
「……え?」
「……およよ?」
そんな時、小夜曲じゃない声が聞こえ、そして僕はそちらに振り向くのだった。
0
お気に入りに追加
1,389
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる