キヨノさん

Kyrie

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第41話 異変(1)

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三条院が自分の変化に気がついたのはあの騒動から少ししてからだった。よくよく注意深く自分を観察していたところ、大きな動きがあったのは梅雨明けの頃。
梅雨前線は最後の力を見せつけるように連日大雨を降らせた。
外出もしない週末をキヨノと過ごした三条院はいつものように寝室のベッドにキヨノと横になった。

蒸し暑いがキヨノは寝つきがいいようで、「おやすみなさい」の言葉のあと、すぐにすよすよという寝息が聞こえ始めた。

これはまた……

三条院は暗闇の中、カッと目を見開いていた。
変化、というのはキヨノが自慰をすると特有の匂いを嗅ぎ分けてしまうことである。それだけならまだしも下腹のあたりに怖ろしい熱が籠り、そして渦を巻きぐるぐるとする。しかしそれはしばらくすると治まった。
なので三条院はそこまで気にも留めず、自分がどれほどキヨノを欲しているのかに苦笑するにとどまっていた。


この夜もそれくらいのことだろうと思っていた。
キヨノが自慰をしたのは金曜日の夜のようだった。その夜、三条院は宰相に声をかけられ、仕事帰りに黒須や白洲と共に料亭に行った。
キヨノは屋敷の仕事の中でも「飯くらいは炊けるようになりたい」と厨房で川崎の手伝いをしたがるようになっていた。それを三条院は認め、キヨノは嬉々として川崎の弟子のようだった。
しなやかな若木のようなキヨノは川崎からたくさんのものをぐんぐんを学んでいった。とはいえ、経験不足のため至らないこと多かった。それでもキヨノは充実していた。
その変化は身体にも現れた。身長は二寸伸びた。肉づきもよくなり、いつも機嫌よく過ごしていた。
それに伴い、身体の欲も以前よりかは溜まるようになっていた。

三条院が自慰の手伝いをしたのは二回。それ以降はキヨノがおそるおそる試しているようだった。そのことに三条院が気づいたことはキヨノは知らない。




ほろ酔いで夜中近くに帰宅した三条院は寝仕度をし、キヨノが眠るベッドに入ろうとして闇の中でにやりと笑った。

今宵もいたしたのですね。

大体は一晩でその匂いはなくなるのだが、翌日の土曜日になっても、次の日曜日になってもキヨノから匂いは消えることはなかった。

土日の多くの時間をキヨノと一緒に過ごした三条院だったが、昼間は屋敷の者もいて自分の欲を抑えることは難しくはなかった。

しかしどういうことだろう。今夜は違った。
先ほどから風も出てきて、雨は叩きつけるように降っている。そして雷が大きくとどろいた。

近いな。

次第に光と音の間隔が短くなり雷が近くに来ていると感じたときだった。
轟音と共に稲光が空を割いた。




気がつくと三条院はキヨノの寝間着の合わせを左右に開いていた。そして首筋に唇を当て、ぎゅっと吸い付く。

「……なりあきさま…?」

あの雷の中でもすやすやと寝ていたキヨノは首の違和感に薄く目を覚ました。
三条院が自分に覆いかぶさり首を吸っている。

「なりあきさま?!」

何事かと思い、キヨノは驚きの声を上げた。

「あああああっ!いたっ!!」

三条院がキヨノの首に噛みついた。

「なりあきさま、なに、どうして」

手足をばたつかせてキヨノは暴れてみた。しかし三条院はびくともしなかった。
キヨノを抑えつけ、腰紐を引き抜いた。
そして露わになったキヨノの身体に唇を滑らせる。

「あ?なに?」

怯えた声をキヨノが上げるが、三条院は構わず薄く色づいた乳首を舐め、歯を立てた。

「なんで?どうして?」

「どうして?」

三条院がキヨノの胸から顔を上げた。

「私たちは夫婦めおとなのですよ。夫婦の証ではありませんか」

「あかし…?」

キヨノの問いかけには答えず、三条院は自分の指をくわえ唾液で濡らした。そして緩く締めているキヨノの褌の隙間に指を入れるとキヨノのほぞ穴の縁をぐるりとなぜた。
驚いたキヨノが身体をこわばらせた。三条院はおとなしくなったキヨノの口を吸った。これまでにないような熱さで口の中を犯していく。
そうしながら指はほぞ穴に沈められていく。

「うーーーっ!ううっ!うううーー!」

唇を塞がれたまま、キヨノが叫ぶ。三条院は構わず指を進める。
キヨノがばたばたと足を動かす。三条院はキヨノにのしかかり動きを止める。



気がつけばキヨノは寝間着も褌も取り払われ、裸体でベッドの上にいた。
首も肩も歯を立てられた。
なでられ、あらぬところをこすられ、そして指は深部に沈み、それから出し入れされる。

「やだやだっ!やめて!」

「キヨノさんは私のことを好きなのでしょう?」

「でも」

「好きな者同士はこうやってお互いの好意を確かめるのです。不思議なことはない」

「痛いっ。やめっ」

「そのうち気持ちよくなりますよ。ほら、キヨノさんのほぞは先からぬるぬると液をこぼしている。気持ちいい印です」

「違います」

「じゃあ、ご自分でさわってみますか?」

「あっ。くっ。や、いたっ」

三条院は前をさすり上げながら、ほぞ穴の指も前後させる。そうしながらも臍や腰を舐めたり吸ったり噛んだりした。

「ほら、私のほぞも確かめてください」

三条院は前をさわっていた手を離し、キヨノの手首をつかむと自分の寝間着の前を開き下着をずらして自分のほぞを握らせた。

「ひゃ」

「キヨノさんの手は気持ちいいですね。ほらもっと動かして」

「いやです」

「相手が気持ちよくなることをするのですよ。キヨノさんも気持ちいいでしょう?」

「全然!やめてくだ…ああうっ!」

またもや大きな雷鳴がとどろいた。




キヨノの手首足首に三条院が握った手の痕がつき、身体中が噛み傷と小さな内出血の痕で埋め尽くされた頃。

「いやあああああああああっ!!!」

キヨノの闇をつんざく声が響いた。しかしそれは雷の轟音で誰の耳にも届かなかった。
一糸まとわぬ姿の三条院がうつ伏せにしたキヨノの腰を持ち上げ、そして前後に腰を振っていた。キヨノの内腿を赤い液体が流れ、落ちる。

「いやああっ、いやっ、いやああああああっ」







***
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