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番外編 騎士が花嫁こぼれ話
44. 内側のやわらかなところ
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肌を重ねた翌日、インティアは自分の身体のどこかに赤い痕を残すようにクラディウスにねだるのが常となった。
インティアが「今日はここ」と心臓の上や臍の横を指差すと、クラディウスはそこに淡い痕をつける。
しかし、インティアが場所を指定せず「クラディウスの好きなところ」と言うと、決まって左右どちらかの二の腕の内側のやわらかなところに薄紅色の痕を残すのだった。
今朝も前夜の甘く濃厚な時間の余韻の中、「ねぇディー、つけて」と可愛くせがむとクラディウスはインティアの右の二の腕の内側にキスマークをそっとつけた。
インティアは寝転んだまま右腕を上げ、つけられたばかりの痕を見て嬉しそうにしながら言った。
「ディーはここにつけるの、好きだね」
「ん?」
豊かな黄金の髪をかき上げてクラディウスはインティアを腕の中に収めながら、うっとりと痕をなでている恋人を見た。
「俺の希望とティアの希望を考えると、そこしかない」
「うん?」
「俺は痕を残したくはない。
だからできるだけ目立たないところにつけたい。
たとえば、ほら、こういうところ」
クラディウスの手がインティアの太腿に触れ、するりと内側に滑り込んできた。
「ひゃ」
やわやわと揉むようにいらやしいく内腿で手が蠢くと、昨夜の名残の欲情がふわりとインティアの下腹部を刺激した。
「あ、ちょっ、んっ」
「しかし、俺の可愛い恋人はおそらくつけられた痕を眺めてにやにやするのが好きなんだ」
「んぁ、この手、もうやめ…て。
それに、にやにやなんてしてな…いし」
クラディウスは最後にインティアの少し持ち上がったペニスを派手になで上げて、そこから手を離した。
「となると、ここが一番いいところだ、と俺は思っているんだが。
ティアは気に入らないか?」
「そうじゃないけど…」
インティアは少し上がってしまった息を整えながら、クラディウスを見た。
クラディウスは首を傾げ、続きの言葉を待っている。
「どうしてかなぁ、と思っただけ。
不満なら、もっと別のこと」
「おまえの望むようにしていると思っていたが、まだ不満があったのか、ティア」
「むー、だって」
「なんだ、言ってみろ」
「もっとしっかり赤いのがいい」
「それはだめだ」
即答したクラディウスはインティアを囲うようにぎゅうっと抱きしめた。
「どうして?」
少し苦しくなりながらもインティアはクラディウスにしがみつき、聞いた。
「あまりひどくすると青紫に変色するだろう?
ティアにそんな痕をつけるなんて、俺はしたくない」
内出血の一つなので、痛々しげな青紫になってしまった痕のことも知っているインティアはなんとなく納得してしまった。
馬の世話を始めたインティアが打ち身の青あざをつけてくることが増え、それをクラディウスは快く思っていなかった。
自分も馬の世話をするので、あざができてしまうのは仕方ない、とクラディウスはわかってはいるが、インティアの手足に青あざを見つけるとひどく悲しい顔をする。
「それに青い印ならここにあるだろう」
クラディウスはインティアの両耳に咲く青い薔薇に優しく唇を寄せた。
「うん、そうだね」
インティアもクラディウスの耳にしたたる青い滴に目をやった。
「だから薄い色で我慢してくれ」
「ん」
クラディウスはインティアの右手首を取ると高く上げ、露わになった二の腕の赤い痕に小さくキスをすると、また二人の隙間をなくすようにきゅっと恋人を抱きしめた。
「今日は二人とも休みだ。
もう少し眠ろう」
インティアはクラディウスの胸に顔を埋め、微かに香る百合の匂いを感じながら目を閉じた。
インティアが「今日はここ」と心臓の上や臍の横を指差すと、クラディウスはそこに淡い痕をつける。
しかし、インティアが場所を指定せず「クラディウスの好きなところ」と言うと、決まって左右どちらかの二の腕の内側のやわらかなところに薄紅色の痕を残すのだった。
今朝も前夜の甘く濃厚な時間の余韻の中、「ねぇディー、つけて」と可愛くせがむとクラディウスはインティアの右の二の腕の内側にキスマークをそっとつけた。
インティアは寝転んだまま右腕を上げ、つけられたばかりの痕を見て嬉しそうにしながら言った。
「ディーはここにつけるの、好きだね」
「ん?」
豊かな黄金の髪をかき上げてクラディウスはインティアを腕の中に収めながら、うっとりと痕をなでている恋人を見た。
「俺の希望とティアの希望を考えると、そこしかない」
「うん?」
「俺は痕を残したくはない。
だからできるだけ目立たないところにつけたい。
たとえば、ほら、こういうところ」
クラディウスの手がインティアの太腿に触れ、するりと内側に滑り込んできた。
「ひゃ」
やわやわと揉むようにいらやしいく内腿で手が蠢くと、昨夜の名残の欲情がふわりとインティアの下腹部を刺激した。
「あ、ちょっ、んっ」
「しかし、俺の可愛い恋人はおそらくつけられた痕を眺めてにやにやするのが好きなんだ」
「んぁ、この手、もうやめ…て。
それに、にやにやなんてしてな…いし」
クラディウスは最後にインティアの少し持ち上がったペニスを派手になで上げて、そこから手を離した。
「となると、ここが一番いいところだ、と俺は思っているんだが。
ティアは気に入らないか?」
「そうじゃないけど…」
インティアは少し上がってしまった息を整えながら、クラディウスを見た。
クラディウスは首を傾げ、続きの言葉を待っている。
「どうしてかなぁ、と思っただけ。
不満なら、もっと別のこと」
「おまえの望むようにしていると思っていたが、まだ不満があったのか、ティア」
「むー、だって」
「なんだ、言ってみろ」
「もっとしっかり赤いのがいい」
「それはだめだ」
即答したクラディウスはインティアを囲うようにぎゅうっと抱きしめた。
「どうして?」
少し苦しくなりながらもインティアはクラディウスにしがみつき、聞いた。
「あまりひどくすると青紫に変色するだろう?
ティアにそんな痕をつけるなんて、俺はしたくない」
内出血の一つなので、痛々しげな青紫になってしまった痕のことも知っているインティアはなんとなく納得してしまった。
馬の世話を始めたインティアが打ち身の青あざをつけてくることが増え、それをクラディウスは快く思っていなかった。
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「それに青い印ならここにあるだろう」
クラディウスはインティアの両耳に咲く青い薔薇に優しく唇を寄せた。
「うん、そうだね」
インティアもクラディウスの耳にしたたる青い滴に目をやった。
「だから薄い色で我慢してくれ」
「ん」
クラディウスはインティアの右手首を取ると高く上げ、露わになった二の腕の赤い痕に小さくキスをすると、また二人の隙間をなくすようにきゅっと恋人を抱きしめた。
「今日は二人とも休みだ。
もう少し眠ろう」
インティアはクラディウスの胸に顔を埋め、微かに香る百合の匂いを感じながら目を閉じた。
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