153 / 211
騎士が花嫁 かけら(6)
しおりを挟む
わからないことがあったら、まずは聞く。
これ、鉄則ね。
俺、男同士のつき合い方って、あんまり知らなかった。
ジュリアス様のことも先輩とか友達とかと一緒に暮らすだけだから気軽でいいや、と思ってた。
でも、俺たちは夫婦で、ちょっとなにか違うみたい。
いろいろすっ飛ばした感もあるけれど、これからどうしたらいいのかわからないから、まずは聞いてみることにした。
聞く相手はアイーニュさん。
今、ザクア伯爵様の庭を整えてる庭師の弟子で、センスのよさからお師匠さんにも目をかけられている。
20代半ばで、比較的俺とも歳が近い。
思い立ったら決行!
昼休み、俺はアイーニュさんのそばに行った。
「アイーニュさん、お聞きしたいことがあります。いいでしょうか?」
「ん?なに?」
アイーニュさんは日陰に寝そべって言った。
午前中もハードだったし、多くの人が休憩時間には横になっている。
じゃないと、午後が持たないし。
「あの、アイーニュさんって恋人は男の人ですよね。男の人とつき合う、ってどんな感じですか?」
アイーニュさんは「お?」というふうに右の眉を上げて、こっちを見た。
ここ、メリニャ王国では性に関しては結構緩やかで、ピニャータ王様の後宮には美しい男女がわんさか召されているし、同性の恋人も珍しくないし結婚もできる。
「あん?そうか、リノのところも男同士か。
どう、って言われてもフツーだよ。
結婚してるわけじゃないから、時間があるときに相手の家に行ったり、一緒に出かけたり、飯食ったり、夜ヤることヤったり」
「はあ…」
「リノのとこはどうなのよ?
うまくいってんの?」
「それがよくわからなくて」
「まぁ、もともとリノは男好きじゃないからな。
夜、どうしてるの?」
「夜?」
「そうだよ。ヤってないの?」
あ…う?
それって、それって、それって、アレ?
上目づかいでアイーニュさんをちらっと見る。
ぎゃああああああっ!
俺とジュリアス様が?
その、夜の営み、ってヤツをですね?
やってるか、ってことですよね?
そんなの想像できない!
「ちょっと、リノ、頭爆発してるけど大丈夫?
真っ赤になっちゃって。
刺激強かったかな。
あ、もしかして、リノ、童貞?」
「いえ、それは違います!」
あ、うん。
俺、もうそこは済ませてある。
っていうか、このあたりでは男が15歳になったら年上の男に花街の近くに連れていかれて、その道に長けている女性と経験することになっている。
恋愛対象が男の場合は男性とね。
アイーニュさんはちょっと困った顔をした。
「なぁ、リノはオクサンとどうしたいの?
俺たちはカラダから始まった恋愛だからまずは抱きたい抱かれたい、っていうのがあったけど、リノは違うじゃん。
この分じゃ、ロクに恋愛してないだろ?
一足飛びに結婚じゃん」
うっ。
片思いのような淡い初恋はあったけど、女の子とつき合ったことがないのも確かだ。
「俺がしたいのは、そうだな、ジュリアス様のことをよく知らないから知りたい、かな」
「ふーん。それなら男同士がどうとかじゃなくて、よく知って好きになれるかどうかじゃないの?
気持ちが伴わない結婚もあるというけど、一緒に暮らしていくんだぜ。
やっぱりある程度は好きじゃなくちゃ。
俺とアイツが結婚に踏み切れないのは、そこがちょっと恐くて」
「そっかぁ」
「デートしてみたら?」
「デート?」
「一緒に出かけると楽しいし、相手の意外な面が見られて俺は好きだよ」
アイーニュさんと恋人の男の人ははたまに街で見かける。
大体、その時は手をつないでいる。
「ジュリアス様が外に出たら、どうなっちゃうんだろ…」
あのからかいと好奇の視線と。
それに、足枷…
「あの人、騎士様なんだろ?
俺たちより自分の身は守れるんじゃないの?
それより、出たいかどうか聞いてみたら?
出たくないのならいいけど、ずっと家の中って退屈だぜ」
「そうですね!聞いてみます。ありがとうございます」
そうか。
俺、ジュリアス様といろいろしゃべってないだけじゃなくて、ジュリアス様がどうしたいのかも聞いていなかった。
俺が勝手に想像して、勝手にジュリアス様の気持ちを決めつけていたかもしれない。
喜んでいただきたい、と思うけど、それがジュリアス様の気持ちの沿ったものかどうか、わからないもんね。
アイーニュさんは頭の後ろで手を組み、軽く目を閉じて束の間の昼寝をする体勢になっていた。
が、
「カラダもほしいけど、やっぱり相手のことが好きじゃないと抱いたり抱かれたりできないんじゃないの?」
とひとりごとのようにつぶやいた。
そ、それは。
そのことは…、また次だ。
手をつないだのが1回で、どさくさに紛れてぎゅっと抱きしめたが1回で、ヌかれたのが1か…
わあああああああああああああああああっ!
俺、昼間っからなにを思い出してるんだっ!
「少し横になって休んどかないと、昼からがもたないぞ」
アイーニュさんが声をかけてくれたので、俺も日陰で横になったけどどきどきの心臓のせいで全然休憩にならなかった。
20160920
これ、鉄則ね。
俺、男同士のつき合い方って、あんまり知らなかった。
ジュリアス様のことも先輩とか友達とかと一緒に暮らすだけだから気軽でいいや、と思ってた。
でも、俺たちは夫婦で、ちょっとなにか違うみたい。
いろいろすっ飛ばした感もあるけれど、これからどうしたらいいのかわからないから、まずは聞いてみることにした。
聞く相手はアイーニュさん。
今、ザクア伯爵様の庭を整えてる庭師の弟子で、センスのよさからお師匠さんにも目をかけられている。
20代半ばで、比較的俺とも歳が近い。
思い立ったら決行!
昼休み、俺はアイーニュさんのそばに行った。
「アイーニュさん、お聞きしたいことがあります。いいでしょうか?」
「ん?なに?」
アイーニュさんは日陰に寝そべって言った。
午前中もハードだったし、多くの人が休憩時間には横になっている。
じゃないと、午後が持たないし。
「あの、アイーニュさんって恋人は男の人ですよね。男の人とつき合う、ってどんな感じですか?」
アイーニュさんは「お?」というふうに右の眉を上げて、こっちを見た。
ここ、メリニャ王国では性に関しては結構緩やかで、ピニャータ王様の後宮には美しい男女がわんさか召されているし、同性の恋人も珍しくないし結婚もできる。
「あん?そうか、リノのところも男同士か。
どう、って言われてもフツーだよ。
結婚してるわけじゃないから、時間があるときに相手の家に行ったり、一緒に出かけたり、飯食ったり、夜ヤることヤったり」
「はあ…」
「リノのとこはどうなのよ?
うまくいってんの?」
「それがよくわからなくて」
「まぁ、もともとリノは男好きじゃないからな。
夜、どうしてるの?」
「夜?」
「そうだよ。ヤってないの?」
あ…う?
それって、それって、それって、アレ?
上目づかいでアイーニュさんをちらっと見る。
ぎゃああああああっ!
俺とジュリアス様が?
その、夜の営み、ってヤツをですね?
やってるか、ってことですよね?
そんなの想像できない!
「ちょっと、リノ、頭爆発してるけど大丈夫?
真っ赤になっちゃって。
刺激強かったかな。
あ、もしかして、リノ、童貞?」
「いえ、それは違います!」
あ、うん。
俺、もうそこは済ませてある。
っていうか、このあたりでは男が15歳になったら年上の男に花街の近くに連れていかれて、その道に長けている女性と経験することになっている。
恋愛対象が男の場合は男性とね。
アイーニュさんはちょっと困った顔をした。
「なぁ、リノはオクサンとどうしたいの?
俺たちはカラダから始まった恋愛だからまずは抱きたい抱かれたい、っていうのがあったけど、リノは違うじゃん。
この分じゃ、ロクに恋愛してないだろ?
一足飛びに結婚じゃん」
うっ。
片思いのような淡い初恋はあったけど、女の子とつき合ったことがないのも確かだ。
「俺がしたいのは、そうだな、ジュリアス様のことをよく知らないから知りたい、かな」
「ふーん。それなら男同士がどうとかじゃなくて、よく知って好きになれるかどうかじゃないの?
気持ちが伴わない結婚もあるというけど、一緒に暮らしていくんだぜ。
やっぱりある程度は好きじゃなくちゃ。
俺とアイツが結婚に踏み切れないのは、そこがちょっと恐くて」
「そっかぁ」
「デートしてみたら?」
「デート?」
「一緒に出かけると楽しいし、相手の意外な面が見られて俺は好きだよ」
アイーニュさんと恋人の男の人ははたまに街で見かける。
大体、その時は手をつないでいる。
「ジュリアス様が外に出たら、どうなっちゃうんだろ…」
あのからかいと好奇の視線と。
それに、足枷…
「あの人、騎士様なんだろ?
俺たちより自分の身は守れるんじゃないの?
それより、出たいかどうか聞いてみたら?
出たくないのならいいけど、ずっと家の中って退屈だぜ」
「そうですね!聞いてみます。ありがとうございます」
そうか。
俺、ジュリアス様といろいろしゃべってないだけじゃなくて、ジュリアス様がどうしたいのかも聞いていなかった。
俺が勝手に想像して、勝手にジュリアス様の気持ちを決めつけていたかもしれない。
喜んでいただきたい、と思うけど、それがジュリアス様の気持ちの沿ったものかどうか、わからないもんね。
アイーニュさんは頭の後ろで手を組み、軽く目を閉じて束の間の昼寝をする体勢になっていた。
が、
「カラダもほしいけど、やっぱり相手のことが好きじゃないと抱いたり抱かれたりできないんじゃないの?」
とひとりごとのようにつぶやいた。
そ、それは。
そのことは…、また次だ。
手をつないだのが1回で、どさくさに紛れてぎゅっと抱きしめたが1回で、ヌかれたのが1か…
わあああああああああああああああああっ!
俺、昼間っからなにを思い出してるんだっ!
「少し横になって休んどかないと、昼からがもたないぞ」
アイーニュさんが声をかけてくれたので、俺も日陰で横になったけどどきどきの心臓のせいで全然休憩にならなかった。
20160920
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる