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妖精王の指輪 かけら(2) ファーシェ 父上と父
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マーガスが帰っていってから、ファーシェは誠士郎を中庭の東屋に誘った。
ファーシェは暗闇の中、誠士郎の手を黙って取った。
誠士郎もなにも言わず、手をつながれたまま歩いていった。
東屋の椅子に誠士郎を座らせると、ファーシェは立ったまま、東屋の外に視線を遣った。
「兄が3人もいて妹も1人いるのに、第四王子が王妃の子どもでない、なんてヘンだろ?」
ファーシェはぼそりと言った。
「父上が王妃との結婚後、誰かと愛し合ったわけじゃないんだ。
俺は父上がまだ王妃と結婚する前につきあっていた男の妖精との間の子どもだ」
「男同士でも子どもができるの?」
「妖精の子どもは花から生まれるんだよ。
異性でも同性でも、心を交わし契りを交わせば子どもができる。
誰でも、というわけではないのだけれど」
ファーシェはまだ東屋の外を見ている。
誠士郎はそんなファーシェを見つめている。
「父上の王位継承順位は低くて、自分が王になるとは思ってもいなかったんだよ。
だから自分の愛する人と付き合っていたのだけれど、いろいろあって王位を継ぐことになったんだ。
父上は俺のもう一人の父も城に連れてこようとしたけれど、頑なに拒んだらしい。
2人は結婚をしていなかったから、父上は妻を娶った。
そのときまで前兆はなかったのに、父上に息子ができて成長するぐらい時が過ぎたとき、突然、父上と父の間に子どもができたことを感じたらしい。
人からすると不思議に聞こえるらしいけど、花のつぼみの中に子どもができると、その瞬間にどのつぼみに宿ったのかわかるんだって。
俺はまだ経験がないけどね」
ファーシェはひとりごとのように話し続ける。
誠士郎はそれを全身全霊で聴いている。
「俺は父のそばのつぼみに宿り、時が満ちてスミレの花から生まれたそうだよ。
俺の父もスミレの花から生まれて、俺と同じ紫の瞳だった。
父上はそれまでにも何度か父に、城に来るように言って
ファーシェは暗闇の中、誠士郎の手を黙って取った。
誠士郎もなにも言わず、手をつながれたまま歩いていった。
東屋の椅子に誠士郎を座らせると、ファーシェは立ったまま、東屋の外に視線を遣った。
「兄が3人もいて妹も1人いるのに、第四王子が王妃の子どもでない、なんてヘンだろ?」
ファーシェはぼそりと言った。
「父上が王妃との結婚後、誰かと愛し合ったわけじゃないんだ。
俺は父上がまだ王妃と結婚する前につきあっていた男の妖精との間の子どもだ」
「男同士でも子どもができるの?」
「妖精の子どもは花から生まれるんだよ。
異性でも同性でも、心を交わし契りを交わせば子どもができる。
誰でも、というわけではないのだけれど」
ファーシェはまだ東屋の外を見ている。
誠士郎はそんなファーシェを見つめている。
「父上の王位継承順位は低くて、自分が王になるとは思ってもいなかったんだよ。
だから自分の愛する人と付き合っていたのだけれど、いろいろあって王位を継ぐことになったんだ。
父上は俺のもう一人の父も城に連れてこようとしたけれど、頑なに拒んだらしい。
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