上 下
1 / 16
第一章「勇者=男 私=女」

第000話「プロローグ ①目覚め」

しおりを挟む
 オレは森の中で目を覚ました。
 見慣れない植物、時折聞こえる奇怪な動物の鳴き声。
 そこはオレの記憶にあるどの森とも異なっていた。

 ――あれ?

 おぼろげながらの記憶の断片。

 ――オレは……

 確か学校に行くために家を出たはずだ。
 その証拠に手には鞄がある。制服が……って、なんだか服が大きくなって……いや、これってオレが縮んでないか?

「まったく……どうなっているんだ……」

 思わずひとり呟いて気づく。オレってこんなに声高かったか?
 そう……まるで女の子のような……

 ――ちょっと待て!

 オレは立ち上がる。制服がだぼだぼだった。
 この下半身の違和感。ほんのちょっとだが胸が重いような感覚。

 ――まさかアレなのか!?

 オレは自分の身体を触りまくった。
 
 ――めちゃくちゃ柔らかい!

 いや、そんなことに感心している場合じゃない。
 
 ――なんだこれ、なんだこれ!?
 
 半ばパニックになりながら立ち上がる。
 水を被れば女の子とか――こんな感覚なのか?
 とりあえず周囲の状況を確認しなければ。
 ベルトを締め直し、ズボンの裾を曲げると何とか歩けるようになった。革靴が少しだけ大きいが歩けないということはない。
 カポカポと変な音を立てながらオレは森の中をさ迷い歩いた。

 ――考えろオレ!

 いきなりのサバイバル空間。
 手持ちにあるのはカバン――中身は教科書と筆記用具のみ。
 そうだ【無人島物●】を思い出せ。
 オレはあの過酷な環境でもグッドエンディングを迎えられたじゃないか。
 あの経験は無駄じゃない。

 ――まずは、水の確保だ。

 オレの中の魂がそう囁く。
 大丈夫。オレなら生き残れる。
 この過酷な環境も、オレの知識で乗り切れるはずだ。

 ◆ ◆ ◆ ◆ 

【無人島物語】
 シミュレーションゲーム。
 1996年発売。
 PCのゲームの移植版。
 六人の仲間と共に無人島を脱出するのが目的だが、それだけでは真のエンディングにはたどり着けない。
 マルチエンディングとなっており、何度もプリする楽しみがあった。

【水を被ると女の子】
 高橋留美子の漫画作品「らんま1/2」の主人公――早乙女乱馬のこと。彼は幼い頃から父親に連れられて武者修行の旅を続け、中国に修行に行った際に呪泉郷の「娘溺泉」に落ちたことで水をかぶると女になり、湯をかぶると男に戻る体質となった。面白いので是非一読!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

処理中です...