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第四章「カルネアデス編」
第94.5話 035メザイヤ編「女戦士 ヨルダ ④」
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テーブルが砕けてしまったので新しい席を用意してもらった。もちろんテーブル代ジョッキ代はヨルダもちだ。
「兄の仇?」
「ああ、そうだ」
ヨルダは新しいジョッキに注がれた酒を一気にあおる。
「ヨルダのお兄さんって何をしていたんだ?」
ヨルダのLVは55。一般的な聖騎士よりもよっぽど強い。
その兄と言うくらいだから実力はさらに上だろう。
ならば相当の腕の者に倒されたことになる。
「兄は私たち一族を守るための仕事をしていると言っていた」
それは立派な仕事だ。
「一族?」
「ああ、私は黒竜族出身だ」
「へえ」
黒竜族か。オレにとってあまりいい思い出はないな。
「兄はバージル領で仕事があると言って出かけて行った」
「へええ」
そう言えば、バージル領にしばらく帰っていないな。親父を含めてみんな元気にしているだろうか――いや、絶対元気だ。弱っている姿など想像すらできない。
「そして……それっきり帰ってこなかった」
「へえええ」
何とも気の毒な話だ。彼女は兄のことをずっと心配しているのだろう。
「兄の名はヤムダ――私の尊敬する兄だ」
「へええええ!」
……ヤムダ……今、ヤムダって言った?
黒竜族の殺し屋ヤムダ。白竜族の巫女、アンナを誘拐しようとした男。そいつを倒したのは――オレだ。
「そそそそ、そいつを見つけ出したらどうするつもりなんだ?」
とりあえず聞いておこう。もしかしたら平和的に解決する糸口が見つかるかもしれない。
「もちろんぶっ潰す!」
駄目でした。
「兄の仇?」
「ああ、そうだ」
ヨルダは新しいジョッキに注がれた酒を一気にあおる。
「ヨルダのお兄さんって何をしていたんだ?」
ヨルダのLVは55。一般的な聖騎士よりもよっぽど強い。
その兄と言うくらいだから実力はさらに上だろう。
ならば相当の腕の者に倒されたことになる。
「兄は私たち一族を守るための仕事をしていると言っていた」
それは立派な仕事だ。
「一族?」
「ああ、私は黒竜族出身だ」
「へえ」
黒竜族か。オレにとってあまりいい思い出はないな。
「兄はバージル領で仕事があると言って出かけて行った」
「へええ」
そう言えば、バージル領にしばらく帰っていないな。親父を含めてみんな元気にしているだろうか――いや、絶対元気だ。弱っている姿など想像すらできない。
「そして……それっきり帰ってこなかった」
「へえええ」
何とも気の毒な話だ。彼女は兄のことをずっと心配しているのだろう。
「兄の名はヤムダ――私の尊敬する兄だ」
「へええええ!」
……ヤムダ……今、ヤムダって言った?
黒竜族の殺し屋ヤムダ。白竜族の巫女、アンナを誘拐しようとした男。そいつを倒したのは――オレだ。
「そそそそ、そいつを見つけ出したらどうするつもりなんだ?」
とりあえず聞いておこう。もしかしたら平和的に解決する糸口が見つかるかもしれない。
「もちろんぶっ潰す!」
駄目でした。
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