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第四章「カルネアデス編」
第94.5話 023メザイヤ編「乱闘」
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「うおらぁぁぁ!」
男が突き出す拳をオレは拳で打ち返した。
「うぎゃ!」
男の拳は砕け、変な形にひしゃげた拳を痛みに身体を震わせながら男が崩れ落ちる。
「覚悟はできてんだろなぁ!」
剣を構えた男。剣先が震えていた。
「覚悟はできてるさ……だから殺す気でこい!」
「うをおおおお!」
雄叫びを上げ斬りつけてくる男、唸りを上げて振り下ろされる剣の腹をオレは手刀で叩き折った。
バキ――ン!!
「「えっ!!?」」
根元から叩き折られた剣を呆然と見つめる男、ミネルバ補佐官も驚きの声を上げていた。男のみぞおちに拳を一発。男は声を上げるまでもなくその場に倒れ込む。
――あと、三人。
「おい!」
「は、はい!」
三人の男たちは既に戦意を喪失していた。
ガクガクと震えながら剣を構えてはいるが襲い掛かってくる気配はない。
「お前たちはどうするんだ? 剣を構えている以上、お前たちはオレの敵だ!」
男たちは「降参です!」と剣を放り投げる。
「意外とあっけなかったな……」
「それとここの修理代はお前たちで払えよ」
ぎょっとなる男たちに「分かったな」と再度念押し。男たちは何度も首を縦に振りながら同意してくれた。
これだよこれ、話し合えば分かってくれるのだ。
脅しみたいに見えるかもしれないが、きちんと同意を得れば問題ない。
「邪魔したな」
オレたちは酒場を出る。これ以上騒ぎを大きくしたくないし、ミネルバ補佐官は先ほどから黙ったままだ。
何か起こる前に立ちさることにしよう。
◆ ◆ ◆ ◆
「巻き込んでしまって、すまなかったな」
太陽は沈みかけ、四人の影が長い。
オレは三人の影を見つめながら謝罪する。
オレが素直に騎士団の詰所に留まることを決断していれば怒らなかった事件だ。
「ノゾミお兄さん」
少しだけ歩いたところでノルンが声をかけてきた。
どこか思いつめたような顔をしている。
ようやく自分たちの置かれている状況が理解できたのだろう。リベラも思いつめたような顔をしていた。
ガルハン卿とはこの街でこれほどまでに恐れられている人物なのだ。調査をするだけで街の者から疎まれ腫物を扱うような態度を取られる。これ以上かかわることは命を懸けるのと同義だ。
「す…………」
ノルンが震えながら言葉を発する。
――これで冒険者パーティも解散か、短い時間だったけど楽しい時間だった。
「ずっごくカッコよかったです!!」
ノルンの口から飛び出した言葉はオレの予想以外の言葉だった。
「いや、さっき見たよね。調査に首を突っ込んだだけで酒場には出て行けって言われるし、変な男たちには絡まれるし」
「それについては、私の配慮が足りなかった。謝らなければならないのは私の方だ」
ミネルバ補佐官も興奮したように口早に言葉を発する。
頬がどことなく赤くなって見えるのは夕日のせいだろうか、それとも。
「えっ……いやでも……」
「素晴らしい戦いだったよ! これはいい歌が湯水のように湧いてくる!」
うっとりとした表情でリベラ。彼女は「私の目に狂いはなかっただろ?」とノルンと二人ではしゃぎまわっている。
――あ、あれ?
予想以外の反応にオレは戸惑うばかりだった。
男が突き出す拳をオレは拳で打ち返した。
「うぎゃ!」
男の拳は砕け、変な形にひしゃげた拳を痛みに身体を震わせながら男が崩れ落ちる。
「覚悟はできてんだろなぁ!」
剣を構えた男。剣先が震えていた。
「覚悟はできてるさ……だから殺す気でこい!」
「うをおおおお!」
雄叫びを上げ斬りつけてくる男、唸りを上げて振り下ろされる剣の腹をオレは手刀で叩き折った。
バキ――ン!!
「「えっ!!?」」
根元から叩き折られた剣を呆然と見つめる男、ミネルバ補佐官も驚きの声を上げていた。男のみぞおちに拳を一発。男は声を上げるまでもなくその場に倒れ込む。
――あと、三人。
「おい!」
「は、はい!」
三人の男たちは既に戦意を喪失していた。
ガクガクと震えながら剣を構えてはいるが襲い掛かってくる気配はない。
「お前たちはどうするんだ? 剣を構えている以上、お前たちはオレの敵だ!」
男たちは「降参です!」と剣を放り投げる。
「意外とあっけなかったな……」
「それとここの修理代はお前たちで払えよ」
ぎょっとなる男たちに「分かったな」と再度念押し。男たちは何度も首を縦に振りながら同意してくれた。
これだよこれ、話し合えば分かってくれるのだ。
脅しみたいに見えるかもしれないが、きちんと同意を得れば問題ない。
「邪魔したな」
オレたちは酒場を出る。これ以上騒ぎを大きくしたくないし、ミネルバ補佐官は先ほどから黙ったままだ。
何か起こる前に立ちさることにしよう。
◆ ◆ ◆ ◆
「巻き込んでしまって、すまなかったな」
太陽は沈みかけ、四人の影が長い。
オレは三人の影を見つめながら謝罪する。
オレが素直に騎士団の詰所に留まることを決断していれば怒らなかった事件だ。
「ノゾミお兄さん」
少しだけ歩いたところでノルンが声をかけてきた。
どこか思いつめたような顔をしている。
ようやく自分たちの置かれている状況が理解できたのだろう。リベラも思いつめたような顔をしていた。
ガルハン卿とはこの街でこれほどまでに恐れられている人物なのだ。調査をするだけで街の者から疎まれ腫物を扱うような態度を取られる。これ以上かかわることは命を懸けるのと同義だ。
「す…………」
ノルンが震えながら言葉を発する。
――これで冒険者パーティも解散か、短い時間だったけど楽しい時間だった。
「ずっごくカッコよかったです!!」
ノルンの口から飛び出した言葉はオレの予想以外の言葉だった。
「いや、さっき見たよね。調査に首を突っ込んだだけで酒場には出て行けって言われるし、変な男たちには絡まれるし」
「それについては、私の配慮が足りなかった。謝らなければならないのは私の方だ」
ミネルバ補佐官も興奮したように口早に言葉を発する。
頬がどことなく赤くなって見えるのは夕日のせいだろうか、それとも。
「えっ……いやでも……」
「素晴らしい戦いだったよ! これはいい歌が湯水のように湧いてくる!」
うっとりとした表情でリベラ。彼女は「私の目に狂いはなかっただろ?」とノルンと二人ではしゃぎまわっている。
――あ、あれ?
予想以外の反応にオレは戸惑うばかりだった。
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