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第四章「カルネアデス編」
第94.5話 004メザイヤ編「衛兵と盗賊」
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欲望の渦巻く歓楽都市メザイヤ。
オレがこの都市に到着したのは夕方近くの頃だった。
盗賊団を倒した後。
さすがに盗賊団をそのまま放置することもできず、また乗客と同じように馬車に乗せることも憚れたため仕方なくオレが運ぶことにした。
どうやったって?
もちろん引きずって運んだのだ。
盗賊たちを乗せるような乗り物はないし、歩かせようにも足を骨折したり焦げて未だ意識のない盗賊もいたため当然である。
「いくら盗賊とはいえ……ひどくないか?」
二人の女冒険者――ノルンとリベラは多少引き気味になりながらそう呟いた。フードを被っていて顔はよく見えないがきっと可愛い女の子たちであるということは分かった。
いやいや、いくら何でもそれは優しすぎだろう。仮にもこちらを殺そうとしていた輩たちだ。殺さなかっただけ慈悲深いと考えてもらいたいものだ。
「とにかく、先にメザイヤに向かって衛兵を呼んできますので!」
そう言ってオレと盗賊たちを残して馬車は去っていく。
「行かないでくれ!」
「オレたちを見捨てないで!」
これは盗賊団たちの言葉だ。
オレが冗談で「衛兵が駆け付けた頃にはみんな安らかに眠っていたりしてな」と言ったことが相当にこたえているらしかった。
ホント冗談なのに……
ものすごいスピードで走り去る馬車。御者や親子連れの面々は恐々とした面持ちでオレを見ていた。彼らはせっかく助けたのにまるで悪魔を見るような目でオレを見ていた。
唯一、ノルンとリベラが手を振ってくれたことだけが救いだったが。
解せぬ。
助けたのに恐れられるなど……
そりゃ、ちょっとやりすぎちゃったかな。くらいの気持ちは少しくらいある。
それ以外には……今回の騒動に関しては決して他言しないようにと一生懸命にお願いしたからだろうか。それとも「もし言ったりしたら、オシオキしちゃうぞ♡」と言ったからだろうか。
「て、天の神に誓って口外しないと誓います!」
「言わないから、絶対に言わないから!」
盗賊たちに交じって乗客の皆様方も必死になって誓っていただきました。
――これで一安心。
騒ぎを起こさない。
システィーナとの約束を守り抜いたことに安堵する。
オレは約束を守る男なのだ。
◆ ◆ ◆ ◆
しばらく進むと衛兵らしき騎馬の団体がやってきた。
オレは引きずられボロボロになった盗賊たちを衛兵に引き渡す。
「ありがとう、ありがとう!」
と泣きながら衛兵にお礼を言う盗賊たち。
彼らは素直に鉄製の檻のついた荷台にドナドナよろしく乗せられていくく。
殺さないでおいたオレに対するお礼はないらしい。
「二度と悪さするんじゃないぞ」
「は、はい!」
満身創痍でそれでもなお健気に返事をする盗賊団。衛兵がぎょっとした顔でオレと盗賊を見比べていた。
「もしよろしければご同行いただけないでしょうか?」
遠慮がちに衛兵が声をかけてくる。
いきなり職務質問でもされるかと思われたがそれはなかった。
その代わり盗賊たちに懸賞金がかけられているかもしれないということで、同行願いが出たのだ。
「分かった」
どうせ町までいかなければいけないのだ。歩くつもりだったが連れて行ってくれるというのならその厚意に甘えよう。
オレは衛兵の馬の後ろに乗せてもらうことにした。
そのことについて盗賊たちから悲鳴が上がったが、その件については割愛しておく。
こうしてオレは無事にメザイヤに行くことができたのだった。
オレがこの都市に到着したのは夕方近くの頃だった。
盗賊団を倒した後。
さすがに盗賊団をそのまま放置することもできず、また乗客と同じように馬車に乗せることも憚れたため仕方なくオレが運ぶことにした。
どうやったって?
もちろん引きずって運んだのだ。
盗賊たちを乗せるような乗り物はないし、歩かせようにも足を骨折したり焦げて未だ意識のない盗賊もいたため当然である。
「いくら盗賊とはいえ……ひどくないか?」
二人の女冒険者――ノルンとリベラは多少引き気味になりながらそう呟いた。フードを被っていて顔はよく見えないがきっと可愛い女の子たちであるということは分かった。
いやいや、いくら何でもそれは優しすぎだろう。仮にもこちらを殺そうとしていた輩たちだ。殺さなかっただけ慈悲深いと考えてもらいたいものだ。
「とにかく、先にメザイヤに向かって衛兵を呼んできますので!」
そう言ってオレと盗賊たちを残して馬車は去っていく。
「行かないでくれ!」
「オレたちを見捨てないで!」
これは盗賊団たちの言葉だ。
オレが冗談で「衛兵が駆け付けた頃にはみんな安らかに眠っていたりしてな」と言ったことが相当にこたえているらしかった。
ホント冗談なのに……
ものすごいスピードで走り去る馬車。御者や親子連れの面々は恐々とした面持ちでオレを見ていた。彼らはせっかく助けたのにまるで悪魔を見るような目でオレを見ていた。
唯一、ノルンとリベラが手を振ってくれたことだけが救いだったが。
解せぬ。
助けたのに恐れられるなど……
そりゃ、ちょっとやりすぎちゃったかな。くらいの気持ちは少しくらいある。
それ以外には……今回の騒動に関しては決して他言しないようにと一生懸命にお願いしたからだろうか。それとも「もし言ったりしたら、オシオキしちゃうぞ♡」と言ったからだろうか。
「て、天の神に誓って口外しないと誓います!」
「言わないから、絶対に言わないから!」
盗賊たちに交じって乗客の皆様方も必死になって誓っていただきました。
――これで一安心。
騒ぎを起こさない。
システィーナとの約束を守り抜いたことに安堵する。
オレは約束を守る男なのだ。
◆ ◆ ◆ ◆
しばらく進むと衛兵らしき騎馬の団体がやってきた。
オレは引きずられボロボロになった盗賊たちを衛兵に引き渡す。
「ありがとう、ありがとう!」
と泣きながら衛兵にお礼を言う盗賊たち。
彼らは素直に鉄製の檻のついた荷台にドナドナよろしく乗せられていくく。
殺さないでおいたオレに対するお礼はないらしい。
「二度と悪さするんじゃないぞ」
「は、はい!」
満身創痍でそれでもなお健気に返事をする盗賊団。衛兵がぎょっとした顔でオレと盗賊を見比べていた。
「もしよろしければご同行いただけないでしょうか?」
遠慮がちに衛兵が声をかけてくる。
いきなり職務質問でもされるかと思われたがそれはなかった。
その代わり盗賊たちに懸賞金がかけられているかもしれないということで、同行願いが出たのだ。
「分かった」
どうせ町までいかなければいけないのだ。歩くつもりだったが連れて行ってくれるというのならその厚意に甘えよう。
オレは衛兵の馬の後ろに乗せてもらうことにした。
そのことについて盗賊たちから悲鳴が上がったが、その件については割愛しておく。
こうしてオレは無事にメザイヤに行くことができたのだった。
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