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第四章「カルネアデス編」
第228.5話 026「if-story アメリア&マヤ ①」
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※今回はかなりの無茶ぶり設定です。マヤ、アメリアがノゾミと同年代という設定。
◆ ◆ ◆ ◆
ひと夏の思い出――それは幼い頃の三人の秘密の物語。
◆ ◆ ◆ ◆
ミ――ン、ミンミン、ミ――ン!
セミの鳴き声。
照りつける太陽の日差し。
夏は暑い。
だけど川は涼しい。
オレ――ボクは川のせせらぎを聞きながらそう思った。
今は夏休み。
ボクは妹と両親、そして親戚の子と五人でキャンプに来ていた。
キャンプ場は広く、キャンプサイトの近くにはなんと川まであった。
キャンプなんて小学生以来だ。
キャンプという響きだけでワクワクしてしまう。
久しぶりに張るテント、焚火の匂い。
そして――
バシャリ!
盛大な音と共に水しぶきが上がり、ボクはそれをもろにかぶってしまった。
あははは!
ずぶぬれになったボクを見て栗色の髪の少女が声を上げて笑った。
恨めしい目でボクは水をかけた張本人――双子の妹の魔夜――を睨みつける。
魔夜はいつもそうだ。ボクが物思いにふけっているとこうしてちょっかいをかけてくる。
「ノゾミ君! そんなところで何してるの?」
金髪の美少女がずぶぬれになったボクを見て不思議そうな顔をする。彼女は従妹のアメリアだ。彼女に会うのは数年ぶりだった。
彼女に最後に会ったのは小学生の頃か――数年ぶりに出会った彼女は驚くほどの美少女になっていた。
ボクたちは小さい頃からずっと一緒に過ごしていた。アメリアは両親の仕事の関係で海外に行ってしまったが、夏休みの休みを利用して彼女だけ日本に来ていた。いわゆるホームステイみたいなものだ。
「見てのとおり、魔夜に水をかけられたところだ!」
ボクは魔夜に向かって水をかけた。
魔夜は「きゃ――っ!」と叫びながらさらに倍返しと水をかけてくる。気がつけばいつの間にかアメリアも加わって三人で水をかけあっていた。
しばらくバシャバシャと水をかけあう音と「きゃー」という悲鳴が川のせせらぎと共に響き渡った。
「はあ――っ! 楽しかった!」
魔夜は楽しそうに息を吐きながら大きな岩の上に横になる。
川の水で彼女はびっしょりになっていた。
服も濡れ身体に貼りついている。まだ幼さの抜けきらない身体。わずかに膨らみ始めた胸。素肌にTシャツというラフな格好のせいか、魔夜の身体のラインがはっきりと分かってしまった。
――ふむふむ。まだまだじゃのう。
おおっといけない。妹に対してやましい感情を抱いてしまうなど兄として失格だ。
「もう、魔夜のせいでぐっしょりです」
アメリアはボクと一緒に川縁の岩の上に腰かけていた。彼女もTシャツ姿だったが、残念なことに中には水着を着ていた。
いや、何が残念だ。幼馴染とはいえ家族同然に育った彼女に対してボクはなんてハレンチなことを考えてしまっているんだ。
――落ち着け!
「ノゾミ君もびしょびしょだね」
アメリアがそう言って肩を寄せてきた。小さい頃には一緒にお風呂にも入った仲だったが、それは汚れを知らない子供の頃の話だ。
今こうして、彼女の隣にいるというだけでドキドキしてしまう。魔夜にしてもそうだ。第二次成長期にさしかかった彼女は徐々にではあるが女の子らしい体つきになってきていた。なので、最近はちょっと魔夜に遠慮してしまっている。
以前はよく抱きついてきていたものだが、最近は避けるようになってきていた。
「あ、ああ……そうだな」
あまりアメリアの方を見ないようにした。魔夜は仕方ないとして、アメリアもなかなかに成長している。胸は魔夜と同じくらいだけど、腰のあたりとかのくびれが小さい頃からすると明らかに違っていた。
「ノゾミ君、私の話ちゃんと聞いてる?」
腕に抱きついてきた。
ふんわり。
アメリアの胸の感触を肌で感じながら、ボクは真っ赤になっている自分を自覚してしまっていた。
◆ ◆ ◆ ◆
ひと夏の思い出――それは幼い頃の三人の秘密の物語。
◆ ◆ ◆ ◆
ミ――ン、ミンミン、ミ――ン!
セミの鳴き声。
照りつける太陽の日差し。
夏は暑い。
だけど川は涼しい。
オレ――ボクは川のせせらぎを聞きながらそう思った。
今は夏休み。
ボクは妹と両親、そして親戚の子と五人でキャンプに来ていた。
キャンプ場は広く、キャンプサイトの近くにはなんと川まであった。
キャンプなんて小学生以来だ。
キャンプという響きだけでワクワクしてしまう。
久しぶりに張るテント、焚火の匂い。
そして――
バシャリ!
盛大な音と共に水しぶきが上がり、ボクはそれをもろにかぶってしまった。
あははは!
ずぶぬれになったボクを見て栗色の髪の少女が声を上げて笑った。
恨めしい目でボクは水をかけた張本人――双子の妹の魔夜――を睨みつける。
魔夜はいつもそうだ。ボクが物思いにふけっているとこうしてちょっかいをかけてくる。
「ノゾミ君! そんなところで何してるの?」
金髪の美少女がずぶぬれになったボクを見て不思議そうな顔をする。彼女は従妹のアメリアだ。彼女に会うのは数年ぶりだった。
彼女に最後に会ったのは小学生の頃か――数年ぶりに出会った彼女は驚くほどの美少女になっていた。
ボクたちは小さい頃からずっと一緒に過ごしていた。アメリアは両親の仕事の関係で海外に行ってしまったが、夏休みの休みを利用して彼女だけ日本に来ていた。いわゆるホームステイみたいなものだ。
「見てのとおり、魔夜に水をかけられたところだ!」
ボクは魔夜に向かって水をかけた。
魔夜は「きゃ――っ!」と叫びながらさらに倍返しと水をかけてくる。気がつけばいつの間にかアメリアも加わって三人で水をかけあっていた。
しばらくバシャバシャと水をかけあう音と「きゃー」という悲鳴が川のせせらぎと共に響き渡った。
「はあ――っ! 楽しかった!」
魔夜は楽しそうに息を吐きながら大きな岩の上に横になる。
川の水で彼女はびっしょりになっていた。
服も濡れ身体に貼りついている。まだ幼さの抜けきらない身体。わずかに膨らみ始めた胸。素肌にTシャツというラフな格好のせいか、魔夜の身体のラインがはっきりと分かってしまった。
――ふむふむ。まだまだじゃのう。
おおっといけない。妹に対してやましい感情を抱いてしまうなど兄として失格だ。
「もう、魔夜のせいでぐっしょりです」
アメリアはボクと一緒に川縁の岩の上に腰かけていた。彼女もTシャツ姿だったが、残念なことに中には水着を着ていた。
いや、何が残念だ。幼馴染とはいえ家族同然に育った彼女に対してボクはなんてハレンチなことを考えてしまっているんだ。
――落ち着け!
「ノゾミ君もびしょびしょだね」
アメリアがそう言って肩を寄せてきた。小さい頃には一緒にお風呂にも入った仲だったが、それは汚れを知らない子供の頃の話だ。
今こうして、彼女の隣にいるというだけでドキドキしてしまう。魔夜にしてもそうだ。第二次成長期にさしかかった彼女は徐々にではあるが女の子らしい体つきになってきていた。なので、最近はちょっと魔夜に遠慮してしまっている。
以前はよく抱きついてきていたものだが、最近は避けるようになってきていた。
「あ、ああ……そうだな」
あまりアメリアの方を見ないようにした。魔夜は仕方ないとして、アメリアもなかなかに成長している。胸は魔夜と同じくらいだけど、腰のあたりとかのくびれが小さい頃からすると明らかに違っていた。
「ノゾミ君、私の話ちゃんと聞いてる?」
腕に抱きついてきた。
ふんわり。
アメリアの胸の感触を肌で感じながら、ボクは真っ赤になっている自分を自覚してしまっていた。
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