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第四章「カルネアデス編」

第219話「BBQ 争奪戦」

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 ジュ――!!

 炭で熱せられた金網の上で切り分けられた肉がおいしそうな音を立てる。

「野菜もあるからね。肉ばっかり食べないんだよ」

 野菜は大事だとシスティーナは叫んだ。

「いいか。肉、肉、野菜、野菜、肉、野菜の順で食べるんだ」

 的確な指示を出すシスティーナ。彼女はもしかして焼肉奉行か!?
 いるのだ。特定の分野で式力を発揮する人間が。

「いったいどんな肉があるんだ?」

 アープルとアメリアに両腕を拘束されたまま官位に設置されたテーブルに着く。

 ドン!

 オレの目の前に山盛りになったイイ感じに焼かれた肉の塊が出された。
 野菜がほとんどない。
 さっき野菜は大事って言ったよね?
 
「熊、鹿、牛の肉が中心だ。ノゾミの食べる肉は特に厳選したものを用意したぞ」

 それにしてもすごい量だ。
 これって何人分だよ。
 
「特にノゾミには特に精力をつけてもらいたいのからな!」

 そう語るシスティーナの目は獲物を狩るハンターの目をしていた。オレって獲物?

「「「「ナイスアイデア!!!」」」」

 ほぼ全員が同時に叫んだ。

「いっぱい食べてね」

 アメリアがキラキラとした瞳で箸でお肉をあーんしてくる。
 これを食わなければ漢ではない。

 もぐもぐもぐ……うん。うまい。

「あっ、お兄さん私のお肉も食べてください!」

 アープルはトングで肉を挟んでオレの口に持ってきた。
 拳ほどもある肉の塊だ。

 もぐもぐもぐもぐもぐもぐ………………ウ、ウン…………旨い。

「あ兄ちゃん。マヤのお肉食べないの?」

 手を添えて箸につまんだお肉を差し出すマヤ。
 ちょっと待っててね。

 もぐもぐもぐ……………ううう、うん。…………ウマイ。

「ノゾミ様……こちらをどうぞ」

 そそそとアンナが指でつまんだお肉を差し出した。
 なんという食べさせ方をするんだ。失礼な。
 これは……指ごと食べませう。

 ぴちゃぴちゃ…………うーん。旨い!

「嗚呼、ノゾミ様が犬のように私の指を!!」

 歓喜に震えるアンナの声。ちょっとM入ってました。

「な、なに!? 犬のように這いつくばって……だと!?」

 よだれを垂らすシスティーナ。どうやらお耳が致命的に壊れていらっしゃるようだった。
 こいつ……本当にお嬢様なんだよな?
  犬のようにって……考えがワイルドだなあ。

「ならば、ワタシは身体に……」

「ストーップ!!」

 いつの間にか女体盛を始めようとするシスティーナを全力で止めた.

「オレはみんなとおしゃべりしながらゆっくりと食べたいんだ」

 せっかくみんな揃ったんだ。
 こんな機会はめったにない。
 オレはみんなと話がしたいんだ。
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