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第四章「カルネアデス編」
第152話「高校生活最高!」
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(警告。核(コア)の圧懐を確認ました)
マザーさんの声が響く。
えっ、そられやばくね?
オレの魂というか記憶というか……そんなものが全て詰まった――まさしくオレの魂(ソウル)が詰まった核(コア)が潰れちゃったらオレってどうなるのさ!
まさか……し、死んじゃうの?
◆ ◆ ◆ ◆
「望月さん……望月さん」
オレに呼びかける声。
何だよ。起こすならちゃんと目覚めのキスにしてくれといつも言っているじゃないか。
昨晩は誰だったかな……
ミーシャだったかな……ダメだ思い出せない。
「いくら生徒さんとはいえ、セクハラで訴えますよ」
セクハラは困るな。ビックリするくらいの慰謝料とか払ったりするんだろ。
「いい加減起きてください。実験は終わりましたよ」
「…………実験?」
ここに来てようやくオレは目が覚めた。
「あれ、ここは?」
確か魔術競技大会で……タニアが暴れ出して……
……ん? タニアって誰だ?
「ここは、実験トレーラーの中ですよ」
そうだった。
ようやく頭がはっきりとしてきた。
ここは朧(おぼろ)高校の敷地内、世界統一機構とかいう怪しげな団体の実験に被験者としてオレは参加していたんだった。その実験の途中で倒れたオレをこの受付のお姉さんが優しく介抱してくれるという……
「もしもし……警備の方ですか……なんだか言動がおかしな子がいまして……」
「おーっと! ストーップ!」
オレは慌てて受付のお姉さんを止める。
もう、ただの冗談じゃないですか。
お姉さんのイ・ジ・ワ・ル!
「ここに防犯ブザーとい便利な秘密道具があります」
おいおい、物騒だな。
「へいへい。大人しく帰ります」
「そうして下さい」
冷たい態度だなぁ……実験が終わったらオレは用済み。
オレの身体が目的だったのね!
「身体が目的……? そうですが……何か?」
「いえ、何てもないです」
頼むから防犯ブザーをちらつかせながら言うのはやめてくれ。
まあいい。帰るとしよう。
帰りに今回の報酬を受け取って、オレは校舎を後にする。
そういえば、新作のゲームを予約していたんだった。
帰りに買わなければ。
オレは意気揚々と自転車置き場に向かう。
遠くから聞こえる生徒達の楽しげな声。
夏休みに部活とか――ないわ!
今は夏休み。帰宅部のオレはこんな高校に未練など無い。
「ちょっと美紗!」
「安奈……ちょっと待っててね」
二人の女子高生がオレのところに走り寄ってくる。
はて、自慢ではないがオレには女子高校生の友達などいない。美琴――あれは別問題だ。
美紗……だったか、彼女は明らかにオレに用事があるようだ。
「どうかしたのか?」
あえてぶっきらぼうに聞いてみる。女の子相手に内心はドキドキだ。
だってオトコノコだもん。
「あの……」
美紗はオレをじっと見つめたまま動かない。その後ろにいる安奈もオレの事を見つめている。
まさかのダブル告白か!?
どっちが先に告白するかで揉めていて「私たちのどっちかと付き合って!」とかくるパターンか?
「あの……私たち……どこかで……」
「……ん?」
「どこかで会ったことありませんか!」
同じ学校なのだからどこかでは会っているだろう。
「あると……思うぞ……同じ高校だし」
「そうじゃなくて!」
彼女が言いたいのはそんなことではない。
それは分かっている。
だが、実のところ動揺しているのはオレ自身だった。女の子と話をしているからという理由ではない。
オレは……この二人を知っている。
時には命を守り合い、時にはベッドの上で……いや、それはないな。
オレの聖剣エクスカリパーは未だ実践経験のない未完の最終兵器なのだ。
――だが――
オレは彼女に――彼女たちに――どこかで会った――そんな気がした。
「どうかしましたか?」
美紗が横に並ぶ。
かわいい顔がすぐそこにあった、
「うおっ!」
思わず飛びのいてしまった。
その様子に二人も驚いたようだった。互いに顔を見合わせ不思議そうな表情になる。
「あの……一つお願いがあるのですが……」
美紗は恥ずかしそうにもじもじしだした。
なんだ。もしかしてトイ……
「望さんのお家にお伺いしてもよろしいでしょうか!」
美紗が顔を真っ赤にして叫んだ。
「ああ、いいよ」
あっさりとオレはOKする。
その様子に美紗と安奈はポカンとした表情になる。
「まあ、散らかっているし家には妹もいるからな……」
あれ? オレに妹って……いたっけ?
違和感があったが、確かそうだったはずだ。
オレは妹と一軒家に住んでいる『そういう設定』だったはずだ。
「じゃあ、行きましょう」
美紗と安奈を伴って、オレは家路につくことにした。
マザーさんの声が響く。
えっ、そられやばくね?
オレの魂というか記憶というか……そんなものが全て詰まった――まさしくオレの魂(ソウル)が詰まった核(コア)が潰れちゃったらオレってどうなるのさ!
まさか……し、死んじゃうの?
◆ ◆ ◆ ◆
「望月さん……望月さん」
オレに呼びかける声。
何だよ。起こすならちゃんと目覚めのキスにしてくれといつも言っているじゃないか。
昨晩は誰だったかな……
ミーシャだったかな……ダメだ思い出せない。
「いくら生徒さんとはいえ、セクハラで訴えますよ」
セクハラは困るな。ビックリするくらいの慰謝料とか払ったりするんだろ。
「いい加減起きてください。実験は終わりましたよ」
「…………実験?」
ここに来てようやくオレは目が覚めた。
「あれ、ここは?」
確か魔術競技大会で……タニアが暴れ出して……
……ん? タニアって誰だ?
「ここは、実験トレーラーの中ですよ」
そうだった。
ようやく頭がはっきりとしてきた。
ここは朧(おぼろ)高校の敷地内、世界統一機構とかいう怪しげな団体の実験に被験者としてオレは参加していたんだった。その実験の途中で倒れたオレをこの受付のお姉さんが優しく介抱してくれるという……
「もしもし……警備の方ですか……なんだか言動がおかしな子がいまして……」
「おーっと! ストーップ!」
オレは慌てて受付のお姉さんを止める。
もう、ただの冗談じゃないですか。
お姉さんのイ・ジ・ワ・ル!
「ここに防犯ブザーとい便利な秘密道具があります」
おいおい、物騒だな。
「へいへい。大人しく帰ります」
「そうして下さい」
冷たい態度だなぁ……実験が終わったらオレは用済み。
オレの身体が目的だったのね!
「身体が目的……? そうですが……何か?」
「いえ、何てもないです」
頼むから防犯ブザーをちらつかせながら言うのはやめてくれ。
まあいい。帰るとしよう。
帰りに今回の報酬を受け取って、オレは校舎を後にする。
そういえば、新作のゲームを予約していたんだった。
帰りに買わなければ。
オレは意気揚々と自転車置き場に向かう。
遠くから聞こえる生徒達の楽しげな声。
夏休みに部活とか――ないわ!
今は夏休み。帰宅部のオレはこんな高校に未練など無い。
「ちょっと美紗!」
「安奈……ちょっと待っててね」
二人の女子高生がオレのところに走り寄ってくる。
はて、自慢ではないがオレには女子高校生の友達などいない。美琴――あれは別問題だ。
美紗……だったか、彼女は明らかにオレに用事があるようだ。
「どうかしたのか?」
あえてぶっきらぼうに聞いてみる。女の子相手に内心はドキドキだ。
だってオトコノコだもん。
「あの……」
美紗はオレをじっと見つめたまま動かない。その後ろにいる安奈もオレの事を見つめている。
まさかのダブル告白か!?
どっちが先に告白するかで揉めていて「私たちのどっちかと付き合って!」とかくるパターンか?
「あの……私たち……どこかで……」
「……ん?」
「どこかで会ったことありませんか!」
同じ学校なのだからどこかでは会っているだろう。
「あると……思うぞ……同じ高校だし」
「そうじゃなくて!」
彼女が言いたいのはそんなことではない。
それは分かっている。
だが、実のところ動揺しているのはオレ自身だった。女の子と話をしているからという理由ではない。
オレは……この二人を知っている。
時には命を守り合い、時にはベッドの上で……いや、それはないな。
オレの聖剣エクスカリパーは未だ実践経験のない未完の最終兵器なのだ。
――だが――
オレは彼女に――彼女たちに――どこかで会った――そんな気がした。
「どうかしましたか?」
美紗が横に並ぶ。
かわいい顔がすぐそこにあった、
「うおっ!」
思わず飛びのいてしまった。
その様子に二人も驚いたようだった。互いに顔を見合わせ不思議そうな表情になる。
「あの……一つお願いがあるのですが……」
美紗は恥ずかしそうにもじもじしだした。
なんだ。もしかしてトイ……
「望さんのお家にお伺いしてもよろしいでしょうか!」
美紗が顔を真っ赤にして叫んだ。
「ああ、いいよ」
あっさりとオレはOKする。
その様子に美紗と安奈はポカンとした表情になる。
「まあ、散らかっているし家には妹もいるからな……」
あれ? オレに妹って……いたっけ?
違和感があったが、確かそうだったはずだ。
オレは妹と一軒家に住んでいる『そういう設定』だったはずだ。
「じゃあ、行きましょう」
美紗と安奈を伴って、オレは家路につくことにした。
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