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第1巻第2章 マッシュの家族救出作戦
検問所突破作戦
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マヤとマッシュが街を出て3日目の昼。
2人は遠くに人の列が見えていることに気がついた。
「ねえマッシュ、あれなに?」
「あれは検問だな。安心しろ、何するために入国するか聞かれる程度だ」
「そうなんだ。じゃあ大丈夫だね……ん?」
「どうしたのだ?」
急に立ち止まって黙り込んだマヤに、マッシュも立ち止まって振り返る。
「いや、念のため聞いておきたいんだけど、検問って犯罪者かどうかも確かめたりするんだよね?」
「当たり前だろう? 犯罪者をどうぞどうぞと国に入れるバカなど―――あっ」
「気づいちゃった?」
「あ、ああ、すっかり忘れていた」
「マッシュって基本頼りになるけどたまに天然でやらかすよね」
「なっ! そんなこと言っても仕方ないだろう! あの街では何ともなかったのだし……」
「あー、たしかにねー」
マヤとマッシュが冒険者として活動していた街では、マッシュが追われるようなことはなかった。
まあそこら編は隣国とは言え他国、相当な重犯罪者以外は国外まで指名手配したりしないのだろう。
「ともかく、あれを突破する方法を考えなくてはな」
「それなら大丈夫。マッシュは私に全部任せてくれれば、何事もなく検問を突破できるよ!」
やたらいい笑顔で、目をキラキラさせながら断言するマヤに、マッシュは嫌な予感がする。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「まっかせて!」
マヤの言葉に、マッシュは拭い去れない不安を抱えながら検問へと進んでいくのだった。
***
「やあお嬢さん。うちの国には何しに来たのかなあ?」
大切そうにうさぎのぬいぐるみを抱えた少女に、検問所を兵士は優しく声をかけた。
「あのね、お父さんがそっちの国で働いてるってお母さんに聞いてね、それでね、会いに行くの!」
元気いっぱい答えた少女、もといマヤに、検問所の兵士達は和やかな気持ちになる。
「そうなのかー、偉いねー」
マヤと話していた兵士は思わずマヤの頭を撫でていた。
他の兵士はといえば「うちの娘もこの子くらい素直で可愛ければなー」などと話している。
「えへへ、偉いでしょー」
兵士に撫でられたマヤは得意げにそう答えた。
「お兄さん、もう行ってもいい? 私早くお父さんに会いたいの」
「ああ、それじゃあ最後にはそのうさちゃんを確かめさせてもらえるかな?」
兵士が手を伸ばした瞬間、マヤはうさぎのぬいぐるみをギュッと強く抱いた。
「いや! これはマヤの一番のお友達何だもん! 優しいお兄さんにだって貸してあげないんだから!」
「はは……参ったなあ……」
駄々をこね始めたマヤに、兵士は苦笑して頭をかく。
「なあ、別にいいんじゃないか? こんな純真そうな子が持ってるぬいぐるみになにかあるわけ無いだろ」
先ほどのマヤの様子にすっかりマヤの味方になっていた他の兵士がそんなことを言う。
「まあ、それもそうか。悪かったなお嬢さん、もう行っていいよ」
「うん! ありがとう、優しいお兄さん!」
こうして、マヤとうさぎのぬいぐるみもといマッシュは、無事検問を突破したのだった。
ちなみに、マヤはマッシュをぬいぐるみとして抱っこしている間中、好き放題もふもふしていたので、このあとしばらくマッシュが口を聞いてくれなくなったのはまた別のお話。
2人は遠くに人の列が見えていることに気がついた。
「ねえマッシュ、あれなに?」
「あれは検問だな。安心しろ、何するために入国するか聞かれる程度だ」
「そうなんだ。じゃあ大丈夫だね……ん?」
「どうしたのだ?」
急に立ち止まって黙り込んだマヤに、マッシュも立ち止まって振り返る。
「いや、念のため聞いておきたいんだけど、検問って犯罪者かどうかも確かめたりするんだよね?」
「当たり前だろう? 犯罪者をどうぞどうぞと国に入れるバカなど―――あっ」
「気づいちゃった?」
「あ、ああ、すっかり忘れていた」
「マッシュって基本頼りになるけどたまに天然でやらかすよね」
「なっ! そんなこと言っても仕方ないだろう! あの街では何ともなかったのだし……」
「あー、たしかにねー」
マヤとマッシュが冒険者として活動していた街では、マッシュが追われるようなことはなかった。
まあそこら編は隣国とは言え他国、相当な重犯罪者以外は国外まで指名手配したりしないのだろう。
「ともかく、あれを突破する方法を考えなくてはな」
「それなら大丈夫。マッシュは私に全部任せてくれれば、何事もなく検問を突破できるよ!」
やたらいい笑顔で、目をキラキラさせながら断言するマヤに、マッシュは嫌な予感がする。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「まっかせて!」
マヤの言葉に、マッシュは拭い去れない不安を抱えながら検問へと進んでいくのだった。
***
「やあお嬢さん。うちの国には何しに来たのかなあ?」
大切そうにうさぎのぬいぐるみを抱えた少女に、検問所を兵士は優しく声をかけた。
「あのね、お父さんがそっちの国で働いてるってお母さんに聞いてね、それでね、会いに行くの!」
元気いっぱい答えた少女、もといマヤに、検問所の兵士達は和やかな気持ちになる。
「そうなのかー、偉いねー」
マヤと話していた兵士は思わずマヤの頭を撫でていた。
他の兵士はといえば「うちの娘もこの子くらい素直で可愛ければなー」などと話している。
「えへへ、偉いでしょー」
兵士に撫でられたマヤは得意げにそう答えた。
「お兄さん、もう行ってもいい? 私早くお父さんに会いたいの」
「ああ、それじゃあ最後にはそのうさちゃんを確かめさせてもらえるかな?」
兵士が手を伸ばした瞬間、マヤはうさぎのぬいぐるみをギュッと強く抱いた。
「いや! これはマヤの一番のお友達何だもん! 優しいお兄さんにだって貸してあげないんだから!」
「はは……参ったなあ……」
駄々をこね始めたマヤに、兵士は苦笑して頭をかく。
「なあ、別にいいんじゃないか? こんな純真そうな子が持ってるぬいぐるみになにかあるわけ無いだろ」
先ほどのマヤの様子にすっかりマヤの味方になっていた他の兵士がそんなことを言う。
「まあ、それもそうか。悪かったなお嬢さん、もう行っていいよ」
「うん! ありがとう、優しいお兄さん!」
こうして、マヤとうさぎのぬいぐるみもといマッシュは、無事検問を突破したのだった。
ちなみに、マヤはマッシュをぬいぐるみとして抱っこしている間中、好き放題もふもふしていたので、このあとしばらくマッシュが口を聞いてくれなくなったのはまた別のお話。
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