魔王級術士の落ちこぼれ

第7章

老人

「・・・・・オマエソレハホントウカ・・・！」

最初に沈黙を破ったのはマッチョマンだった。

「そ、そうだよ、何か文句でもあるのか？」

「それなら納得がいく」「嘘の可能性も考えろ！」「嘘で自分は落ちこぼれです。なんて言うやつそう相違ないよ」とガヤガヤと騒ぎ始める。

「なに？どういう事？なんで俺が落ちこぼれだとわかった瞬間そんなに騒ぎ立てるの？」

イヴァンは不思議そうな顔を向ける。

「いいか？落ちこぼれっていう階級は世間一般では一番下の階級でよほどのことがない限りはなることができないんだ。そしてそれが意味すること。つまりは魔王級術士になれる才能があるってことだ」

紅い瞳をワナワナと燃え上がらせる男は言う。意味が分からないと、混乱するイヴァン。それを見越してかミラは紙をイヴァンに渡す。手紙にはこう書かれていた。

『君が学園の入学試験の時。魔力が暴走した、なんてなかった？あなたは魔力が測定できなかったから『保留』として落ちこぼれの階級になった。」

心当たりがありすぎてもう何が何だかわからない・・・落ちこぼれの階級がまさかこんな重要な階級だとは思わなかった・・・

「それで？そいつが魔王級術士になれる可能性を持っているとして・・・何でそいつをここに来させたのか、理由を聞いてもいいか？」

ミラは紙に書いてそれを見せる。

『この子をレイハルド様の後をを継がせる。』紙にはそう書かれていた。

魔王様の名前をなんでここで出すんだ・・・！

「正気の沙汰とは思えねぇ・・・！てめぇ頭に虫が湧いてんのか！！」

尋常じゃないほどの怒りをあらわにするリュウシン。

「私も反対ね。今あったばかりの子をレイハルド様の後を継がせることは賛成できないわ」

「オレハベツニイイトオモウ・・・レイハルドサマモムカシ、ガクエンデハオチコボレトヨバレテイタト。ムカシキイタコトガアル」

「俺は反対だね。いくら何でも急すぎる。段階を踏むべきだ」

ガヤガヤと騒ぎ始めお互いに議論し始める。

「やめなさい」

老人が手を叩き視線を向けさせる。沈黙したことを確かめてしゃべりだす。

「君の名前を聞いてもいいかな？」

「イヴァン、メリアド・イヴァンです・・・」

「イヴァン、いきなりの事で混乱しているだろうと思うから。私が説明してあげよう」

そう言うと老人は立ち上がってイヴァンの前に立ち右手を前に出す。

「一番早いのは『見てもらう』ことだ。さぁ、私の手を触れて・・・」

イヴァンは不安な気持ちを持っていたが・・・ここで拒否すると無事に帰れるのか分からなかったので。老人の指示に従うことにし、自分の手を老人の手の上に触れる。すると頭から電気が流れるような感覚に陥ってしまい。イヴァンの視界はだんだんと黒く遠ざかる・・・・。