坊ちゃんと私

あきすと

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⑯間幕その2

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【ほぼ謎時空です(日にちだけはありますが)】


「青路さん、今日の事忘れないでくださいね。」

薄ぼんやりとした姿で、輪郭がどこか朧げ。
体が妙に重くなっていた。

寝ていた筈なのに、これがもしかしたら金縛りと言う奴なのか。
身動きが取れなくて、ただ目線下の義兄を見ていた。

恐怖とかは特になくて、しばらくすると体の重みも
金縛りも解けていた。

明け方近くの事だった。

目覚めにしてはあまり良いとは言えない。

胸騒ぎがして、家の電話で日が昇ってから義兄の家に
電話をした。

長い呼び出し音の後に、義兄の眠そうな声が聞こえた。
『もしもし…?』
「霞、こんな時間にゴメン。」
『僕、さっき寝付いたばっかりなんですよ…。どうかしました?』
「…なんか、急に夢?であんたが出て来たから。今日って、何かあった日?」
『……今日は、ぇ~っと……。9月、』
「そう、14日。」

沈黙の後に
『今日は、僕の誕生日くらいなだけですよ。』
かなり重要な話を聞いてしまった気がする。
「ぇ…本当に?」
『うん。出生届ではそうです。でも、青路には教えてなかったですよね。』
「…さっき、金縛りにあって。その、霞が居た。」
『僕、寝てましたけど…そうですか。』
「忘れないで欲しいって言われたから、アンタの身に何かあったのかって心配になって。」
『僕、生霊飛ばしてたってワケですか?ヤですね~。』

くすくす笑い声が聞こえて来る。
怒ってはいないらしい。
こんな時間にはた迷惑な義弟で、ゴメン。とは思う。

「でも、全然怖くないし。白くて…なんだか綺麗だった。」
『……僕、明日の夜までなら空いてますよ。』

おやすみなさい、とそのまま電話は切れてしまった。

これは、好機なんだと思う。下路で数時間車を走らせれば
義兄の家には行ける。

幸い、今日は天気も良くこの後崩れそうにも無い。
休みの日を大切な人の為に費やさずして、いつ費やすと言うのか。
と言うよりも、本当に生々しい事象だったからまだなんとなく
違和感が抜けない。

もう何回も通った道のりだ。
何の苦にもならない。
今日と明日は義兄の家で過ごさせてもらおう。


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