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第3章 王都
俺の気持ち
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レオンたちがフィルを運んでしばらくしてドアがバタンッと開いた。どうやら何かあったらしい。
「マサト、団長さんと第2王子って仲良い?」
「え?」
「さっき、騎士団まで行ってきたんだが、第2王子が団長の腰抱いてたんだ。」
ドクンッと自分の中から音がした気がした。喉が渇く。
「噂聞いたことないが、王宮内での秘密の恋人とかあるんだな。」
自分の心臓の音が耳元で響く。
「しかし、団長はてっきりマサトが好きなものだと思ってたんだが。何がしたいんだ?あの団長は。」
心臓が血液を送り出す音しか聞こえない。急に胸騒ぎがして喉がくっついたような息苦しさを感じた。
な、ぜ?デイヴィスとシュバルツ殿下は恋人?じゃあなんで告白、なんて。それにシュバルツ殿下も求婚してきたじゃないか。
なんで……なんで俺はこんなもやもやするんだよ。
「……デイヴィスと殿下が恋人か……。近くで見てもそんな風には見えなかったな。」
「そりゃあマサトが会ったのは陛下たちの前だろ?秘密の恋人なんだから隠すだろ。」
「そ、うか。」
「まぁ、これでライバルが1人減ったな。」
「ライバル?」
「あぁ、マサト、俺、マサトが好きだ。多分初めて会った時から。一目惚れしたんだ。」
「あぁ!ずるいレオン!マサト!僕も好きなんだ。僕のことも考えてほしいな。」
ニックがレオンに続いて言う。
2人から告白されたのにさっきから何かが胸に詰まって苦しい。
なんだろう。俺は何がしたいんだ?
固まってしまった雅人を見てケインが近づいてくる。雅人の頭をぽんと軽く叩いた。
「マサト、君は私の大切な子だ。もちろん私を選んで欲しいという気持ちもある。だが、俺たちはマサトに負担をかけたいわけじゃない。選べと言っている訳でもないんだ。ただ知っていてほしくて。」
そう言って3人は部屋から出ていった。雅人はまた部屋に1人になる。
喉が、渇いたな……。
城の使用人を呼ぼうとしてやめた。今は部屋に誰か入れたくない。
1人ベッドに腰掛け、倒れ込む。ポスンッと音が鳴って心地の良いやわらかさに包まれる。
自分の感情においてけぼりにされたみたいだった。なぜこんなに心が痛んだのか分からない。
前世の記憶があったなら分かったかもしれないけど、感情面に関しては本当にごっそり抜け落ちてるらしく、何も分からない。
「……俺は何がしたい?」
問いかけても、自分に聞いてるのだから自分が答えるしか返事はない。
「分からない、なぁ。」
昨日と今日で6人から告白された。はは、モテ期かな。あぁ、でもデイヴィスと殿下は恋人なんだから俺への告白はカウントしない方がいいかな?
もしかしてカモフラージュ?確かに騎士団長と王子という立場なら公表しにくいけど、俺と結婚すればデイヴィスに拾われた俺を理由にして会いに行けるもんな……。デイヴィスだって俺の傍にいれば殿下に会えるわけだし。
ぐるぐると頭で考えて、それでも出てこなかった。
コンコンと軽くドアがノックされた。
今は1人になりたいのになぁ。
「マサト、俺だ。入ってもいいか?」
来たのはデイヴィスだった。また心臓が忙しない動きになっていく。
「い、今から寝るんだ。なんだか眠くて。また今度にしてもらえるか?」
「いや、大丈夫だ。実はさっきシュバルツ殿下から菓子を頂いてな。せっかくだが騎士団で配るとする。今なら殿下も残っているだろうし。ほしいならいくつか置いていくが。」
「いや、いい。もう、寝るし。」
「そうか、おやすみ。」
「あぁ、おやすみ……。」
ドアの向こうの気配が消えホッと息を吐き出す。諦めて寝ようと思ったモヤモヤがさっきよりも大きくなって胸に広がる。
シュバルツ殿下がいるから騎士団に行くんだ。そりゃそうだ。恋人同士なんだから。
…………喉、渇いたな。水を頼めばよかった。
気がついたら夢の中へおちていた。
「マサト、団長さんと第2王子って仲良い?」
「え?」
「さっき、騎士団まで行ってきたんだが、第2王子が団長の腰抱いてたんだ。」
ドクンッと自分の中から音がした気がした。喉が渇く。
「噂聞いたことないが、王宮内での秘密の恋人とかあるんだな。」
自分の心臓の音が耳元で響く。
「しかし、団長はてっきりマサトが好きなものだと思ってたんだが。何がしたいんだ?あの団長は。」
心臓が血液を送り出す音しか聞こえない。急に胸騒ぎがして喉がくっついたような息苦しさを感じた。
な、ぜ?デイヴィスとシュバルツ殿下は恋人?じゃあなんで告白、なんて。それにシュバルツ殿下も求婚してきたじゃないか。
なんで……なんで俺はこんなもやもやするんだよ。
「……デイヴィスと殿下が恋人か……。近くで見てもそんな風には見えなかったな。」
「そりゃあマサトが会ったのは陛下たちの前だろ?秘密の恋人なんだから隠すだろ。」
「そ、うか。」
「まぁ、これでライバルが1人減ったな。」
「ライバル?」
「あぁ、マサト、俺、マサトが好きだ。多分初めて会った時から。一目惚れしたんだ。」
「あぁ!ずるいレオン!マサト!僕も好きなんだ。僕のことも考えてほしいな。」
ニックがレオンに続いて言う。
2人から告白されたのにさっきから何かが胸に詰まって苦しい。
なんだろう。俺は何がしたいんだ?
固まってしまった雅人を見てケインが近づいてくる。雅人の頭をぽんと軽く叩いた。
「マサト、君は私の大切な子だ。もちろん私を選んで欲しいという気持ちもある。だが、俺たちはマサトに負担をかけたいわけじゃない。選べと言っている訳でもないんだ。ただ知っていてほしくて。」
そう言って3人は部屋から出ていった。雅人はまた部屋に1人になる。
喉が、渇いたな……。
城の使用人を呼ぼうとしてやめた。今は部屋に誰か入れたくない。
1人ベッドに腰掛け、倒れ込む。ポスンッと音が鳴って心地の良いやわらかさに包まれる。
自分の感情においてけぼりにされたみたいだった。なぜこんなに心が痛んだのか分からない。
前世の記憶があったなら分かったかもしれないけど、感情面に関しては本当にごっそり抜け落ちてるらしく、何も分からない。
「……俺は何がしたい?」
問いかけても、自分に聞いてるのだから自分が答えるしか返事はない。
「分からない、なぁ。」
昨日と今日で6人から告白された。はは、モテ期かな。あぁ、でもデイヴィスと殿下は恋人なんだから俺への告白はカウントしない方がいいかな?
もしかしてカモフラージュ?確かに騎士団長と王子という立場なら公表しにくいけど、俺と結婚すればデイヴィスに拾われた俺を理由にして会いに行けるもんな……。デイヴィスだって俺の傍にいれば殿下に会えるわけだし。
ぐるぐると頭で考えて、それでも出てこなかった。
コンコンと軽くドアがノックされた。
今は1人になりたいのになぁ。
「マサト、俺だ。入ってもいいか?」
来たのはデイヴィスだった。また心臓が忙しない動きになっていく。
「い、今から寝るんだ。なんだか眠くて。また今度にしてもらえるか?」
「いや、大丈夫だ。実はさっきシュバルツ殿下から菓子を頂いてな。せっかくだが騎士団で配るとする。今なら殿下も残っているだろうし。ほしいならいくつか置いていくが。」
「いや、いい。もう、寝るし。」
「そうか、おやすみ。」
「あぁ、おやすみ……。」
ドアの向こうの気配が消えホッと息を吐き出す。諦めて寝ようと思ったモヤモヤがさっきよりも大きくなって胸に広がる。
シュバルツ殿下がいるから騎士団に行くんだ。そりゃそうだ。恋人同士なんだから。
…………喉、渇いたな。水を頼めばよかった。
気がついたら夢の中へおちていた。
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