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第3章 王都
謁見
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「おい、マサト、起きてるか?」
「……ん、ん?」
「食事の時間なんだが、一緒に食べよう。」
「んん、食べる……。」
雅人を起こしに来たデイヴィスが雅人の体を起こす。今日は雅人の部屋でデイヴィスも一緒に食事をとるようだ。王宮の使用人たちが雅人の前の机に美味しそうな料理を並べていく。
王宮での食事は豪華だった。パンはふわふわでパンだけでなくリゾットも出た。腹を空かせる匂いのソースがかかったステーキに、スパイスのきいた繊細な味のスープ、新鮮でシャキシャキとした葉物はオレンジ色のとろりとしたフルーティーなドレッシングで味付けされている。
デイヴィスと2人で全て食べ終えた雅人はまたデイヴィスと別れ入浴を済まし、早めにベッドに入った。睡魔が訪れなかったのでまた前世について考えてみる。だが、考え始めると結局すぐに寝息を立ててしまった。
翌朝デイヴィスではなく、侍女に起こされた。
「マサト様、おはようございます。本日は陛下との謁見がございます。すぐに騎士団長様がいらっしゃいますので、朝食をとられた後、お召し物を変えさせていただきます。」
「あ、あぁ。分かった。」
びっくりしたぁ。このメイドさんすごい一息で喋ったな。起きたら知らない人が枕元にいるから驚いたわ。はぁ、心臓に悪い。
ベッドの上でぼうっとしていると部屋がノックされた。
「どうぞ。」
「失礼する。」
入ってきたのはデイヴィスでもう既に正装していた。野営地で着ていた隊服ではなくかっちりと襟が詰まっていて全体的にピシリとしている。胸には勲章らしきものがつけられていた。
「マサト、今から朝食だろう。一緒に食べよう。」
「あぁ。デイヴィス今日の服装はとてもかっこいいな。」
「そうか?ありがとう。嬉しいよ。」
デイヴィスがはみかみながら席につく。雅人が隣に座り運ばれてきた朝食に早速手をつけた。王宮の朝食はやはり豪華だった。
朝食を終えると雅人もきらきらとした服装に着替えた。騎士団の服装では無いが、しっかりとした生地に高価であることが伺える。髪は何もしなくてもサラサラで肌も真っ白なのでそのまま部屋を出て謁見室に向かった。デイヴィスが斜め前を歩いている。
謁見室の重厚な扉をデイヴィスが叩く。
「王宮騎士団長、デイヴィス・リーンハントが参りました。」
「どうぞ。」
ゆっくりと扉が開き、中に入っていく。中は真っ赤な絨毯が敷き詰められ煌びやかな玉座は今はまだ空っぽだ。国の偉い人達が数人壁際に立っている。
デイヴィスが絨毯に膝をつき顔を伏せたので雅人も同じようにする。しばらくすると玉座の奥から誰かが入ってくる音が聞こえた。どうやら陛下が入ってきたようだ。
「顔を上げよ。」
2人は同時に顔を上げる。陛下は威厳のある佇まいで雅人たちを見下ろしていた。白に近い金髪は緩やかに後ろへ撫で付けられ、数本が額にかかるのが大人の色気を出している。目元の皺が年齢を表しているが紫の瞳が力強く、渋さのある眉目秀麗だ。
後ろから陛下に付き従ってきたのはおそらく王子殿下だろう。陛下を若くしたように、色味はそのままでハリのある肌に、髪は少しうねっている。誰もが2度見してしまうようなかっこよさだ。
「デイヴィス、此度はご苦労であった。」
「はっ!」
デイヴィスが短く返事をする。
「ほう、そなたがマサトか。美しいな。」
「ありがとうございます。」
「さっそく本題だが、そなたがドラゴンと契約したというのは本当か?」
「はい。」
「ほう、そうか。信じよう。」
「ありがとうございます。」
「では聞く。我の息子と結婚する気はないか?」
「……………は?」
「……ん、ん?」
「食事の時間なんだが、一緒に食べよう。」
「んん、食べる……。」
雅人を起こしに来たデイヴィスが雅人の体を起こす。今日は雅人の部屋でデイヴィスも一緒に食事をとるようだ。王宮の使用人たちが雅人の前の机に美味しそうな料理を並べていく。
王宮での食事は豪華だった。パンはふわふわでパンだけでなくリゾットも出た。腹を空かせる匂いのソースがかかったステーキに、スパイスのきいた繊細な味のスープ、新鮮でシャキシャキとした葉物はオレンジ色のとろりとしたフルーティーなドレッシングで味付けされている。
デイヴィスと2人で全て食べ終えた雅人はまたデイヴィスと別れ入浴を済まし、早めにベッドに入った。睡魔が訪れなかったのでまた前世について考えてみる。だが、考え始めると結局すぐに寝息を立ててしまった。
翌朝デイヴィスではなく、侍女に起こされた。
「マサト様、おはようございます。本日は陛下との謁見がございます。すぐに騎士団長様がいらっしゃいますので、朝食をとられた後、お召し物を変えさせていただきます。」
「あ、あぁ。分かった。」
びっくりしたぁ。このメイドさんすごい一息で喋ったな。起きたら知らない人が枕元にいるから驚いたわ。はぁ、心臓に悪い。
ベッドの上でぼうっとしていると部屋がノックされた。
「どうぞ。」
「失礼する。」
入ってきたのはデイヴィスでもう既に正装していた。野営地で着ていた隊服ではなくかっちりと襟が詰まっていて全体的にピシリとしている。胸には勲章らしきものがつけられていた。
「マサト、今から朝食だろう。一緒に食べよう。」
「あぁ。デイヴィス今日の服装はとてもかっこいいな。」
「そうか?ありがとう。嬉しいよ。」
デイヴィスがはみかみながら席につく。雅人が隣に座り運ばれてきた朝食に早速手をつけた。王宮の朝食はやはり豪華だった。
朝食を終えると雅人もきらきらとした服装に着替えた。騎士団の服装では無いが、しっかりとした生地に高価であることが伺える。髪は何もしなくてもサラサラで肌も真っ白なのでそのまま部屋を出て謁見室に向かった。デイヴィスが斜め前を歩いている。
謁見室の重厚な扉をデイヴィスが叩く。
「王宮騎士団長、デイヴィス・リーンハントが参りました。」
「どうぞ。」
ゆっくりと扉が開き、中に入っていく。中は真っ赤な絨毯が敷き詰められ煌びやかな玉座は今はまだ空っぽだ。国の偉い人達が数人壁際に立っている。
デイヴィスが絨毯に膝をつき顔を伏せたので雅人も同じようにする。しばらくすると玉座の奥から誰かが入ってくる音が聞こえた。どうやら陛下が入ってきたようだ。
「顔を上げよ。」
2人は同時に顔を上げる。陛下は威厳のある佇まいで雅人たちを見下ろしていた。白に近い金髪は緩やかに後ろへ撫で付けられ、数本が額にかかるのが大人の色気を出している。目元の皺が年齢を表しているが紫の瞳が力強く、渋さのある眉目秀麗だ。
後ろから陛下に付き従ってきたのはおそらく王子殿下だろう。陛下を若くしたように、色味はそのままでハリのある肌に、髪は少しうねっている。誰もが2度見してしまうようなかっこよさだ。
「デイヴィス、此度はご苦労であった。」
「はっ!」
デイヴィスが短く返事をする。
「ほう、そなたがマサトか。美しいな。」
「ありがとうございます。」
「さっそく本題だが、そなたがドラゴンと契約したというのは本当か?」
「はい。」
「ほう、そうか。信じよう。」
「ありがとうございます。」
「では聞く。我の息子と結婚する気はないか?」
「……………は?」
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