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本編
甘露草
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「おーい、マリウスー!納品に来たぞー。」
「あぁ、ユウキか!良かった!ポーションドロップ、切れそうだったんだ。」
「ほい、100個な。」
ずっしりと重くなったカバンの中からポーションドロップを100個取り出した。そのままカウンターの上に置く。
「じゃあこれ代金ね。」
マリウスから袋に詰められたお金を直接受け取る。
「そういえばマリウス、昨日アドヴァンスと一緒に森に行ったんだけど、ポーションドロップをまとめて売って欲しいって言われたんだ。1個ずつ買うのまどろっこしいんだって。」
「なるほど……確かに最近買う人も増えてきたし考えてみようかな。ただそうなると納品してもらう数増えると思うけど大丈夫?」
「大丈夫。最近いっぱい作って上達したのか1回錬金するごとに10個ずつポーションドロップが作れるようになったんだよね。」
「それなら大丈夫そうだね。飴は瓶に詰めて売るか……。」
「もし瓶に詰めるならここでやってもいい?家で作って瓶に詰めて持ってきたら重くて鞄が底抜けしそう。」
「確かにそうだね。うん、瓶はこっちで用意しておくからポーションドロップは今まで通り納品して。」
「了解。」
カウンターの上に置かれたポーションドロップをちょうど100個確かめ、しまい終えたところでマリウスがこちらを振り返った。
「そういえばユウキ、面白い話を聞いたんだけど。」
「面白い話?」
「こないだここに来たお客さんの話なんだけどね、ユウキの家の周りの森に面白いものが生えてたんだって。」
「あそこに?俺が行った時にはいつも通りだったけどな。」
「それがちょっと奥に行ったところに何本か自生してたんだ。」
「何が?」
「甘露草だよ。」
「甘露草?それって何か珍しいものなの?」
「もう、ユウキは錬金術師の割に植物とかあんまり知らないよね。甘露草はねとにかく甘いんだ。」
「とにかく甘い?」
「あぁ、まるで花の蜜を集めたような、砂糖を煮詰めたような、甘いもの好きにはそれはそれは至福の植物らしいよ。」
「へぇ。」
「甘露草自体はめちゃくちゃ高級とか珍しいとかでは無いんだけど、このトリマージェの街では確認されてなくて。それが今回森に自生してることが分かったんだ!」
「ふーん、で?甘い物好きのマリウスは俺にどうして欲しいの?」
「その甘露草取ってきてくれない?納品扱いにしてお代は払うから。」
「それなら俺じゃなくても冒険者たちに頼めばいいんじゃないの?」
「だってユウキなら頼めば多分行ってくれるでしょ?断らないだろうし。」
「うーん、まぁいっか。俺もちょっと気になるし。今日このまま森に行ってこようかな。」
「頼んだ俺が言うのもなんだけど、今日はもうすぐ暗くなるし、やめといた方がいいんじゃない?」
「いや、大丈夫だよ。採取だけだし。」
「そう?じゃあ明日、楽しみにしてるね。あ、あとポーションドロップ瓶売りにするならもうちょっと納品頻度増やして欲しいかも。」
「了解!そういえば甘露草ってどういう形?」
「そうだった、ユウキは知らないんだったね。甘露草は丸い形をしてる葉だよ。地面に生えてるんだ。真っ白の産毛が全体に生えてるのが特徴かな。」
「わかった、じゃあ行ってくるね。」
「行ってらっしゃーい。」
そんなに甘露草が楽しみなのか、マリウスはいつになく明るい声で見送ってくれた。
「あぁ、ユウキか!良かった!ポーションドロップ、切れそうだったんだ。」
「ほい、100個な。」
ずっしりと重くなったカバンの中からポーションドロップを100個取り出した。そのままカウンターの上に置く。
「じゃあこれ代金ね。」
マリウスから袋に詰められたお金を直接受け取る。
「そういえばマリウス、昨日アドヴァンスと一緒に森に行ったんだけど、ポーションドロップをまとめて売って欲しいって言われたんだ。1個ずつ買うのまどろっこしいんだって。」
「なるほど……確かに最近買う人も増えてきたし考えてみようかな。ただそうなると納品してもらう数増えると思うけど大丈夫?」
「大丈夫。最近いっぱい作って上達したのか1回錬金するごとに10個ずつポーションドロップが作れるようになったんだよね。」
「それなら大丈夫そうだね。飴は瓶に詰めて売るか……。」
「もし瓶に詰めるならここでやってもいい?家で作って瓶に詰めて持ってきたら重くて鞄が底抜けしそう。」
「確かにそうだね。うん、瓶はこっちで用意しておくからポーションドロップは今まで通り納品して。」
「了解。」
カウンターの上に置かれたポーションドロップをちょうど100個確かめ、しまい終えたところでマリウスがこちらを振り返った。
「そういえばユウキ、面白い話を聞いたんだけど。」
「面白い話?」
「こないだここに来たお客さんの話なんだけどね、ユウキの家の周りの森に面白いものが生えてたんだって。」
「あそこに?俺が行った時にはいつも通りだったけどな。」
「それがちょっと奥に行ったところに何本か自生してたんだ。」
「何が?」
「甘露草だよ。」
「甘露草?それって何か珍しいものなの?」
「もう、ユウキは錬金術師の割に植物とかあんまり知らないよね。甘露草はねとにかく甘いんだ。」
「とにかく甘い?」
「あぁ、まるで花の蜜を集めたような、砂糖を煮詰めたような、甘いもの好きにはそれはそれは至福の植物らしいよ。」
「へぇ。」
「甘露草自体はめちゃくちゃ高級とか珍しいとかでは無いんだけど、このトリマージェの街では確認されてなくて。それが今回森に自生してることが分かったんだ!」
「ふーん、で?甘い物好きのマリウスは俺にどうして欲しいの?」
「その甘露草取ってきてくれない?納品扱いにしてお代は払うから。」
「それなら俺じゃなくても冒険者たちに頼めばいいんじゃないの?」
「だってユウキなら頼めば多分行ってくれるでしょ?断らないだろうし。」
「うーん、まぁいっか。俺もちょっと気になるし。今日このまま森に行ってこようかな。」
「頼んだ俺が言うのもなんだけど、今日はもうすぐ暗くなるし、やめといた方がいいんじゃない?」
「いや、大丈夫だよ。採取だけだし。」
「そう?じゃあ明日、楽しみにしてるね。あ、あとポーションドロップ瓶売りにするならもうちょっと納品頻度増やして欲しいかも。」
「了解!そういえば甘露草ってどういう形?」
「そうだった、ユウキは知らないんだったね。甘露草は丸い形をしてる葉だよ。地面に生えてるんだ。真っ白の産毛が全体に生えてるのが特徴かな。」
「わかった、じゃあ行ってくるね。」
「行ってらっしゃーい。」
そんなに甘露草が楽しみなのか、マリウスはいつになく明るい声で見送ってくれた。
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